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「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
廿五章 サザンクロスのいないサザンクロス

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閑話 フレンド

リーダー視点

 

「新しい定款。チェックお願いしていい?」


 会社の住所変更や出資社員を増やすに当たって社則や定款の見直しをし続けていて、ようやく形になったものを親友(ロイ)の目の前に積んだ。


「――――俺さ」

「何だ?」


 草案から顔を上げずにロイが返事を返す。


「ずっと、俺とお前の間になんか上下関係ができるのが嫌だったんだよ」

「まあ……知っている」


 出資額の偏りについては仕方ないとして、それ以外の部分では二人でなるべく均等になるようにしてきた。

 今回三人目が入り、事業規模を大きくする。そのために俺と親友二人の会社であれば問題なかった場所に、大きく手入れが必要になった。


「ロイ」

「うん」

「正式に、副社長になってくれ」

「承知した」


 二人で連名の代表社員。

 一応登記の筆頭者は俺になっているけれど、法的には平等だった二人の役職に上下のある名称をつける。

 やりたくないと最後まで抵抗していたけれど、ここにきてどうしても必要になってしまった。

 さんざっぱら悩んだ俺に反して、親友はひどくあっさりと返事を返した。


「まあ、別に今でも君がリーダーで、僕はサブリーダーだ。周囲の目も、やることも、さして変わらないだろう」

「そう、だけどさ」


 そうなんだけどさぁ……。


「理人」

「ん」

「役職の名前が変わった程度で、君の態度は変わるのか?」

「――――変わんねえよ」

「じゃあ別にいいだろう」

「……そっか」

「まあ、無茶振りやうっかり面白くなってしまって変な企画を立てることについては、改めてもらっても構わないが」

「……………変わんねえな」

「改 め て も ら っ て も 構 わ な い が」

「変わんねえなあ」


 親友の顔を見れば、晴れた冬の空のような瞳が、少し呆れたようにこちらを見た。


 しばらく俺の書いたものを眺め、いくつかの項目にチェックをいれたりなんだりして。

 大体読み終わったあたりで、ふとロイが書類から顔を上げた。


「――――ああ、そういえばという程度の話なんだが」

「んー?」

「グライドとフレンドコードを交換した」

「……………………………………………は?」


 なんつった?


「え?は?なんで???」

「いや何故と言われても……そういえばコードを交換していなかったから、普通に……」

「ちょ……え?は?それで交換できんの???」

「できたんだから、できるんじゃないか?」

「…………………………いつ?」

「昨日だな」


 ソファからがくりと崩れ落ちる。うっそだろ……。


「どうした?」

「やばい、過去一悔しいかもしれない」

「……何がだ」

「ずるい」

「いや別にずるくはないだろう」

「ずるい!」

「……小学生か」


 ええええ、小学生ですよ!

 ちょっとEFO行ってくる!




「あ、リーダー……は?」

「…………」


 ギルドにいたグライドに向けてフレンド申請を送る。

 申請をキャンセル。申請を送る。申請をキャンセル。申請を送る。


「いや、え?は?なに?」


 おそらく出続けているのであろうフレンド申請表示に、グライドが困惑した顔をした。


「…………ロイドとは登録したって聞いた」

「いや……は?」

「ロイドとは登録したって聞いた!」

「ガキかよ……」


 グライドは呆れた顔をしながら、タイミングよくフレンド許諾を押したらしい。フレンドが増えた旨のシステムメッセージが表示された。


「別に、登録嫌だったわけじゃないんすよ。ちょっとタイミング逃しちまっただけで」

「俺が先が良かった」

「ガキかよ」

「悪いか」

「まあ、ちょっと悪いんじゃないすか?」


 ふーんだ。登録してくれる気があるならしてくれてもよかったんじゃないですかねえ?ニンカの件で話してたタイミングとかさあ。あったと思うんですけどお??


「おん?なに、グライドフレンド解放すんの?」


 近くに居た数人が集まってきた。


「え、あー、まあ、解放というわけでもないんすけども」

「えー俺も送っていい?」

「送ったーほれほれ承認しろ」

「いやちょ……ちょっと待て、あー……もう……」


 ガヤガヤと人が集まってきて、今日もギルドは騒がしかった。


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― 新着の感想 ―
「くっ、フレンドリストが『ニンカ』だけなのが良かったのに、どうしてこうなった」 とぼやいてそうだ。
あまりにもガキすぎてホッコリしますwww
しない主義だと思われてるヤツw
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