死が二人を分かつまで
真っ白な壁の教会で。
中央には真っ赤なカーペットが敷かれ。
席を埋めるのは見知った顔のプレイヤーたち。
ゆっくりと扉が開く。
パイプオルガンの緩やかな演奏が響く。
純白のウェディングドレスに身を包んだ、茜色の髪の少女が歩いてくる。
隣では藍鼠色の髪のがっしりとした男性が、純白のタキシードを着込んでその手を取っている。
手にしたフラワーシャワーを使用すると、宙に色とりどりの花びらが舞った。
二人の手にはお揃いの木製の指輪。
『グライド。そしてニンカよ。試練の証を揃えよ。』
祭壇の前まで進むと、神父のNPCがそう伝える。
グライドさんとニンカさんが、用意されている器に、なにかのアイテムを添えていく。
最後に、二人がそっと、互いの指輪を外し、祭壇の中央に置いた。
『よくぞ試練を乗り越えた。さあ。神々に汝らの永遠の誓いを述べよ。』
二人の前になにかスクリーンのようなものが見える。
「空に輝く満点の星に」
「海原に映る至高の月に」
「大地に遍くすべての英霊に」
「我らの心の誓いを記す」
「すべての英雄よ笑覧あれ」
「この旅の道行に対の耀きよあれ」
「「我が片翼よ、対となりて双翼となれ」」
供えられたアイテムが耀き出す。
それは一つの光となって、中央の木製の指輪に吸い寄せられて。
「「死が二人を分かつまで」」
美しい銀色の指輪が現れた。
『誓いは成された。新たな双翼に祝福よあれ。』
教会の鐘が鳴り響く。
観覧席の音が有効になり、わあああああと歓声が上がった。
「すっっっっっごく素敵でした!ニンカさん~!!!」
「えっへへ、セリス、来てくれてありがと~」
「呼んでくれなかったら泣くところでしたね!あ、スクショいいですか?」
「撮って撮って~!ほらグライドも!」
「あ、お、おう」
「あ…えと、グライドさんは、はじめまして、ですかね?」
「そう、っすね。はじめまして、助っ人さん」
「それ、リーダーに怒られるよ?」
「それはお前だからでは?」
ああ、素敵だ。
並んでいる二人がとても似合っている。
「ニンカさん」
「おう?」
「本当の結婚式も、できたら呼んでくださいね」
「~~~~~!!!!そういうんじゃねーーーーから!!!!」
「ええ~!またまた~!」
「わたしも呼ばれたいにゃ~!」
「ニャオ姉、話ややこしくしないでっ!」
「ほらみんなー!せっかくだし集合写真撮ろうよー!」
「あ、はーい!」
ニンカさんはグライドさんを引きずってあちこちで色んな人と話している。
その笑顔がとてもきれいで。
あの日あんなに泣いていたニンカさんはもうどこにもいない。
そのことが、何よりも嬉しかった。
次話より8章になります!




