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元異世界魔王の佐藤くん  作者: みそてんろ
1章 魔王降臨
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3話 イジメと魔王 (3)

 激しい物音と同時に目を開けると、力賀くんとやり合ってたはずの鬼塚先輩も、僕を今まさに殴りかかろうとしていた安田先輩も地面に伏していた。

 そして、小さい彼は大声で泣きじゃくっていた。


「何が…どうなって…?」


 すると、力賀くんは頬から軽く血を流しながら味方でもウザいと思うくらいのドヤ顔を決めた。


「へへへ、俺がぶっ倒してやったんよ」

「あの一瞬で…力賀くんが…?」

「おうよ、なんか殴りかかる直前に二人がなんか固まってよぉ。その間にドカンよ」


 二人が固まった…?

 鬼塚先輩のことは見てなかったけど、安田先輩は確かに殴る直前、躊躇なんてしてなかった。

 なのにどうして…。


 小さな彼はピーピー泣き続けていた。

 佐藤くんは…何もなかったかのように無表情だ。

 佐藤くんはどこまで肝が座っているんだろう。

 いや、もしかして佐藤くんが何かしたのか?


「てかよぉ」


 僕が一人で考え込んでいると力賀くんが口を開いた。


「お前チビうるせえな。いつまで泣いてんだ」

「だって…痛かったし…」

「んな弱いのになんで助けようとしたんだよ」

「見捨てられるわけないだろ!バカか!」


 こ、この人も頭がおかしいのか…?


「ど、どうもありがとう。実際、僕が殴られる分を庇ってくれたわけだしね。名前なんていうの?」


 小さい彼は落ち着きを取り戻しながら答えた。


「二組の大田だ。大田隼也」

「大田ってお前ぷぷ!チビなのに大田って!」


 わぁ…力賀くんそこは触れちゃダメなとこだよ…。


「うるせえデカブツ!お前らは名前なんて言うんだよ!」

「四組。俺は力賀剛だ。よろしくなチビ田」

「一組の、僕は木下通だよ。よろしくね」


 佐藤くんはまたしても無言のまま、僕たちのことを眺めていた。


「そっちのお前はなんて言うんだ?」


 少し黙った後に、佐藤くんは口を開いた。


「佐藤…真央だ」

「佐藤か!よろしくな!」


 相変わらず無表情で、どこか冷たい瞳だ。

 こんな態度を見せられて、僕は彼を元イジメられっ子とはもう思えなかった。

 佐藤くんには何かある。絶対に。


 僕らがホームルームを遅刻して先生に怒られたことは、言うまでもなくお分かり頂けるだろう。




 帰りは、なんとなく佐藤くんには声をかけずに一人で帰ろうと思ったんだけど…下駄箱で佐藤くんを見かけてしまった。

 僕は、話しかけることはせず、なんとなく彼の後を追うことにした。


 しばらく歩き、人気の少ない薄暗いところまで来た。

 佐藤くん家は一体どこにあるんだ…。

 僕が一瞬辺りの景色を見回していると、目の前に既に佐藤くんの姿はなくなっていた。

 おかしい。一本道だし隠れられる場所なんてないのに。



(※佐藤真央視点に切り替わります)


「チッ」


 あいつ一体どこまで追いかけてくる気だ。面倒くさいな、学校というところは。【記憶掌握】を行なった相手では全員が楽しいような記憶ばかり持っていたというのに。自由に魔法が使えればあんなまどろっこしい真似はしなくて済んだのにな…。

 不良共との交戦中、全員が俺から注意がそれた一瞬、俺は不良の二人に微弱な電流を流したのだ。この世界では電気ショックという言葉もあるし、力賀とか言うバカのお陰で色々と誤魔化せたな。

 木下って奴には疑われてしまったが、一つ分かったこともある。

 やはり俺の力はかなり弱体化してしまっている。あの微弱な電撃ですらかなりの体力を持っていかれたし、今も瞬間移動をしただけでかなり疲れた。

 そこで俺はほぼ間違いない仮説に行き着いた。まず一つは地球というこの世界は重力が強いこと。俺たちの世界よりも動きがかなり鈍くなる。そして魔法を使うために必要な魔のエネルギーが自然発生していないことだ。


「チッ、元の世界なら一時間もすりゃこんな小さな世界滅ぼせるだけの魔力が回復するのに」


 しかしなんで俺はあんな木下とかいう奴のために動こうとしたんだ。いや、愚問だな。取られたものを取り返そうとしない脆弱な精神に腹が立ったんだ。

 力賀と言う男は面白い。人間にしては中々の素質を持っている。奴に力を与えれば幹部くらいの働きは見せるだろう。もう少しつるんでみるか。


「そう簡単に行くかしらね」


 !?


「お前は…」


 力が弱まっていたせいで背後に全く意識が向けられていなかった。不覚だ。

 この世界で魔力を持つ者はいない。姿は俺と同じで多少なり変わっているだろうがすぐに分かった。


「勇者…ミキト…!」

「魔王サタン、思惑通り力が弱まったようね」


 !!

 いや、気のせいか?ミキトと言う名だから男とばかり思っていたが…いやこの身長…。


「お前、女だったのか」

「今更!?…まあ確かにちゃんと会話はしたことないものね、仕方ないわね」

「身長もクソ小さいじゃねえか…いくつだそれ」

「うるさいわね!私たち異世界人がこっちの世界に来ると弱体化と同時に若返るのよ!あなたと同じ高校一年生よ!!」

「なんだ、お前も弱体化してるのか。焦って損したぞまったく」


 ふん、と鼻を鳴らすと勇者ミキトは振り返った。


「今すぐにあなたを殺すことはしない。この世界には法律というものがあるの。魔王や勇者と言っても信じてもらえないしね。その代わりあなたが悪巧みしないように私も同じ高校に通うわ。三木優愛よ。間違ってもミキトって名前で呼ばないでちょうだいね。あなたも危険な目に遭うわよ」

「気が強いのは弱体化しても変わらないみてえだな。まあ安心しろ。察しの通り、俺もこの世界のことはまだ不十分で手も出せない状態が事実だ。一時休戦と行こうや勇者様よぉ。俺は佐藤真央だ」


 勇者ミキトもとい、三木優愛はまたもふん、と鼻を鳴らしどこかへと去って行った。

佐藤真央サトウマオ

主人公。現15歳という設定。元異世界の魔王。

黒髪で身長168cm、体重59kgと普通。


木下通キノシタトオル

『イジメと魔王』での視点役。元イジメられっ子。

15歳。身長163cm、体重54kgと小柄。


力賀剛リキガツヨシ

ただのバカ。本物のバカ。ただし重要人物。

16歳。身長182cm、体重80kgと大柄。


大田隼也オオタシュンヤ

威勢だけはいい泣き虫。厨二病気質。

15歳。身長160cm、体重52kgと小柄。


三木優愛ミキユウア

現15歳という設定。元異世界の勇者。

金髪。身長152cm、体重40kgと超小柄。


鬼塚オニヅカ先輩

二年を統括している、不良グループの代表。

17歳。身長175cm、体重62kg。


安田ヤスダ先輩

不良グループの一人。二年生。

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