表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化準備中】「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
間章・1

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/374

人魚姫の決意 下

 

「声はいってるー?画面出てるー?大丈夫?じゃあやっていこっか。おはようございますカッコキョウベン、サザンクロスのニンカです。今日は傀儡師の操作について解説していきます。コメント拾うのは一通り解説し終わってからになるから、聞きたいことは適当に書いといてー。じゃあやってくよ」


 2日後。

 サザンクロスチャンネルの定期「なんかやる枠」をもらって、あたしはチュートリアルフィールドに来ていた。

 配信サポートはロイドさんとニャオ姉。グライドは大学の方の用事で来れないそうだ。

 大学の方をサボって手伝うと言い出したので追い出してきた。



「まずはスキルについての解説なんだけど、魔法系職恒例のクールタイム長くてスキルレベル上げに時間かかるやつなんで、一つにこだわらずに満遍なく上げるのが良いと思う。傀儡師系で取る分にはスキルポイントカツいってことは今のとこなさそうなんで、スキルツリーのこっからここまでは取るつもりでやってくと良いと思います。スキル一つ一つの雑感としては」


「じゃあ基本のスキル回しから。これは今のところ良さそうな回しって意味で、今後研究が進んだら変わるかもしれないから、後から参考にする人はそこんとこ加味して情報探してね。今アプデ2週間だから本当に初期情報なんで」


「で、次が通常攻撃のカード捌きなんだけど……これさー、奇術師になった知り合いに見せたらできねーって言われちゃって、例によってあたし専用かもしれん……ただこの動きが多分いちばん効率いいっす。まあとりあえず見せるね」


「はい、コメント欄は一旦見ないことにする。で、最後がチャリオットなんだけど……DPもったいないからゴートコーチでもいい?」

『いいよ(ニャオニャオ)』

「はい、許可出たのでゴートコーチで。山羊車は発動者以外も使える車だね。普通に発動者も使える。クールタイムもチャージタイムもゼロ、乗車時無敵がないやつ。DP消費も1だし動きは完全に同じだから、練習にはコレ使うと良いよ」


「とりあえずフィールド変えるね。グラウンド」


 目の前に学校の校庭が現れる。

 チュートリアルフィールドはいくつか用意されているフィールドから発動者のイメージに近いものに瞬時に切り替えができるんだけど、そのうちの一つだ。

 地面にトラックの他にソフトボール投げ用のマーカーが入っていて、主にスキルの射程確認で便利に使われている。


「まず最初の練習は、ソフトボール投げライン上をまっすぐに走ることです」


 ポインターを出して進むときの意識の乗せ方を解説していく。


「で、コレができるようになったら、えーと設定の、オーディエンス」


 グラウンドの周りにNPCが現れ、歩き出す。完全に適当なことをしているので、突然笑いだしたり歌いだしたり踊りだしたりする良くわからない機能だ。


「はい、この状態で再度まっすぐ走ります。同じだろって思わないでね。絶対これやってください。これで真っ直ぐ走れる様になるまでは絶対に表に出るな。

 えーと解説します。思念操作車椅子は、文字通り思念で操作しているので、なにかに気が逸れると、その方向に椅子が向いてしまいます。結果、ボスが取り巻きを召喚したら戦車が勝手に取り巻きの方に進んでいくことになります。

 "意識を向ける"ことと"戦車の操作"を完全に切り離して考えるようにならないといけません。

 オーディエンス付きでまっすぐ走れるようになったら次はグラウンドを周ります。これもオーディエンスなし→オーディエンスありで練習してください。

 ここまでできたら外に出ても大丈夫です。あとは実地で練習しましょう」


 細々した注意やジャンプ挙動の話をして。


『解説ありがとー。じゃあコメント読んでくにゃ』

「よろしくニャオ姉」

『まあ一個目はこれよね。"ニンカさん車椅子ユーザー?"』

「車椅子ユーザーです。EFOで生まれて初めて自分の足で歩きました」

『"戦車の動きマスターまでにどれくらい時間かかる?"』

「BMS公式の統計では1ヶ月。ただこれは週3〜4回2時間程度トレーナー付きで練習して1ヶ月、つまり30時間程度って意味なんで、EFOで丸三日もガチ練習すればもしかしたらいけるかも」

『1日10時間ゲームする前提なのウケるwちなみにニンカはどれくらいかかった~?』

「完全に公道を一人で走れるようになったのは……三ヶ月くらいかな……?ただ小学生の時だったから、今くらいの年齢ならもっと短くなると思う」

『ほうほう。じゃあ次の質問ね。"転職でしんどいところありますか?"』

「レベル上げ。誰かにパワーレベリングしてもらわないとキツイと思う。イリュージョンがゴミなのでまじで火力がないし安定しない。ああ、いっそ細剣でレベル上げて、イリュージョンは別途育てるとかも視野に入れるべき」

『それは細剣士になればいいのでは』

「オルタナさんの細剣解説動画見ろ。上級以上であれ使いこなすの人間業じゃねーぞ」

『オルタナティブもニンカちゃんにだけは言われたくないと思うにゃ。えーと、"傀儡師のおすすめ度は?"』

「☆3。色々言ったけど覚醒技は別に使うの必須じゃないんで。普通に召喚魔法使いとして使うなら、魔法系の中でぶっちぎりの素早さになるんでオススメ。召喚獣は自律行動だからマルチタスク不要魔法職としてもいいと思う。ただ今後他のジョブで覚醒の良い使い方が出たりするとどうしても置いていかれるから、トップ目指すならこれじゃないかな」


 ・・・

 ・・・・


『うーん……この質問、答えなくてもいいよ。"なんで車椅子って黙ってたの?"』

「んー、まあ答えるよ。あたしは車椅子ユーザーとして配慮してもらいたかったんじゃなくて、健常のみんなと一緒に遊びたかったから。だからジャンプブースト使えない職につくのはズルい気がしてつかなかったし、ゴミ回避で責められても反論しなかった。"回避ゴミクズの普通のプレイヤー"としてゲームをしたかった。

 まあ、えっと、ゴミ回避で迷惑かけちゃってたのは、その通りなんで……昔組んでくれた人、すまんね?

 ああ、この際だから言っとくか。あたしは普通のプレイヤーでいたかったんで、健常のフリをしていたせいで来たアンチコメントについては受け入れてます。なんであたしからコメントの削除要請とかは一切しないです。消さなくていいよ。もう大半消えてるらしいけど。

 謝罪も必要ありません。組んでくれた人たちの苛立ちも暴言も仕方のないものだと思ってます。むしろあたしのバカなわがままに付き合わせて悪かったって思ってるくらいです。

 えーと、そんな感じ?伝わった?」

『ん、伝わった。ありがと』

「あー、ただ一つ言いたいことがあって」

『どうぞ』

「車椅子ユーザーだって分かった瞬間消すようなコメント、最初から書かないほうが良いよ」

『ド正論www』

「ま、そんだけ。傀儡師だと前みたいな無様は多分晒さないから、よかったらブロック外してまた遊んでよ」

『ニンカちゃん懐広~い。広いついでに最後の質問いこっかにゃ』

「もう最後か。どうぞ」

『"グライドさんとはどんな感じですか?"』

「はい配信終了!オツカレサンシタ~!!!!!」



===== 配信は終了しました =====



※「公道を走る(失敗したら死ぬ)」のと「ゲーム内を走る(最悪でも他人にぶつかって舌打ちされる程度)」ではかなり差があるので、ゲーム内で走る分には念動椅子操作習得時間は多分それほど長くないです。

ただニンカはすでに車椅子のベテランユーザーであり、健常者が普通にプレイできるラインになるまでの時間は彼女からはもう分からない感じです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ニンカちゃんの悪評が払拭されるストーリーで暖かい気持ちになれるのでこの話は最高に好きです。 ……でもふと気づいてしまったのですが、タンクからヘイトを奪わないように理論最大火力ちゃんが通常…
[良い点] ニンカさんかっこよ〜 [気になる点] 細剣難しいんですね、セリスさんは使いこなせる側なんでしょうか [一言] 最近毎日楽しみにしてます。マイペースに続けてくださいませ。
[良い点] ニンカさん男前~ [気になる点] デートがどうなるかはとても気になるww [一言] 最近更新をだいぶ楽しみにしています
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ