■24-10.三周年アップデート告知配信! - エリシオンファンタジーオンライン公式
『EFO公式チャンネル、三周年告知配信!』
『『はっじまっるよー!』』
15時ちょうど。予定通り公式配信が始まった。
ギルドの談話室で、みなさんと一緒に画面を覗き込む。
「お」
「はじまったはじまった」
「いやー、元気よねえ」
いつもの広報の佐々木さん、ぼっくんさんとけっとCさんの三人が賑やかに喋りだす。
なるほど、今回はVTRを見つつ、その後に詳細解説の形式かな。
「おおー」
「とうとうくるか、サブジョブ強化」
「1年ちょいか?結構長かったな」
画面の中でソードマンがジャンプブーストを起動した。
ジャンプブーストはスキルツリーの二段目、現時点ではソードマンはどんな方法でも取得できない。
つまりサブジョブ、私がアサシンでイカサマダイスを使うのに使用している「他のジョブから一つスキルを持ってこれる」要素の強化が来るらしい。
「これはあれな、本格的にレベルは200がカンストのやつだな」
「最近のMMOだと相当低いな……」
「ラスボスチラ見せが来たから、そろそろ大規模強化がくると思ったんだけどなー」
「それはなにか、蝕のバックグラウンドを掘り下げるストーリーと同時の方がいいんじゃないでしょうか」
「んー、そう言われるとそうだけど」
各ジョブには基本ツリーと呼ばれるスキルツリーが3〜4つあって、今までサブジョブではその基本ツリーの最初の一つしか選択できなかった。
今後はオーバー分の経験値をサブジョブに注ぎ込んでサブジョブのレベルを上げることで、ツリーの二段目まで選択できるようになるらしい。
武器覚醒に次いでサブにも経験値を注ぎ込むとなると、レベルは本当に200でストップなのかもしれない。
これが高いのか低いのかも私には分からないけれど、皆さんが言うには低いらしい。
そして、サブジョブでツリーの二段目までスキルが取れるということは、
「アジリティアップ、アタックアップの後ろの、ジャンプブーストとクイックダッシュが、全プレイヤー持てるようになりますね」
「というかこのための夏イベだったんだろうなー。スキルアクセサリーの元のやつって全部二段目だろ」
「だな。アクセサリーでつけるかサブジョブにセットするか選べるよってことだね」
「まあ、そうしないと全プレイヤージャンプブーストになっちまうからなー」
「アルトジャンプだけ明らかに元スキルに近いし」
そうなんですよね。ディフェンシオと元になったウォーリアのディフレクションを比較すると効果は半分くらいなのに、アルトジャンプのジャンプ高度は元のジャンプブーストの八割ほどまで出る。
PvPフィールドの壁の高さで考えればアルトジャンプで問題ない高度までジャンプできるので、明らかにこう、考えられていますよね。
「流石に独立ツリーは選択できないか」
「独立ツリー選びたかったよねえ」
「独立ツリーで使いたいスキルせんしゅけーん」
「神出鬼没」
「スポットマグマ」
「神出鬼没」
「神出鬼没」
「オーバードーズ」
「クライマックスブースト」
「神出鬼没」
「セリスちゃんは?」
「え、あ、えっと、女神よ英雄を歌え?」
「それはずるだろwwwwww」
「スキルポイント無視してアレ取るのは強すぎるわwなるほどだめだwww」
周囲の方たちが爆笑した。
とっさに独立ツリーのスキルが思いつかなくて言ってしまったのだけど、ウケたらしい。ぽこぽこさんがテーブルに突っ伏して動かなくなってしまわれた。
「まあ女神はともかくとして、全プレイヤーが神出鬼没になっちゃうかんなー」
「神出鬼没使いたいだろ!」
「使いたい。それは間違いない」
それは使いたいですよねえ。
戦闘以外でも色んなところにワープできたら間違いなく便利ですから……。
そんな話をしているうちに、配信の方では記念課金パックの中身の紹介が終わった。
『さて、次ですが……』
『なんだなんだ?』
『まず最初に、こちらのVTRをどうぞ!』
画面が切り替わる。
これは……EFOの画面ではないですね?リアルな気がする。
『EFO公式チャンネルをご覧の皆さんこんにちは、ギルドサザンクロスギルドリーダーの、リーダーです!』
「え?」
画面に、リアルのリーダーさんとロイドさん、それから見慣れない男性が映った。
リーダーさんの方を向けば少しいたずらっぽい瞳が合って、思わずすぐに逸らしてしまった。
『同じくギルドサザンクロスサブリーダーの、ロイドです』
『プロゲーミングチームトロイライトチームリーダーの、トシアキです!こんにちは!』
『俺達は今、とある施設にお邪魔しています!』
「お〜」
「やっぱ聞いてんじゃねーかよw」
「聞いてても言えねーっていつも言ってんだろ」
画面の中の三人はオープン前だという西生寺グループの新しいホテルの中を歩き出す。
え、ええ……ハイエンドVRマシン80台?本気で言ってます?
それ同時に動かすのって電力大丈夫なんですか?ネット回線安定します?
まあそれを解決したからこそのこの施設なんでしょうけれど……。
わあ、ホテルとしてもすごく豪華ですよね、これ。
『それでは……いい加減なんで我々がここにいるのか、ご紹介していきましょう!』
『西生寺グループホールディングスかける』
『エリシオンファンタジーオンライン』
『『『第五回公式PvP大会 in 西生寺VxRリゾートホテル!』』』
「ホテルで、PvP大会……?」
『第五回PvP大会は、シングル戦!前衛の部・後衛の部に別れての開催となります!』
『普段と異なり予選が12月1月に事前開催され、3月に本戦となります』
『本戦会場はここ西生寺VxRリゾートホテル!本戦参加者はオープン直前のこちらのホテルにご招待いたします!』
『予選を勝ち抜き、本戦トーナメントを勝ち上がった優勝者は』
『我々、ギルドランキング一位、サザンクロスのリーダー、ロイドがお相手いたします』
『メイン解説はわたくし、トロイライトのトシアキです!』
「ほおおおお」
「なーるほどー?」
『大会は前衛の部と後衛の部に分かれて行います。いつもと予選形式が異なりますので、詳細はこの配信直後に発表される大会概要をご確認ください』
大会の概要の話をもう少し話して、配信は元の佐々木さんに帰ってきた。
「守秘義務、かいきーん!!!!」
「ボス就任おめでとう!」
「チャンピオンって呼んでもらうことって可能ですかね?」
リーダーさんの言葉に全員が笑った。
なるほど、チャンピオン……殿堂入りってやつですね。
「西生寺の案件は受けないんじゃなかったのー?」
「いやこれは断れないって。西生寺抜きでも多分俺に話来たんだろうし」
「ま、それはそうか」
配信では細かい大会概要について佐々木さんが解説している。
予選は12月の2週間と1月の2週間の各土日で8日間行われる。
各日ともに前衛後衛の上位1名が予選を通過し、本戦に出場できるらしい。
本戦そのものは現地で開催するけれど、様々な理由から現地参戦が難しいプレイヤーは通常通り自宅からの参加も可能とのこと。
本戦日程は、来年3月3日と4日。
通常通りだと私はシード枠になるんじゃないかと思うんですが、どうなんでしょう。そういうのってどこ宛に連絡来るのかな……。後でリーダーさんに聞いておこう。
・・・
「おい!…………おい!!!!」
公式配信終了後に届いたアップデート詳細情報のお知らせメッセージを読んでいる最中、びっくり箱さんが叫んだ。
「何で今やねん!?来るならさっさとやっとけやクソボケ!!!!!」
どれのこと…あ、あー…………。
「いやこれ、あの配信をしたから変更きたんでしょ」
「次回配信はなくなったから良かったじゃん」
「くっそおおおおおおお」
数人がびっくり箱さんの背中をぽんぽんと叩いた。
【その他のアップデート】
・いくつかのスキルの補正を調整 [詳細]
・いくつかのスキルのチャージタイム・クールタイムを調整 [詳細]
・いくつかの装備が染色に対応 [詳細]
・エンチャント失敗時のエフェクトを変更
オーバードーズ
セージのスキル。一分間全ステータス+50%、その後三分間全ステータス-50%
クライマックスブースト
ブレイダー・ウォーハンマーのパッシブスキル。上級奥義を使用した後に20秒間全ステータス+50%