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「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
間章・2

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クリスマスイブの朝

「…………お前、何をやっているんだ?」


 土曜日の朝の9時。

 ゲーマーにとっては少し早いこの時間に、ギルドハウスの錬金室でアッシュグレーの髪の大柄な男が作業をしていた。


「何って、見ての通り、錬金倉庫の整理?」


 その男、グライドはそっちこそ何を言ってるんだと首をかしげる。

 錬金室はここのところ年末イベントのために何人ものメンバーが入れ替わり立ち替わり使用していて、倉庫がかなりゴチャッとしていた。

 グライドもそう思ったらしく片付けに来て、同じ理由で来た俺とかち合ったらしい。


「いや、そういうことではなく」

「?あ、ロイドここ使う?」

「俺も倉庫の整理をしたいと思って来たんだ。錬金は後で……いやだから、そうではなくて」

「なんだよ」

「お前、今日の日付知っているか?」

「12月24日」

「なんでこんな日に、ゲームに一人でいるんだって聞いているんだが」

「待ち合わせ場所がここなんだよ。しゃーないだろ」

「正気か?」

「正気正気。――――今日は、リアルイベントは行きたくないって」

「何かあったのか?」

「やっぱ分かんないよな。俺も分かんなかったんでアレなんだけど……」



 グライドの相方――恋人のニンカは、車椅子の少女だ。

 最近は商業施設はバリアフリーが必須だし、ショッピングモールや水族館は特に問題なく行くことができたらしい。少々気をもんでいた側としては、順調そうでなによりだ。

 そしてクリスマスの直前に当然のごとくクリスマスデートに誘い、


「恒常的に多くの人を受け入れるように設計されているショッピングモールには行けるけど、短期的にたくさんの人を集めることを目的としたイルミネーションとかには、行きたくないって」

「そういう、ものか?」

「んー、なんていうか、人でごった返してて動線がちゃんとしてないとか、場合によってはバリアフリーがしっかりしてなくて入れなかったりとか色々あるんだけど、一番はトイレらしくて」

「トイレ」

「そういうイベントで人が多いところは、多機能トイレの前に健常者の長蛇の列ができていて、とてもじゃないが入れない、って」

「……耳の痛い話だ」

「俺も、そういうイベント場所で一度も使わないで生きてきたかって言われたら、ちょっと答えらんねえわ」


 グライドが決まりの悪そうに頭をかく。


「まあ、話はわかった。浅慮だった、すまない」

「いや、俺はなんとも。ただ、ニンカが何回もこの話聞かれたりしたりするのは嫌がるかなと思うんで、今日はそっとしといてくれってギルメンには伝えてくれるか」

「伝えておこう。EFOはイルミネーションもかなり派手だし、観光してくるといい」

「そうする」


 少し嬉しそうにはにかんで、彼はまた手を動かし始める。俺も普通に作業を始めることにした。

 上級エリクサーの材料が溜まってきているので、作ってしまおう。


「ああ、そうだ、ロイド」

「何だ?」


 グライドが作業の手は止めず、声だけをかけてくる。


「俺、リーダーとあんたがトップだから、ここにいるんだからな」


「…………………………メン限内容は、おしゃべり禁止だ」

「はいはい」



 今度こそ本当に作業に戻ったので、こちらも錬金を開始した。





 その晩遅く、何故かグライドが茶々を入れながらのニンカの錬金配信がスタートして、何故かアーカイブは公開されていた。






グライド「いや確かに見たいとは言ったけど、俺この配信中横にいていいやつ?」

ニンカ「どーぞ?どうせ錬金配信はアーカイブ残らないし」


グライド「いやほんとにそんな失敗することある?www」

ニンカ「今に見てろよ、2000回連続成功して確率戻してやるからな……」

グライド「2000回程度で確率戻んの?誰かカウントしてない?……あ、コメきた、桁が二つ足りない、だってよ?」

ニンカ「流石にそれは嘘でしょ!?!?」


グライド「え、普段スペチャ読んでねえの?こんなに来てんのに?俺読もうか?」

ニンカ「読まんでいい!!!」

グライド「"今日なんでグライドさんいるの?"あー、ふつうにデート帰り」

ニンカ「読まんでいいって言ってるでしょ!?」



ドリアン「…………よほどネタになるもの(・・・・・・・・・・)は、残しますよ?(アーカイブ設定を修正しながら)」


※錬金配信はグライドログインまでの待ち時間にやっているので、グライドは見たことがなかった感じです。

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