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【書籍化準備中】「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
五章 トップタンクと気持ちの名前

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5-2.トップタンクとパートナー

 

チャットルーム ニンカ:グライド


グライド『新エリアどうする?』

グライド『覚醒武器強化素材でるっぽい』

ニンカ『ごめん今日はむり!』

グライド『あ?』

ニンカ『今サブキャラ育ててっから、サブの方で合流したいんでちと待って!』

グライド『ああそういう。育成手伝うか?』

ニンカ『匿名希望ちゃんといっしょにいくからいいー』

ニンカ『今一緒にサブキャラやってんのー!』

ニンカ『明日には二次職になって合流すっから待ってろよ!』

グライド『一日で二次職までwww』

グライド『お前はともかく助っ人さんついてこれんのか?』

ニンカ『なせばなる』

グライド『(なるかなぁ?』

グライド『そういやサブ何にしたんだ?』

ニンカ『お楽しみにってことで!』

ニンカ『ヒント:新職』

グライド『一択じゃねーかwww』




「ニンカはすぐ来るか?」


 目の前で装備を変えていたロイドが声をかけてきた。


「いや……今サブのレベル上げしてるから、新エリアは今日はムリだそうだ」

「ああ。サブの転職がどうこう言ってたな。手伝うか?」

「例の助っ人さんと一緒にやってるらしい。明日には二次職になるって言ってるが……ニンカはともかく、彼女はついてこれんのか?」

「…………案外、なんとかなるんじゃないか?リーダーの無茶なボス戦にも行けたしな」


 リーダーの無茶苦茶に付いてこれたからといって、他にも引っ張っていいわけではないと思うのだが、どうもロイドもそのへんの感覚がちょっとおかしいところがあるよな。


「まあ、ムリならまた連絡が来るか」

「そうだな。ニンカはサブ何にしたんだ?」

「ヒント:新職業、だそうだ」


 ロイドはうーんと首を傾げた。


「嫌がるかと、思ったんだがな」

「……そうだな」

「まあ、本人がやるって言ってるなら、とりあえずは任せるか。ブラマジよりは適正高いだろう」

「なんでブラマジ?」


 ブラックマジシャンはマルチタスク前提ジョブだ。マルチタスクのマの字もできないあいつには無理だろう。


「バレットが操作できないって泣きのメッセがこのあいだ来た」

「いや……あいつにブラマジはムリだろ……」

「そう言ったら逆ギレされたな」


 ロイドはくつくつと笑って、杖を装備した。


「じゃあ、今日は新エリアのマップ作り優先だな」

「だな。リーダーは?」

「トラキチと奥地の新ボスだ」


 トラキチ……サザンクロス(うち)のトップファイター(・・・・・)といっしょに一狩り出かけたらしい。


「あいつらもう奥まで行ってんのか…」

「何もかもすべて無視してモンスタートレインしながらボス探しをしているらしい」

「はた迷惑な」


 ってかふつうに迷惑行為だろ。通報されたら数日BANくるかもしれんぞ。


「まだ奥地に人が少ないからギリギリ…ほどほどの数で殲滅しておけとは言っておいたが」

「そういう問題かぁ?」

「まあ、他プレイヤーを巻き込まないくらいのプレイヤースキルはあるよ。腐ってもトップペアだ」

「ペア呼ばわりしたらまたキレられるぞ」

「本人の前では言わんさ。ま、あっちは何とかするだろう。こっちはこっちで動こう」

「相変わらず、まとまりのないトップギルドだな」

「うちはうっかりトップに立っただけのエンジョイギルドだよ」


 いつも言っているだろ、とロイド(サブリーダー)が言う。


「ですぺなさんが聞いたら泣くぞ」

「まあ、泣かせておくしかないな」


 仕方ない、と肩をすくめて歩き出したロイドに続く。


 新エリアの情報はまだ殆どないが、タンクと火力後衛ペアなら大抵の場所はなんとかなるだろう。


 最後にもう一度チャットを開いた。

 ニンカのステータスはパーティ行動中。


 先程のチャットがずいぶんと楽しそうで、うまく言葉にできない感情が、喉の奥に詰まった。


※ですぺなさん

ランカーギルド「ですぺなるてぃ」のこと(1章5話登場)

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