ヒルデブラント編3
ヒルデブラントはリンドス島にいた。そこで闇の儀式を行っていた。さらなる闇の力を得るためである。
「さあゾハルよ、その力を解放せよ!」
大きな魔法陣が現れ、ヒルデブラントを飲み込んでいく。
ヒルデブラントは魔法陣の中央にいた。魔力がヒルデブラントに流れ込んでいく。
「くっ! 遅かったか」
そこにセリオンが現れた。リンドス島へは船でやってきていた。
「ちょうどいい。強大な闇の力を持つ存在の誕生だ」
ヒルデブラントは悪魔へとその姿を変えた。
「私はツァラトゥストラ Zarathustra 大悪魔ツァラトゥストラだ!」
ツァラトゥストラは白い体をしていた。その翼を広げる。
「ここで終わらせる! 何もかも!」
セリオンは光の大剣でツァラトゥストラを攻撃した。
「フフフ、やるではないか。だが!」
ツァラトゥストラは闇の雨を降らせた。
「ぐっ!? これは厄介だな!」
セリオンは闇の雨の範囲から脱出した。ツァラトゥストラは長い腕で薙ぎ払った。
セリオンは身をかがめて回避した。ツァラトゥストラは腕を伸ばしてセリオンを押しつぶそうとしてきた。
セリオンはかわして、光の一撃を叩きこむ。
「これをくらうがいい!」
ツァラトゥストラは手に魔力を集中させた。そして、セリオンを狙って投げつける。セリオンの周囲で爆発が連続して巻き起こった。
「くっ!?」
セリオンは光の剣で薙ぎ払った。確実にツァラトゥストラにダメージを与えていく。セリオンの大剣・神剣サンダルフォンが光輝いた。
「これで、終わりだ!」
セリオンは上から下に大剣を振り下ろした。
「ぐあああああああああああ!?」
ツァラトゥストラは悲鳴を上げながら倒れた。
ツァラトゥストラは消えて、ヒルデブラントの姿に戻った。
「クリスティーナ、ごめんな……お兄ちゃんは天国に行けそうもないよ……」
それがヒルデブラントの最期の言葉だった。
クリスティーネは同じ兄弟姉妹としてテンペルに迎え入れられた。
「おめでとう、クリスティーネ」
「ありがとう、エスカローネ」
エスカローネはクリスティーネの手を取って喜んだ。
「これからは同じ兄弟姉妹だ。よろしく、クリスティーネ」
セリオンが言った。
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
クリスティーネは青い修道服に身を包んでいた。
「ヒルデブラントのことなんだが……」
「はい。いいのです。あの方の魂はどこに行こうが救われたと思います。私は幸せ者です。私のような人形がこのような形で共同体に迎え入れられるなんて」
クリスティーネは涙を流した。
「あなたは人形なんかじゃないわ。だって涙を流せるんだもの」
エスカローネが言った。
「君は自分の意思で行動した。君には自分の意思がある。だから、君は人形なんかじゃない」
「はい」
クリスティーネはテンペルの一員となった。こうして、彼女に救済と浄福が訪れた。クリスティーネはこうしてテンペルの兄弟姉妹として生きられるようになった。これが新しき生であった。