表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/13

わが回想記(12) ~加古川時代 ホームパーティーの思い出



▼広島支店勤務を終えた後、大阪本社で1年間を過ごした。

だが、そこに私の居場所はなかった。自ら希望し、高砂市にある事業所

への転勤を選択した。食品工場に隣接した物流センターで、物流会社の

社員20名を管理する仕事だった。


無理をすれば自宅から通勤も可能だったが、加古川市内に家を借り、再

び単身赴任を選んだ。2階建アパートの1階部分。かなりゆったりとした2

DKの部屋に、庭まで付いていた。やがて、この庭で菜園生活をスタート

する。

この住居を選んだのは、直感だ。山陽電鉄尾上の松駅から徒歩3分の至

近距離。通勤の便利さもあったが、この小さな駅が気に入った。

風情のある駅名、その駅前には小さな「鮮魚店」と、地酒の品揃いが渋い

酒屋、鉢植えやガーデニング用品を揃えたおしゃれな園芸店が並んでいた。



▼仕事の方は相変わらずだった。実働部隊は物流会社の若い連中が担っ

てくれたので、当方は適宜指示を出し、本社につなぐ役目だった。

しかし、24時間稼働している物流センターだったので、夜中の電話が恐怖だ

った。小林君から緊急のコールがあり、マテハン機器が停止したとの一報。

様子を見るために私は待機する。機械は動き出したが、コンピュータ・データ

との照合を確認中との続報。「よろしく頼む・・」と言ったものの、すぐには眠れ

ない。こんなことが日常茶飯事だった。全国で一番機械化が進んだセンター

を恨んだ。


頑張ってくれている物流会社のリーダークラス3~4名を自宅に招いて、ホー

ムパーティーを定期的に開いた。事前にメニューを決め、食材を集め、入念

に準備をした。酒は彼らが持ってきた。

焼き肉や鍋をメインにする回もあったが、日ごろの手料理を披露した。鶏ポ

ン、インゲンごま和え、鯛のカルパッチョ、焼きパプリカのマリネ、小松菜の

煮びたし、根菜のパスタ、チキン竜田揚げ、焼き厚揚げのしょうが醤油、鯵

のタタキなど、印刷した「お品書き」を用意して一品づつ提供した。


2008年春、自宅のパソコンに一通のEメールが届いた。

送信者M氏は、メールマガジン「おやじのための自炊講座」の長年の読者

であり、是非この内容を書籍化したいとあった。

継続は力なり。メルマガを発行してから実に8年目。ついにこの日がやって

来た。



▼週に一度のメルマガ発行は、私の生活そのものになっていた。食事をする

ように文章を書き、発行する。会社にいる時間だけはリアル世界の実名を使

っているが、それ以外はバーチャル世界に遊ぶ「ジミヘン」であった。

M氏がスタッフを連れて加古川へやって来た。氏は(当然のことながら)当方

のことをよく知っていて、当惑した。

メルマガで紹介していた近所の居酒屋「さつま」へ行き、皆で乾杯した。

エディター女史、出版社の幹部、イラストレーター女史を交えて楽しい酒を飲

んだ。「さつま」の女将が作る季節のつきだし・出し巻き玉子・アサリの酒蒸し

・湯豆腐と芋焼酎で盛り上がり、和やな顔合わせになった。


結局、半年間に及ぶ編集作業はすべてパソコンのデータ送信とEメールで行

われ、次に顔を合わせたのは東京での完成打ち上げパーティーの時だった。

2008年秋、単行本「おやじのための自炊講座」(著者名:ジミヘン)が出版さ

れ、その翌月、私は37年間勤務した会社を定年退職した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ