表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

彼女と焚火と塩化ビニルの落ち葉

作者: 鈴式

「はぁ…やっと終わった。」


日頃の運動不足が祟って、大したことをやったわけでもないのに、身体中が痛い。この分だと明日は筋肉痛だろう。


「これだから落葉樹は…」


流石の彼女も肉体労働はあまり得意では無いらしい。


良い事を思い付いた。


「折角だからそこらで焚き火でもしていきません?」


最初からこれが目当てで落葉を掃除していたわけでは無い。思いつきである。


「先輩、落葉は可燃ごみなので私たちが燃やさなくともいずれ誰かが燃やしますよ?」


身も蓋もない


「いや、そうじゃなくてだね…」


「落葉って塩化ビニルか何かでしたっけ?」


「いや違うけどね…」


取りつく島もないとはこの事である。


「…人が落葉を燃やす時、そこには、何かしら意味があります。例えば、一昔前の日本ならば、そこで燃してしまえば、焼却炉までわざわざ持っていく手間が省ける上に、暖もとれると、一石二鳥だったわけです。しかし現代日本でそんなことをする必要性は見当たりません。では、先輩は何を思って焚き火をしようと言ったのでしょうか?」


わざとらしく質問形で終わらせて、こちらに視線を向ける。


なるほど…


「……じゃあ、もう少し君と話していたいから、向こうで朽葉でも燃焼させて時間を潰しませんか?」


風が吹き、集めた落葉が少し、吹き飛ばされる。


「喜んで」


そう笑って答えた彼女の顔は、沈み行く夕日のせいか少し赤くなっている様な気がした。



季節はもう、冬である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ