14-5.休日の終わり
「大学受験か~」
「思い出したくもねえわ……」
「ねー君は頭は良かったのに、サボってたからよ」
当時を思い出してクスクスと笑う。
高校二年の最後に受けた模試で第一志望E判定を出して泣きついてきた男の子が、今は立派に大手メーカーに勤務しているのだから、将来なんて本当に分からない。
「その辺はニンカは話題にしなかったから、ちょっと新鮮だな」
「そろそろグライドのほうが就活じゃない?」
「グライドがそのへん悩んでるとこもいまいちイメージできねーなー。ある日突然就活?終わってますよ?とか言いそう」
「ああ、言いそうね」
想像したら完全に音声まで脳内で流れて、笑いが零れる。
CCOで一緒にやっていた大学生も、普通に実家の農家を継ぐというので進路には悩んでいなかったし、将来に悩む若人の話を聞くなんて本当に久々だ。
自分が年を重ねたなあという実感が降り注ぐ。
「楽しかったねえ」
「そうだね」
ポツリと呟いた言葉に、隣からいつもの声が返ってくる。
そのことがすごく安心する。
楽しかった。
新しい人と遊ぶのも、教わるのも、教えるのも。
昔話も。悩みを聞くのも。励ますのも。雑談も。
セリスちゃんも入った直後の固いかたーい様子がなくなって、バレンタインで一気にギルドに打ち解けたと思う。最近はわたしやニンカ以外のメンバーと話しているところも見るようになった。
たった一人の前でだけ少しだけ表情の変わる彼女に、朴念仁はいつ気付くのだろうか。
楽しかった。
雑魚戦も。ボス戦も。大会も。
雑談も。悩みを聞くのも。笑い合うことも。
頼られることも。頼りにすることも。
「ホントに言うの?」
「言うよ~。ダラダラしても仕方ないしね~」
「別に……」
「ねー君」
背の高い旦那さまの頭を撫でる。
大きくなっちゃって。まったくもう。
「コレが一番いいって、思っちゃったから、仕方ないにゃ」
奥歯にものが詰まったらしい彼の頭をわしゃわしゃと撫で回す。
さあ、行こう。
「あ、ロイ君いたいた~。リー君は?今いる?」
青銀の髪の機械人の彼に話しかける。
「ああ、ニャオ姉……リーダーなら今仕事で外している。そろそろ来ると思うが」
「そっか、じゃあちょっと待とうかな。リー君とロイ君揃ってるときが良くて」
「何かあったか?」
「うんとね」
「ちょっと、相談があるんだ」
14章ここまで、■を挟んで15章になります。
今コレ予約投稿してる段階で15章の進捗はゼロです。遅れたらすみません。
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