18-4.リーダーお誕生日!歌うよ! - サザンクロスチャンネル 上
ゆったりとしたピアノ伴奏。ほのかに電子音っぽさの消えないカラオケ音源。
〽️溶けて消えたいと思った夜更け 風が何かを遠くへ飛ばした
追いかけるように家を出た 行く宛なんてなくて
しっとり目で歌に入る。ゆっくりと坂を登るように曲調を上げていく。
「……はいさっそく一曲目から入らせてもらいました。一曲目は、風が見ている、でした。みんな来てくれてありがとー!なんか毎年恒例になっちゃった誕生日歌枠!始まるよー!!
ということで、ですね。おはようございますカッコキョウベン!サザンクロスのリーダーです27歳になりましたー!
今回はEFOのゲーム内から、お届けしております!ちょっと諸事情あっていつもの収録室じゃないんだ。まあその辺は後で分かるから!EFO内なのでいつもの音源じゃなくて、TAMSoundアドオン利用したカラオケ音源でやってまーす。
今日は誕生日歌枠ってことで、いやもうここ2年くらい?誕生日以外で歌枠やってないんで、丸1年ぶりだね。
スペチャもありがとうございます!なんかいつもより飛んでる気がしててちょっと心配してるんだけど、まじで無理しないでね。で、そう、ゴメンなんだけど、流石にこの速度のコメントは拾えないw今日は読めないです許してw見てはいるんで気になったら拾うかもだけど、ほぼ拾えないです!
じゃあ二曲目、やっていきましょっか。――とりになる」
・・・
・・
「はいということで、4曲目はThe day is a good dayでしたー。
いやー、歌はね、楽しいんだけどさ。俺一人で歌ってんの結構しんどいんだわwということでまあ皆さんお察しの通り、ここからはゲストのみんなと一緒に、歌っていこうかと思います!じゃあ最初のゲストさん、どうぞー!」
「「はーい」」
「リーダーお誕生日おめでとう~!」
「おめでとうございます!」
「ありがとうー!ということで!最初のゲストはこちら!」
「こんばんはー!琥珀の窓の、ニンカです!」
「琥珀の窓の、グライドです」
「はーい、流石にサザンクロスチャンネル見てて知らない人は少ないと思いますが、うちのギルドの二人ですー。最近配信チャンネルとしては独立して、琥珀の窓ってチャンネルを立ち上げました。――チャンネル名めっちゃおしゃれだよね」
「なんも思いつかなかった」
「ニンカにチャンネル名に名前いれるのはちょっと嫌って言われて死ぬほど悩んだ」
「ウケるw何で名前入れんの嫌だったの?」
「んー、将来的に完全個人のチャンネルを立ち上げるって話になったら、そっちに名前使いたいじゃん?グライドとPvP系ゲームするなら必要かもしれないから」
「あーなるほどね。俺もロイドとPvP2窓配信するためにサブチャンネル作ったからな」
「でしょー」
「さてじゃあ二人と歌っていこうか。二人って歌配信やったことないよね?」
「ない」
「ないっす」
「うわ、じゃあこれが初歌か」
「めっちゃ緊張してる。トチったらごめん」
「まあ俺達のチャンネルで歌の予定は今のとこないので、これが最初で最後かもしれんす」
「激レア配信になるな」
「いや今日はもうそういう感じだしいいんじゃん?」
「まあそう。ちなみにこの曲は二人はよく歌うの?」
「二人でカラオケする時は結構歌ってるね、あたしが好きだから」
「だな、音の高さも丁度いいし」
「歌い慣れてるならよかった。じゃあいきますか。リーダー+ニンカグライドで」
「「「朝焼け雲を見に行こう」」」
「うわー、これ多人数で歌うとめっちゃ楽しいねw」
「でっしょー」
「リーダーはあんまり女性とデュエットしないもんな」
「機会がなくてなー。箱に入ってないとそもそもあんまやんないだろ」
「歌自体は結構歌ってるよね?」
「誘われたらやるけど、誘ってくるの大抵一人だからな?」
「それはそう」
「そうそうリーダー」
「ほいほい?」
「誕生日、おめっと」
「え?ええええ?」
「俺等二人からってことで!」
「いやいらん言うただろw」
「リーダーがいらないっていうのと、私達がなにかあげたいって言うのはちょっと別の話だし?」
「いやちょっとまってね、ちょっとまってね、本気でびっくりしたwわー、ありがとう!」
「じゃ、楽しかったっす!」
「ほんと来てくれてありがとうね!よかったらまたやろうぜ」
「えー、できるかな……」
「やれそうならそのうちってことで」
「そうだな!本当にありがとう!」
「はーい、それじゃあ」
「「まったねー」」
「まったねーっと。ということで、琥珀の窓、ニンカグライドの二人でした!
いやー、楽しいwさて、次のゲストを、入れる?行けそう?よし、じゃあ行こうか!次のゲストさんどうぞ!」
「おはようございますかっこきょうべん、サザンクロスの、セリスです!」
「来てくれてありがとなー!ギルメンの、セリスです!」
「いえ、お招きありがとうございます。お誕生日、おめでとうございます」
「ありがと~!コメントの流速がやばい~」
「ぜんっぜん読み取れませんね……」
「ニンカ達は匂わせつぶやきしてたけど、セリスは完全に無告知だったからなw」
「……あーすみません、未だにつぶやいたーの使い方よく分かってなくて」
「その辺は仕方ないな。なんか今日おしゃれね?」
「ニャオ姉さんが、今日こそはおしゃれをしてもらう、と言って……変じゃないですか?」
「ニャオ姉らしいなwいや似合ってるよ」
「えっと……ありがとう、ございます」
「さて、準備はいいかー?」
「心臓が口から出そうですが大丈夫ですっ」
「はは、じゃあ歌いますかー。これ俺も歌枠とかで一度も歌ったことないね。初公開~じゃあいきましょう、リーダーセリスで」
「「あなたがみつけてくれたから」」
きらめくようなグロッケンの音が降ってくる。これ、ほんとはカラオケ音源じゃなくてオーケストラ演奏がすげーいいんだよな。
歌い出しは女声で、きれいなメゾソプラノの声が響いた。
〽️星が降ってくる夜に 路地裏にひとり
歌っていたの 誰にも聞こえない歌を
数年前のアニメの作中歌だ。本来はヒロインの曲だけど、劇場版仕様でヒーローと合わせたデュエットバージョンが存在する。
薄汚れた路地裏の孤児が、たまたま通りかかった少年に救われて歌姫になる。
再会した彼は彼女のことは覚えていなくて、それでも思いを寄せ続けるラブストーリーだ。
「いやあ…」
「歌えましたぁ」
「すっげー上手かったね」
「すっごい練習したのでそう言っていただけて嬉しいです」
「まじなー、本当にありがとうね」
「はいっ、あの、リーダーさん」
「ほいほい?」
「改めまして、お誕生日おめでとうございます」
「え?えええ?え、セリスもなの!?」
「いやお誕生日にお呼ばれして何も渡さないのもどうかと思うじゃないですか…」
「来てくれるだけで十分だったんだよ!?」
「こちら側の気持ちの問題です。どうぞ」
「わー、フラワーブーケってあれじゃん、各タウンのオリジナルフラワー集めて作るやつじゃん」
「ハウジング専用アイテムなので、使い道はあまりないんですけどね」
「いやいや超嬉しい!ありがとう!あとでルームに飾るわw」
「ぜひぜひ。あ、えっと、それでは、誘ってくださってありがとうございました」
「ほんっとうに来てくれてありがとう〜」
「それでは、リスナーのみなさんも、もう少し続くので楽しんでいってください。ありがとうございました」
「ありがとねー!……はい、コメントが完全に追えなくなったのでちょっとクールダウンするか?
誕生日プレゼントさー、毎年別にいらんよって言ってて、今年もそう言ったんだけどね。なんかいっぱいもらってしまっているw
あ、そうそう、告知はしてあるけど、この配信終わったら毎年恒例ロイドとケーキ食う誕生日メン限今年もやるよー。この配信の裏話をするので聞きたい人はメンバーシップ入ってくれ。
さって、そろそろ次のきょくn」
「「「「「「「リーダーお誕生日おめでとう〜!!!!!」」」」」」」
パンパンパンドンドーンパンパパパンパン
どでかいクラッカーと爆弾の音が背後で盛大に鳴った。
「うぉわ!?!!??うえぇえええぇ!?!?」
「あっははは!ドッキリ大成功〜!」
おもちがいい笑顔で言い放った。
「いやビビった!ビビるってそれは!リハと違う入りをするな!!ww」
「たまにはいいだろーw」
「いいけどちょっと心臓のクールタイムくれ、え、曲入ってる?え?」
〽️あくびだってふっとばせ 俺達の毎日は
ただの一秒だって退屈にゃ 渡してやるもんか
予定外にそのまま曲がはじまって、俺を置いてけぼりに歌が歌われる。
かなり前のアニメの主題歌だ。いやうまいなみんな。
入るタイミングを完全に逃して聞き手になる。まあ、いいか。
「――――改めて!」
「「「「「「「誕生日!おめでとう〜!!!」」」」」」」
「ありがとう〜!ってサクッと消えたなあいつら。
いやまじでビビったwもうちょっと普通にはいる予定だったのよ、ほんとにwえーと、ちょっとまってね、ボロネーゼが投げた爆弾のエフェクトが消えねえwこれ消えるまでがちょっと長いんだよ……ああ消えた消えた。消えたよね?OK?
はい、OKっぽいので続けていくよ!次のゲストは!」
「リーダーお誕生日おめっとー!」
「サンキュー!とういうことで次のゲスト〜」
「無卿の有響チャンネルの、無卿でーす!」
「ウチのサポメンの、無卿です!個人チャンネルでピアノ弾いたり歌ったりしてるよー」
「こっち呼ばれて歌うことになるとは思わなかったわ」
「俺がそっちで歌ったことは何回かあるんだけどな」
「だねー。さてじゃーやりますかーカラオケで歌うの久々」
「悪いなカラオケ音源で」
「EFOでやるならしょうがないっしょ。入れました〜」
「無卿とリーダーで!」
「「Get Away Here」」
「いややっぱ上手えわ」
「お忘れかも知れないんですが俺これで食ってるのでね?多少はね?」
「ちなみに無卿の有響チャンネルの方にこれを無卿が弾き語りしてる動画がありますー。めっちゃうまいのでおすすめ」
「よかったら見に来てねー!このピアノ一人で弾くの超大変だったからまじで見てほしい」
「じゃあ本当に、今日は来てくれてありがとうな〜準備もめっちゃ手伝ってもらっちゃって」
「いいよいいよー。お代は今度またウチに歌いに来て」
「ちょっと待っていただいてもよろしいか?」
「え、それで貸し借りなしでしょ?」
「ちょ、え?本気で言ってる?」
「もっちろーん!なんのためにこんなに準備ガチで手伝ったと思ってんの?」
「俺の誕生日のためだと思ってたよ!?」
「HAHAHAHAHA」
「うっわやられたw」
「じゃ、また歌おうな〜!」
「くっそwわかりましたよまたな!」
「やったぜ〜じゃあまったねー」
「まったね!くっそまじやられたw
――――はー、まあいつもと違う感じで歌うのも楽しいな。お、残り二曲となりました。ああ、次のゲスト予想が荒れてんねぇ。どうかなー、あたってる人いるか?
ちょっと予想見たいからしばらく流すわw雑談でもする?いらん?早く次に行け?いやそんな事言うなよ喋るのも楽しいだろうがよ」
さて、あいつは間に合うかな。一応MCは伸ばす前提で来たけど。
「メンバーシップギフト配ってくれてる人結構いるねー、ありがとう!今日メン限あるからねー。
セリスちゃんは今後歌いますか?いやどうだろう?最低でも個人チャンネル開設しないと厳しくない?常時俺とのデュエットはしんどいと思う。ウチでセリスのソロ歌みたすんのは違うだろ」
21:34。限界かな。
そう思った直後に、カメラ横で進行補佐をしていたびっくり箱が大きく手を振った。
「やああああっと来たか!あ、ごめん次のゲストがやっと来た。間に合った〜これ間に合わなかったら俺のソロ予定だったんだけどさー、結構しんどくてな〜。――おっそいぞ」
「悪い悪い、間に合ったんだからゆるしてよw」
青みがかった紫の髪のアバターが、非常に軽い口調で言う。
コメントが完全に追えなくなった。
「次酒奢れ」
「はいはい奢りますよ」
「ということで!予想あたった人はいたかなー?見た感じあんまり名前出てなかったけど」
「こんちゃーっす!おるのげーむちゃんねるの、おるくんでーす!」
「じゃあ歌うか」
「まったく何歌うかすら聞いてないんだけどなに?」
「これ」
「ああ、いけるいける。百回歌ってるわ。目瞑っててもいける」
「お、じゃあ歌詞いらない?」
「待って嘘ですごめんなさい歌詞いりますまってまって無理無理無理」
「はいはい、じゃーいくか。おるとリーダーで」
「「ファンサービス」」
200話!




