表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/356

2-2.ソロ遊び人と辻ポーション

 遊び人は趣味職だ。


 EFOではノービス→一次職→二次職と転職していく。

 例えば人気のアサシンはノービス→シーフときて、レンジャーかアサシンに。

 例えばソードマンであれば、ノービス→ファイターときて、ソードマンかランサーかモンクになる。


 二次職は一次職の完全上位互換というわけではなくて、例えばファイターは剣槍拳(斬突打)に適性があるので、転職しない人もたまーにいる。転職した方が基本的には強いけど。

 現在は二次職まで開放されていて、そろそろ後発組やのんびり組にレベルカンストが出始めたので、三次職かレベルキャップ開放が来るのではないかという噂がある。


 さて、遊び人だ。

 遊び人は一次職である。二次職はない。


 二次職は、ないのである。

 カードマスターとか、細剣士とか、ないのである。



 使えるスキルは博打スキルばかりで、瞬間火力(DPS)最強だけど味方も巻き込んでダメージとか、

 十秒間火力(DP10S)最強だけど当たり判定の一つ一つに成否判定があって失敗すると自傷ダメージで死ぬとか、

 分間火力(DPM)超高いけど打った直後にサイコロが回って該当する味方プレイヤーがいる場合は死ぬとか、


 火力技は本当にそんなのばっかりで。


 おもしろジョブだしサポートに特化すればまあそれなりに使えるので、身内パーティーでのサブ垢で持っている人はいるらしいんだけど、メインジョブにしている人はまずいない。


 もちろんそんなアホジョブを野良で受け入れてくれるパーティーはおらず、転職してからずーーーっとソロでやっていた。


 初期職ノービス時に少し混ぜてもらって一緒に遊んでいた人も、遊び人と聞いてそっとフェードアウトした。



 それでもこのゲームを辞めなかったのは、初心者支援遊びが楽しかったからだ。



 修練の森から精霊虫の森はシームレスに繋がっていて、マップを見ないと違いがわからない。

 村人NPCから「修練の森の奥は精霊様の住処だから、近づかないように」と言われる程度だ。

 そういう明確な区切りなく繋がったレベル違いの場所というのは、高レベルになるほど増えていく。

 修練の森はそういうものの最初の警告として作られているんだと思う。


 ここで受注できるお使いクエストはややレア寄りのアイテムなので集めるのに少し時間がかかる。だけど報酬は同レベル帯のお使いに比べて明らかに良い。

 10レベルくらいのプレイヤーなら失うものも少ないので、一度ここで痛い目を見てたまにマップを見る癖をつけましょうという、つまりは明らかな作為のある初心者殺しスポットだった。


 遊び人の中では屈指の良スキル「神出鬼没」。特殊エリアを除く全ての地点で、スキルレベル箇所テレポートエリアを事前指定しておけるスキルだ。フィールドのど真ん中にだってテレポートできる、現状EFOでは唯一の自由転移スキルだ。

 これを精霊虫の森のやや修練の森方向に指定し、定期的に飛んでいる。

 辻ポーション用の安い低レベルポーションをストックし、巨大イモムシを瞬殺できるギリギリラインの見栄えのいいトランプを装備し、毎日せっせと通っている。

 そして週に数人、死にかけの初心者を助けている。

 助けた人に「通りすがりの遊び人だよ。じゃあね」と言ってまた「神出鬼没」で離脱する。

 辻ヒーラープレイはロールプレイの中では比較的人気の遊び方だが、精霊虫の森には通常のワープスポットがないので、ここでこの遊びができるのは遊び人だけだ。つまり私だけだ。


 BBSではすっかり「通りすがりの遊び人」で名が売れた。プレイヤー名もバレているだろうけど、「遊び人さん」って呼ばれている。


 現在レベルは140。通常なら二次職になるレベルになった。

 このレベルまで遊び人を鍛えて、思うことがある。





 あの人、武器短剣だったから、シーフだったんだな……。



※この自由転移スキル「神出鬼没」がとても便利なため、セカンドキャラで遊び人を持っている人はそこそこいます。

でも「神出鬼没」を必要レベルまで鍛えたら終わりって感じです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ