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「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
八章 サブリーダーの太陽

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8-9.お祭り騒ぎの後片付け

 久々に夢も見ずに眠り、目が覚めたときには夕方だった。

 リビングには食え、と書かれたメモとともに近所のスーパーの惣菜が並んでおり、米も炊かれている。

 理人はいつの間にか帰ったらしい。


 食事を取りながらメッセージアプリを起動すると、見たことのない数の新着通知が画面を埋め尽くした。

 連絡内容にざっと目を通し、早めに返事を書いたほうが良さそうなものから順に返信していく。

 思念操作で文章を入力できるようになったのは、こういう時に食事を取りながら色々できて便利だ。


 そうしておおよその連絡に返事を書き終えて――――意を決して目をそらしていたグループを開く。



 サザンクロス運営チーム(4)


 ドリアン:16時ワクスペ集合

 リーダー:俺はともかく、ロイドは起きれないかもよ?

 ドリアン:お前はこれるんだろ来い

 リーダー:ドリアン、怒ってる……?

 ドリアン:逆に聞きたいんですけど怒ってないと思います?

 リーダー:(猫がうるうるしているスタンプ)

 ドリアン:(頭を銃で撃つスタンプ)



 時刻は16時の直前。少し急いだほうがいいか。



 なんだかんだ16時をほんの少し過ぎて入ったら、ワークスペースの床が砂利に変更されていた。

 リーダーが砂利の床に正座させられ、その膝の上にはコンクリートブロックが積まれている。



「…………そんなアイテムあるのか」

「これを見た第一声それぇ?」

「私もここまでするつもりはなかったんですけどね?聞いてくれますロイド」

「ああ、どうした?」

「雇用主の片割れが配信中に倒れ、心臓が縮む思いをして続報を待っていたら寝落ちだと知らされ、あちらこちらからの心配メッセージへの連絡をして、待てど暮らせどそれ以外の連絡は来なくて、布団に入っても心配でなかなか眠れず、ようやくうとうとしだして眠れそうと思った直後に全く聞かされてなかった配信通知で叩き起こされた時の私の気持ちわかります?――っていまこのすかぽんたんに聞いたんですよ」

「本当に申し訳ない……」

「そしたらこのあほんだら何て言ったと思います?」

「…………なんて言ったんだ?」

「"眠い、とか?"だそうで」




 俺は無言でリーダーの膝の上にコンクリートブロックを追加した。




「まずはロイド、体調はどうですか?」

「え、このまま会話はじまっちゃうやつ?」

「特に問題ない。久々によく眠って、だいぶスッキリしている。心配かけて申し訳なかった」

「ロイドもちょっと止めてもらっていい?」

「今後は寝不足等軽微な体調不良でも、配信前にちゃんと教えてください」

「え、聞こえてる?ミュート入ってたりする?」

「そうする。単に眠いだけだから配信中は大丈夫かと思ったんだが……単純虐殺には耐えられなかった」

「おーいふたりとも!?」

「まあそれについてはもう一旦仕方ないとして、次回配信の頭は謝罪になります。後で原稿作りますよ」

「そうだな……」

「え、まじ聞こえてなかったりするやつ!?」

「うるさいぞリーダー」

「ちょっと黙ってろおたんこなす」

「ひっど!?」




「直近の予定なんですが、来週のオルタナティブコラボに出れるかという確認が来てます。これは早急に返事が必要です」

「出れる、問題ない」

「無理してませんね?」

「本当に寝不足だっただけなんだ。一応健診は受ける予定ではいるが、本当に問題ない」

「分かりました。予定通り二人で出演予定と返信します」

「頼んだ」

「健康診断については予約取れ次第教えてください。サザンクロスの枠だったらこちらでずらすので、身内関連の時間は気にしなくていいです」

「それは悪い気が……」

「周りが気にするので、健康維持の方に注力してください。むしろ健康診断のために配信予定を一つあえて潰す方が、視聴者は安心するかもしれません」

「――分かった」


 いじけてうずくまるリーダーをよそに、二人で予定の確認を詰める。

 取れそうだったので検診センターの予約も取ってしまった。「なんかやる枠」の時間だが、ここはリーダーになんとかしておいてもらうことにする。


「で、これはハタさんからの確認です。昨日の配信はアーカイブ公開するのか、編集は必要か、と」


 編集担当の畑下(ハタシタ)はいないのかと思ったら、もう打ち合わせは終えているらしい。


「予定していた分の、年末イベント告知については既に編集終えています。このあとチェックして問題なければ公開します」

「ああ、そっちは了解した」

「つぶやいたー掲載画像も作ったので、後で見といてください。問題は深夜の方でして…」

「いや、まあ、それは」


「公開しない」

「公開する」

「おい……」


 いじけから復帰したリーダーが話に割り込む。


「どうせ今回のは非公開にしても切り抜きが上がる。俺の暴言回はなんかすっげー人気だからな」

「人気ですよねぇ、気持ちはわかりますが」

「変に切り抜かせるくらいなら、通しでアップロードしたほうがいい」

「それは、そうだが……」

「というか、切り抜きについては既に上がってまして、アーカイブ非公開にするならこちらの対応も決めないといけません」

「ってかドリアンは何があったかってきかないの?」

「見てりゃ分かりますよ。何年付き合ってると思ってるんですか……ロイドがこじらせを爆発させたらしいことは、予想外でしたが」

「ロイドはちょっと俺のこと好きすぎるからな」

「勘弁してくれ……」

「そういうのは二人のときか配信中にお願いします」

「「そういうのではない」」

「メン限配信楽しみにしているのでぜひたくさん喋ってくださいね」


 ドリアンがいい笑顔で言い放った。

 こいつはこいつで、ちょっと腐ってる(・・・・)んだよな……。




 告知動画のチェックをして、謝罪配信の準備をして、メン限の内容を打ち合わせて、年末企画の準備自体も進んでないし、もともと予定されていたコラボも年末年始に向けて増えるし、これから年末年始恒例の法定書類の準備も必要だ。そこに健診もねじ込んだし、大会に向けた調整も確認しなければいけない。


「やることが多いな」

「忙しくなるぜ、頼むぞ親友」


 リーダーが昔から変わらない笑顔で言う。


「仕方ない。せいぜいなんとか回すさ」





 ――――だから君は、そこで笑っていてくれ。






8章ここまでになります!

8章、5~6話くらいでさらっと終わる予定だったのに、突然リーダーが大暴走を始めて……プロットちゃんがぺっちゃんこになった……


また少し作中時間が飛ぶので、何個か閑話を挟んで9章になります。


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