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元異世界魔王の佐藤くん  作者: みそてんろ
1章 魔王降臨
2/5

1話 イジメと魔王 (1)

前書きというか注意書きをさせて頂きます。

作者は超絶素人ですので、文が拙かったり誤字脱字は(気をつけますが)ご容赦ください。


それから、プロローグでは厨二臭い魔法やら何やらが展開されていましたが、基本的に派手な魔法描写は今後はあまりありません。


異世界モノのファンタジー小説ではなく、異世界の住人が地球、日本でバレないように生活していくのがコンセプトのコメディorシリアス小説です。


以上を注意した上、是非ご一読ください。

 桜吹雪の中、僕はドキドキしながら校門を跨いだ。

 中学までイジメられていた僕は、高校進学のこの時のために努力をしてきたと言っても過言ではない。


「今度こそ友達を作って沢山の思い出を作って、青春を謳歌してやるんだ!」


 しかし、そんな僕の期待は初日から崩されることとなる。




 長い始業式が終わり、新入生は各クラスへと集められる。

 僕は眼鏡を外し、髪もこの日のために少しでも爽やかに見せるように短くしてきたのだ。大丈夫。自己紹介も噛まずに言えた。きっと大丈夫だ。

 クラスにも怖い不良のような生徒はいなかった。


 よし、まずは友達を作るぞ。自分から行こう。前向きに、爽やかに行こう。


「や、やあ。僕は木下通。よかったら話をしないかい?」


 噛まずに言えたぞ。僕は隣の席に座っていた前髪の長い大人しそうな男子生徒に話しかけた。

 僕の言葉に気付くと彼はゆっくりと顔を向けた。


「ん?俺か?」

「そ、そうだよ。佐藤くんだったかな」

「ああ。佐藤」


 彼の目付きはキリッとしていて少し怖かった。

 でも話をしてる。友達になるんだ。


「佐藤くんはどこ中出身?友達になろうよ」


 佐藤くんは少し首を傾げて答えた。


「中学には行ってない」


 彼の言葉に僕の頭はグルッと回転した。もしかしたら彼はイジメられて不登校だったのかもしれない。


「そうなんだ!高校は一緒に行けるといいね」

「そうだな」


 彼との話は終わってしまった。

 でもきっと彼を勇気付けられたはずだ。うん。話し終わると彼はそのまま机に突っ伏してしまった。

 緊張したのかな。ふふ、なんだかいいことをした気分になっていた。




 今日は初めての登校だったために午前中で帰宅となった。僕は佐藤くんとの会話を何度も思い出した。

 ふふ、元イジメられっ子の友達が出来るなんて心強いな、ついてるぞ。

 そんなことを考え浮かれてしまっていた。


 ドシッとぶつかった先には今の僕が一番見たくない光景が広がっていた。


「いってぇな。どこ見て歩いてんだよ」


 外見から分かる怖そうな風貌、それにヨロけた制服から分かった。上級生だ。


「てめぇ名前なんて言うんだ」

「き、木下通です…」

「木下だな。覚えたぞ」


 僕は初日から上級生の不良に目をつけられてしまった。

 この高校は、お世辞を言ってもあまり頭のいい高校とは呼べない。そのため、僕のような元いじめられっ子や勉強をして来なかった不良達が集まりやすい。

 二年生を統括しているのは僕が昨日不運にもぶつかってしまった鬼塚先輩だった。




 翌日、僕は早速鬼塚先輩に呼び出された。


「よお、ちゃんと来たじゃん」

「な、何の用でしょうか…」


 僕が質問をすると、鬼塚先輩は待ってましたと言わんばかりの笑みで立ち上がった。


「昨日ぶつかったの、お前の不注意だろ?やっぱさー、謝罪には何か必要だと思うんだよ」


 たかだか少しぶつかっただけで、鬼塚先輩は都合のいいように語り始めた。どこの世界も不良なんてものはキッカケさえあれば口実は適当なんだ。


「分かるよなぁ?」


 いきなりの睨み顔に僕は何も言えなかった。

 これ以上目を付けられたくない想いで、僕は散々嫌に思っていた財布を鞄から抜き出した。


「分かってんじゃん」


 鬼塚先輩は財布から、僕の全財産、数千円を抜き出し自分のポケットにしまった。

 そして、後ろに控えていたゴツイ体の不良に命じた。


「おい力賀、初仕事だ。こいつを見張っとけ。先公に言いつける真似したら連れて来い」


 鬼塚先輩は二年生で、そんな彼が命令すると言うことは力賀と言う男は同い年か?

 どうもそうは見えない大柄な体型に前衛的なモヒカン頭、目つきの悪い人相が僕を恐怖させた。

 これからは彼に付き纏われるのか…。

 僕は不安感で押し潰されそうになった。

 しかし、そんな力賀くんは驚くことを言い放った。


「なんで俺がそんなことしなきゃなんねんだ」


 それを聞いた周りの不良軍団が呆然としていた。当の本人は危機感もなく、鼻くそをほじっている。

 舐め腐るにも程があるだろう。


「てめえ力賀、どう言うつもりだ」

「俺そう言うの好きじゃねんだ。貸し作ったならしっかり返せよ。ダセエじゃねえか」


 力賀くんは鬼塚先輩を更に煽り出した。


「まあいいや、木下っつったっけか。行こうぜ」


 力賀くんは今にも戦闘態勢な先輩不良軍団を無視してマイペースに僕の手を掴んで歩き出した。


「てめえ力賀!逃げんじゃねえ!」

「逃げんじゃねえよウンコしたくなったんだ」


 な…なんなんだこの男は…。

 危機感の欠片もないのか?不良じゃないのか?

 不良は先輩には礼儀正しい上下関係の強い生き物じゃなかったのか?彼が異端なだけか?

 しかし、僕はこのマイペースな力賀くんに、結果として助けられることとなった。

 先輩たちも新学期早々、新入生と揉め事は起こしたくなかったのかもしれない。


 逃げ出す口実じゃなくて本当に真っ先にトイレへ向かい個室大便器に篭った力賀くんに聞いた。


「力賀くん、君は不良じゃないの?」


 少しの沈黙の後、彼から返事が返ってきた。


「不良ってなんだ?」


 …はぁ?ただのバカなのか、それとも僕をおちょくっているのか?


「俺そう言うのよく分かんねえけど、みんな人間だろ。平等じゃねえか」


 分かった。根はすごくいい奴なんだろうけど、きっと彼は本物のバカなんだ。見た目のお陰で不良として日常的に扱われてきたけど、本人にその意識はなかったんだ。

 僕はそのことに強く頼もしさを感じた。


「あ、あの、よかったら僕と友達にならない?」


 すると、またしても少しの沈黙の後に話した。


「俺ら手繋いで連れションしたしもうダチだべ?」


 僕は彼の純粋だと知った後に言われたその一言に、少しだけ泣きそうになってしまった。

第一話、お読み頂きありがとうございます。

この後書きでは、ストーリーや人間性がうまく伝わるよう背景設定や人物紹介の場になればと思います。



佐藤真央サトウマオ

主人公。現15歳という設定。元異世界の魔王。

黒髪で身長168cm、体重59kgと普通。


木下通キノシタトオル

『イジメと魔王』での視点役。元イジメられっ子。

15歳。身長163cm、体重54kgと小柄。


力賀剛リキガツヨシ

ただのバカ。本物のバカ。ただし重要人物。

16歳。身長182cm、体重80kgと大柄。


鬼塚オニヅカ先輩

二年を統括している、不良グループの代表。

17歳。身長175cm、体重62kg。

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