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ひとりよがり  作者: いそじん
死ぬまで
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2. 選択

義務教育が苦手な僕は、まるでものを知らなかった。

癌は末期だと死ぬ、という話は聞いていた。


「癌って入院とか、いろいろするんですかね?」


盛大に無知を晒した。

僕は彼女の家に居候していたので、お金がないことが一番の心配だった。


「色々なコースがあります」


そういって医者は一呼吸置いた。彼女の家に来たセールスマンを思い出した。


「まずは【じっくり永眠コース】、これは残り一か月の余生を病院でじっくり味わってもらうコースで、ご家族ご友人の多い患者様に大変支持されています。

患者様がお亡くなりになるまでの費用がかさんでしまうというデメリットもございますが、どうせこの先使い道もないだろうと、みなさんこぞって当コースに準遺産をおつぎ込みになられます」


頭の中にある社会の倫理観との大きなズレを感じた。

しかし、医学の発展は到底僕の理解が及ぶものではない、という自覚はあったので、黙って話を聞いた。


「全財産をもってしても予算がこのコースに届かない、そういった患者様にお勧めしているのが【さっくり即死コース】です。

当院秘伝の薬剤を投与し、あっという間に昇天していただけるコースで、大して死ぬ前に会いたい人もいない・どうせ死ぬなら早い方が楽、といった現代っ子な患者様に大変支持されています」


医者が医者なら患者も患者だな、と失礼なことを思わせるコースだった。

この頭痛は癌由来のものではないと、医者でもないのに判断できた。


とりあえず今の二つのコースに、僕は魅力を感じなかった。

即死には抵抗があるし、永眠コースは彼女からもらうお小遣いでは賄いきれないだろう。


「他にはどんなコースが?」

「他のコースはありません」


2択だとは思わなかった。

全然あの世行かないな

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