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【書籍化準備中】「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
十三章 バレンタインのメッセージ

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13-5.バレンタインブームの錬金部屋

ぽこぽこ(サポートメンバー)視点

 アイテムごとの獲得超越ポイントの大小は、概ね以下のようになっているらしい。


 店売り品≦モブ敵素材<モブ敵装備品<<(超えられない手間暇の壁)<<プレイヤーメイドアイテム<(超えにくいボスの壁)<ボスドロップ素材<ボスドロップ装備品


 現在ボスのダントツ人気は巨人の峡谷の、岩喰いの大巨人だ。

 ボスレベルが低く周回しやすいこと、ダンジョン自体がインスタントダンジョンのため内部でプレイヤー競合が起こらないこと、ドロップ品自体が扱いにくく全て食わせても全く困らないこと。そして何よりも、10種類もの装備品をドロップするという圧倒的な品数で絶大な人気を誇っている。



 さて、話は変わるが現在EFOでは、というか世間の全てのMMORPGで、バレンタインイベントが行われている。

 他のMMORPGでは2月14日で終了するものも多いが、EFOは多数の週末プレイヤーを抱えているため、イベント自体は2月末日まで行われる。


 EFOのバレンタインは、敵が追加でハートの欠片というものをドロップするようになり、それを4個集めて錬金するとハート型のチョコレートになるというまあよくあるものだ。

 NPC交換でいくつかの便利系アイテムやレア目な素材と交換できる他、使用すると下級エリクサー相当の回復をする。上位プレイヤーにとっては雑魚狩りでついでにレア素材が手に入るとはいえさして美味くはない、どちらかというと初心者支援系イベントだ。


 ところでこのチョコレートはバレンタインというイベントの特性上他プレイヤーにプレゼントができるのだけれど、送付時にちょっとしたメッセージを書き添えることができる。


 ちょっとしたメッセージを書き添え送付したチョコレートは、送付元プレイヤーを見分けたりメッセージを読み直したりできる仕様のため、内部のアイテムIDが異なっている。



 プレイヤーメイドで、アイテムIDの異なるアイテムを、大量に作ることができる。



 現在EFOでは、空前のバレンタインブームが到来していた。





 錬金室で錬金釜を目の前に、何をするでもなく談笑していた。


 連続作成で1000個も作ろうとすると、待ち時間が非常に長いのである。


「まさかバレンタインをこんなにガチでやる日がくるとはなー」

「メッセージ読み返しのために内部IDが変わるとか、気付いたやつ天才か」

「送付処理が一番めんどくせえ……同じメッセージで1000個送らせろ……」

「えー、あと誰に送ればいいんだ……?」

「困ったらねむ蝉に送っとけ」

「あいつ、結局どんだけキャラ作ったの?」

「知らん。知らんけどニャオ姉がキレてた」

「どんだけキャラスロ買ったんだ……」

「キャラスロ上限突破に脳を灼かれてしまったから、しかたないね」

「リーダーには送らんでいいの?」

「あー、配信でバレンタインチョコ交換会?募集会?やるって言ってた。リーダーはあんま種類つくってねーしな」

「ソードマンとブレイダーと細剣、あとランサーか。マックスでも8キャラならまあそんなもんか」

「ナチュラルにサブも2キャラなのウケるw」

「まあすぐに超越できんのは4つだから、とりあえずそんなにすぐはいらんのじゃない?」

「あ、終わったわお先~」

「おつおつー」


 出ていったぎんがーと入れ替わるように、緑色の髪を揺らして少女が入って来た。


「お邪魔します、今空いてますか?」

「セリスいらっしゃーい、丁度空いたよ~」

「良かった。えーと連続作成設定の……錬金、えーと……よし」


 今日は細剣をやっていたらしい彼女が隣でチョコレートの錬金を始めた。


「渡してくれりゃ俺等(サポメン)でやるよ?」

「あ、いえ丁度休憩もしたかったですし、まあ、100個くらいの予定なので。残りはお任せするつもりです。その時はよろしくお願いします」

「そなの?まあ無理しないでね」

「はい。特にムリとかはしていないです」

「……あの連戦は、無茶だと思う」

「いやっえっと……お手数おかけしました……?」

「あーいや怒ってない怒ってないwお陰で素材すげー潤ってるし。チョコ素材もめちゃめちゃ溜まっててタイミングはバッチリだった。ちょっと動画見ると精神にダメージが来るだけw」

「あれ本当に目回ったり吐き気したりしてない?」

「してないですよ。夜はよく眠れるので、寝る前にやるのはありかもって思ってるくらいです」

「それ睡眠じゃなくて気絶では?」

「体に良くない気がするからマジやめとけ」


 そうかなぁと本気で悩み始めた少女がちょっと心配になる。

 無茶せずちゃんと寝てくれ。


 そんな彼女はとりあえず2,30個ほど作ったらしいチョコレートを取り出して、錬金を再度連続作成し始める。


「えっと、ぽこぽこさん、無卿さん」

「ほい?」

「はいはい」

「いつもありがとうございます、よければ受け取って下さい」


 プレイヤー:セリス から バレンタインチョコレート が届きました♡

 メッセージ『いつもありがとうございます』


「「えっ」」

「……え?」

「あ、えーと、俺等は超越、一応ストーリーとしてはやってるけど、まともにやらないよ?」

「?…あの、バレンタインチョコレートです。いわゆる義理チョコというやつですけれど……」

「「…………」」

「……………………?」

「えっ!?俺宛!?!?!?!?」

「え、あ、はい、そうです」

「うわまじか!超嬉しい!!!!」


 ごめんその発想が皆無だった!えっ!女の子からバレンタインチョコ!?マジ!?!?アーティファクトじゃん!!!!


「うっわーありがとう!すっげー嬉しい!」

「バレンタインチョコとか十年ぶりにもらうわw」

「やべえ使えねえw取っときたいwww」

「消費期限ありますから、適当に使って下さいね」

「くっそ消費期限なんて微妙なもんつけやがって……」


 4月になるとチョコレートが溶けてしまって、メッセージも消えた「溶けたチョコ」という単一アイテムになってしまう。それまでには使っておかないといけない。

 あ、やべスクショスクショ。


「あ、錬金終わりました。私は失礼しますね」

「おつかれ~チョコありがと~」

「おつおつー」

「お疲れ様です」


 セリスがふわりと微笑んで錬金部屋から出ていった。


「……ギルチャかな」

「うす」


 速攻でギルドの全体チャットで自慢をする。

 ついさっきまで錬金部屋にいたぎんがーから死ぬほど悔しそうなスタンプが送られてきた。


 よし、これで誰ぞ一対一でチョコを受け取ってしまっても大した勘違いはしないだろう。……多分。


「あの子、やっぱちょい危ういとこあるなぁ」

「独り身おっさんにはちょーっと効きすぎますねえ」


 嬉しいけどね。超嬉しいけどね。3月31日まで絶対に使わないけどね。


「さっさと誰かとくっついてもらう方が安全かもなー」

「ウチのギルメンだと、誰でも割と年齢差あるぞ」

「それなw」


 一番近い男がグライド(売約済み)だもんなー。


 そんな与太話をしながら、とりあえずねむ蝉にチョコレート爆撃を開始した。



事故防止のため、エンチャント済み装備品は超越に使用できません(エンチャントは簡単に剥がせるので剥がして使用して下さい)

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