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「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
四章 ふたりの遊び人

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4-4.遊び人と忘れられた手法

ニンカ視点

 ローム古神殿、ゴーレムだけが闊歩する室内型フィールドだ。

 表層の適正レベルは155、下層は175である。


「適正レベルとは?」

「あそこねー、あんまり知られてないんだけど、金殴りできんのよ」

「カネッ」

「っし、巨人周回し終わったらもっかいボッタクリ屋に行くぞ」


 ボスは下層にしかいないのでボス狩りはできないが、表層の狩りなら低レベルでも狩る方法がある。

 一般的には人魚周回後に来るので普通に狩ったほうが断然安上がりだ。

 だいじょーぶだいじょーぶ、軍資金ならロイドさんからいっぱいもらったから。なんとかなるって。

 他人の金でレベル上げが美味いぜ!


 さくっと巨人を5周ほど周回しまして、現在レベルは118。

 ぼったくり野郎の店で雷撃玉を大量購入。

 二度とくるかこんな店。ぺっ。


「ローム古神殿、ペアかぁ」

「あんまり来たことない感じですか?」

「いや、相方(グライド)と初めて組んだのここのボスだったなーと」


 ここは一周年で開放された場所で、特に下層の適正175レベルは当時のレベルキャップ、最前線だった。

 最前線なので当然野良パーティの募集は多く、だけどあたしは当時もうどこのパーティにも入れなかった。

 募集広場で募集旗を立ててぼんやり座っていたところに声をかけてきたのが、グライドだった。


 今は前後にいいレベリング場所があるし、ストーリーでも使用しない場所とあって過疎なエリアだ。


「ほ~~~」

「顔がうっせえ」

「すみませんー。で、初めてのときはどんな感じだったんですか?」

「かんけーねーだろ!」

「いやいや、私ローム古神殿って実は行ったことなくて。ほら敵が全部毒無効なので。ここ必須ストーリーもないですし」

「……あんたはあんたでとんでもないビルドしてるよね」


 ソロでもクリティカルビルドしといたほうが良かったんじゃないか?

 毒なんて上級あたりじゃ効く相手探すほうが難しいだろ。


「自分でもステ振りし直したほうがいいんじゃないかな~とは薄々思ってるんですが…振り直しもタダじゃないので、詰むまではいいかなと」

「まあ本人が遊べてるならいいのか」

「ですです」


 あー白紙の奥義書微妙に高いもんな。あとでリーダー達に教えとこ。


「で、真面目にここどういう構造なんですか?」

「マップ的には迷路みたいな通路にいくつか小部屋がある一般的な迷宮型。そこを大中小の3種類のゴーレムが徘徊してる。ゴーレムは決まった場所からポップするタイプで、フィールド内に一定数が常にいる感じ」

「あー、じゃあリスキル狙いする感じですか?」

「リポップ場所が十六箇所あるから、基本的にはムリかな」


 一番賑わっていた頃は単一ギルドがリポップ場所を占拠するなんて時期もあったけれど、まあ少なくともペアではムリだ。


 ここのボス以外のゴーレムは完全に規格化されていて、大きさや性能にばらつきがない。

 挙動AIも高度なものは積んでいなくて、動きがパターン化されている。

 ただひたすらHPが高く、防御が高く、通路が狭くて並んで戦いにくく、他の場所からの徘徊ゴーレムに背後を取られやすいだけだ。


 そしてここのゴーレムはなんと、罠は可能な限り回避する。

 罠の回避挙動が、プレイヤーを追いかけるよりも優先度が高いのである!


 さて、一番人の少ないチャンネルに移動して、「英雄の法螺貝」でマップ内の他プレイヤーを探す。

 うん、多分表層はゼロかな。下層は結構いそうな感じだけど、問題なかろう。



 まずはここに電撃玉をセット。

 次にここにセット。

 つぎはここ。

 ここの分岐はこっちにセット。

 かちあっちゃったゴーレムには電撃玉をプレゼント。はい今は逃げるよ。電撃玉セット、逃げる逃げるセットセット逃げるセット逃げる。

 こっちにもセット。ここにもセット。ここも、ここも、ここも…………


 最後に自分たちは罠の外側に出まして、眼の前に電撃玉を置いてマップを封鎖。


 さあやってきましたゴーレムさん。

 攻撃技はなんと拳による近接のみ。

 しかし眼の前には電撃玉があるのでこちらにこれません。


 迂回路を探して別ルートに戻ろうとしますが、なんと背後から別のゴーレムが迫っていてぶつかってしまいます。

 おっと、更に後ろからも追加のゴーレムが。みんなで押し合い圧し合い通路に詰まりますが、電撃玉を感知して動きが止まります。


 電撃玉は「接地している全てのキャラクターに効果がある」アイテムのため、ゴーレム同士がぶつかるほど近くにいると一体が当たれば全体に効果が出てしまう。

 つまりは。


「ほい、こいつはサービスの電撃玉だよ」


 魔法耐性紙切れのゴーレムに無慈悲な電撃玉がぶつかり、20発も投げ込めば全員消し炭になった。


 電撃玉をマップのあちこちに仕込むことでゴーレムの徘徊ルートを一本道にしてしまうこの「迷路封鎖法」。

 ローム古神殿はインスタントダンジョンではなく通常フィールドなので、自分たち以外にもプレイヤーが入る可能性がある。

 なのでこの方法が発見された当初はロームに押し寄せるプレイヤーがいすぎてまったく役に立たず。

 他エリアが開放されてここが過疎になった後では、他にもっといいレベリング場所ができてこんなクソほど金のかかる方法を取る必要もなく。

 理論上低レベルでも可能だが、今はもう忘れ去られた方法だ。


 お値段封鎖のみで360Mゴールド、別途倒す用の電撃玉代になります。


 ロイドさんから渡された軍資金は、きっちり空になった。

※後日「欲しがってるって聞いた」と白紙の奥義書(スキルポイント振り直しできる課金アイテム)が10個届いて絶叫する

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