2-5.ソロ遊び人とソロアサシン
「ん~、そこまでかな」
ギルド『サザンクロス』リーダー:リーダー より PvP仲裁 が発生しました。
PvPを終了します。
緊張感のない声が響くと同時にアナウンスが流れ、戦闘フィールドが強制解除された。
「……へ?」
「…………おい」
気がつくとあの人とサザンクロスのリーダーさんが直ぐ側に来ていた。
「はいはい、そこまで。トップ勢が50も60もレベ下にここまで食いつかれたんだから、実質負けっしょ」
「だけど、彼女は」
「んー、ふつーのストーカーっぽくないじゃん?」
いやストーカーじゃないんです。そのつもりじゃなかったんです。
「まあ……そうだが」
ロイドが気まずそうにゴニョゴニョと返事をする。あ、ストーカーっぽくないとは思ってもらえてたんですね。よかった。
「そゆこと。――さて、通りすがりの遊び人さん、推定勝者として扱うよ。ただし立ち会わせてね」
「は、はい!ありがとうございます!」
この人一体どこから話聞いてたんだろう。普通にあの人と喋ってるように見えたんだけど、勝利報酬の話まで知ってるの?
ま、まあいいや。今はこっち!
「あ、あの、シーフさん!」
あの人が困った顔で首をかしげた。そりゃそうだ、もうシーフじゃなくてアサシンですもんね。
私は衣装操作でシルクハットを外す。
衣装効果が外れて結われていた髪が肩に落ちた。
「……?あれ?どこかで……会ったことありますか?」
「っ!!!はい!!!初心者殺しの森で助けていただいた者です!!!」
「えっ!?知り合い!?」
「遊び人に知り合いはいないと言っていなかったか?」
「その、以前お会いしたときは、初期職でしたよね」
「そうです!」
サザンクロスの二人から気の抜けたため息が出た。
よくわからないけど、どうもよほど警戒されていたらしい。なんかその、スミマセン。
「えーっと、えーっと、あれだ、フェニックス切らして死にかけてた?」
「そうです!」
「え、フェニックス切らすとかある?」
「普通はないが、初心者ならあるんじゃないか?」
すごい!覚えてもらえてた!
あとそこの二人は黙ってもらえますかね!自分が一番思ってるんで!!
キッと睨みつけると、リーダーさんが肩をすくめて黙った。
トランプをぎゅっと握りしめる。
あの時よりも一段濃い青色の装備を着たあの人に、ゆっくりと一歩近づいて。
「あの、私、あなたに憧れて!あの時のあなたがかっこよくて、私もなりたくて!」
「その、まだプレイヤースキルは全然届かないし、レベルもまだまだ低いし、その、こんな職業なんですけども……」
「私と、フレンドになってください!」
2章これで完結です。
もう一話か二話ほど幕間を挟んで、三章になります。
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