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【書籍化準備中】「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
十八章 リーダーの誕生日

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18-5.リーダーお誕生日!歌うよ! - サザンクロスチャンネル 下

「はいということで、ファンサービス、でしたーいやーキツ」

「ログインから1分でこれ歌わされたこっちの身にもなって?」

「おるは歌えるだろ――――あー、どうする?なんか喋っとく?」

「え?なんもしゃべることないよ?」

「何もないってことはないだろw次の配信告知とかだよ、どこにも書いてねーだろ」

「誕生日配信でそれはダメだろw」

「いいよもう、ここで何も言わせなかったらそれはそれでダメだよ、ほら言え」

「あー、今日すぐ……はあれだな。日付超えるくらいにメン限配信するよー。まあ?特に話すこともないけど?今月一回もメン限してないしなんかやるか?みたいな感じ」

「軽っ」

「いやーだってね?ほら公式発表的にも休養とも休止とも言ってないし?ちょっとお休みして再開しただけよ?」

「すっげー詭弁……」

「事実事実。いやーダチの誕生日は間に合ってよかったわwってことでリーダー、お誕生日おめっと」

「おう、サンキューな」

「じゃあみんなまったねー、メン限来る人は後でね~!」

「またなー…っと。いやホントに歌うだけ歌って帰ったなあいつ……。お?あー、そう、呼んではあったのよ。時間ギリギリまで待つよって言ってあったの。1分前にログイン合図来たから本当にログイン直後で来てくれたっぽいわ。んーどうすっかな……まあこの後のメン限でもしかしたらちょっと触れるかも、くらいで。

 さーて歌った歌った。いや、まって。待ってってば。終わってないから。一人来てないでしょ!あいつ来ないで終わるとかあるわけないでしょ!

 はい最後の一人、こっちゃこい」

「――こんばんは、サザンクロスの、ロイドです。おるさんの後に歌うのはちょっと嫌なんだがな……」

「あいつ歌上手いからな。いやでもさ、トリはお前だろ」

「そうか。あー、リーダー、誕生日おめでとう」

「おう、ありがとな~」

「これ最近気づいたんだが、もしかして一番最初にゲームに誘ってくれた時、誕生日前後だったんじゃないか?」

「え?……あー、5月後半だったもんな、ええと……え?どうだったかな?誕生日はちょっと過ぎてたかも?」

「そうか。いやまあ、ということは一緒に遊び始めてから18年なんだな、と」

「そうかー18年……じゅうはちねん!?!?!?え?嘘だろ!?」

「いや、9歳の頃からだとそうなるだろう…」

「え、いや、え?マジ?生まれたての赤ん坊が成人するくらい一緒にやってんの?」

「そうなる」

「すっげー年取った気がする……いやーまじか。俺が言っといてなんなんだけどさ、よくついてきたよね」

「一緒に遊ぶのは楽しいからな」

「この間初期の頃思い出してたんだけどさー、最初の頃の動画ってめちゃくちゃだったじゃん」

「理論上できそうだ、という理由だけで同じボスに8時間グリッチチャレンジしていた話か?」

「それとか。ってかあの時の動画ってだいたいそんな感じだよな」

「まあ、そういう滅茶苦茶もそれなりに楽しい。たまになら」

「あの頃はたまにじゃなかっただろw」

「あの頃はそれが普通だと思っていたからあまり気にしていなかった」

「昔っからお前の感性もちょっとぶっ壊れてるよな」

「いや…ゲームの攻略動画しか見ないと、みんな大なり小なり似たようなことをしてるしな。当時はあまりエンジョイ系の配信は見ていなかったから」

「あーそれもそうかー?お前動画とか全然見てなかったもんな」

「動画の楽しみ方がよく分かっていなかった」

「うーん、いやこれ以上はメン限に行こう。さて、歌うか」

「そうだな」

「もうすっかり持ち歌扱いだけど、まあこれだろってことで。リーダーロイドで」

「「親友の君へ」」



 ・・・

 ・・・・




 □■□■□■□■□■□



「みんなほんとに来てくれてありがとうな!悪いびっくり箱、片付け任せた!」

「あいあい、いってら~」


 配信は盛況で幕を閉じ、リーダーは叫ぶように言い残してログアウトしていった。

 当初予定よりも少し時間が押してしまったので、予定しているメン限の開始時間までにロイドの部屋に行かなければいけない。

 ドリアンも慌ただしくログアウトして追いかける。間に合え~。


「お片付け、手伝いますね。元の配置に戻せばいいですか?」

「おう助かるわ。セリスは配信見んでええんか?」

「見ないというか、見れないですね。サザンクロスのメンバーシップは18歳認証があるので」

「せやったわ」


 ギリギリまだ17歳である少女をみやる。

 今日はいつもの忍者装備ではなく、衣装アバターですみれ色のワンピースドレスを着ている。さっき配信でニャオ姉に着せられたと言っていたか。

 楚々とした可憐な格好だ。ニャオ姉はこのあたりの目利きが完璧すぎる、コメントがめっちゃめちゃ荒れていた。流石に今度相談して過激な発言主にはコメントブロックを入れるべきかもしれない。


 配信部屋のディスプレイのひとつにメンバーシップ限定配信の待機画面を表示させた。


「……え?」

「まあ今日のはギルメンとここで同時視聴してええって言われとるからな」


 年齢の話もメンバーシップ登録の有無についても言われなかった。こちらの権限内ということでいいだろう。今日は流石にR18話題が飛び出すとも思えない。


「予定は日付変わるくらいまでやな。眠くなるまではみとったらええんちゃうか」

「……明日お休みなので、全部見たいです」

「じゃあそれで」

「おっなにここで見てんのー?」

「ご一緒してもいいっすか?」


 明るい声が響いて、ニンカとグライドが入ってきた。


「ええでー。今椅子出すわ」

「いやー、おるくん来たのびびったね」

「本当に。おるさん呼べないからみんなでってお話でしたからね」

「あれ良かったんすか?」

ゼロプロ(むこう)とは話ついとるで。当たり前やろ」


 これについてはサザンクロス(うち)からではないが、おそらく話と書いて脅しと読むタイプの話がついている。

 いや今回はゼロプロ側が完全に悪いからなんとも言えんけど。契約を反故にすんなや。


「始まるな」


 待機画面が切り替わる。

 リアルのリーダーとロイドがリビングのソファに座り、テーブルにはケーキとコーヒーが並んでいる。


『はーいおはようございますカッコキョウベン!リーダーだよー』

『ロイドだ。続けてきている人が多いだろうか。見に来てくれてありがとう』

『そんじゃー、ケーキ食うか』

『そうだな。誕生日、おめでとう』

『あんがとーみんなもありがとねー!』


 配信者の顔のリーダーが、楽しげな笑みを浮かべた。


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