主従関係の行く末 by湊あくあ
お久しぶりです、本当にお久しぶりです…
いや…あの…実は先月風邪を引きまして…
小説全く書けなくなったんですよね(周りの目が厳しくて)
まぁそんな事はさておき、今回はロボ子さんの後輩さん、ホロライブ2期生の方のお話…
1期生の方のお話書いてる時点で自分の中で何となくこうなるのは察してました、はい
ではでは、ごゆるりと…m(_ _)m
ここは由緒正しきホロライブ家の屋敷
そこには複数のメイドと父、母、兄、○○の4人がいた
父と母は厳しく、兄のクルーズは優秀で全てにおいて完璧に出来る。
対して○○は勉学も出来ず、運動も出来ない所謂ダメ人間
唯一あるとすれば心が優しいところ、兄は冷酷である為正に正反対な兄弟である。
この家族をかき乱すはメイドの湊あくあ、彼女がもたらすは平和かそれとも…
「旦那様、奥様、おはようございます」
「おはようございます」
メイド長の癒月ちょこが挨拶をすると他のメイドも挨拶をしていった
「あぁ、おはよう」
「おはよう」
父と母もそれぞれ挨拶をする
「…」
「おはー」
兄のクルーズは無言、俺は軽い感じで挨拶をした
「クルーズ坊っちゃま、今日のスケジュールですが…」
「分かってる、言わずとも頭に入ってる」
「ありがとうございます」
兄貴は頭が良い、一度見聞きした事は大抵忘れないハイスペックだ
それに比べて俺は
「○○坊っちゃま、今日のスケジュールですが」
「あー俺パス、どうせ出来ないし」
「しかし」
「構わん、放っておけ」
「…かしこまりました」
そう、この扱いである
兄貴がハイスペックな反面、俺は何も出来ないダメ人間らしい
実際兄貴と同じ学校に通ってるが必ず何事も比べられる、これは兄弟の宿命でもあるから仕方ない事だけど
「クルーズ、今日は19時26分に急遽カバー家との会談がある、良いな?」
「分かりました」
何故半端な時間に会談が入ったか?
俺の屋敷は多忙で分刻みにスケジュールが組まれてる、まぁ俺には関係無いけどね
「さて、ごっそーさん、部屋戻るわ」
「はぁ…何故お前のような無能が生まれたんだ…恥を知れ」
「…」
俺はその問いに答えず部屋に戻った
が…
「んー!んー!」
何故か洗濯物に埋もれてる屋敷のメイドが居た
「おーい…何してんのあくあ?」
この埋もれてるメイドは湊あくあ、最近入った新人のメイド
なんだけど…屋敷の壺割るし紅茶もこぼすしで付いたあだ名が駄メイドあくあ、何となく親近感が湧いてくる
「ぷはっ…あ、○○坊っちゃま」
「人の部屋散らかさないでくれるかな?」
「も、申し訳ありません…」
「はぁ…まぁ良いよ、一緒に片付けるよ」
俺は自分の洗濯物をたたみ始めた
「あの、○○坊っちゃまは怒らないんですか?」
「ん?怒って欲しいの?」
「い、いえ…そういう訳では…」
「まぁ良いじゃん、早くやるよ」
「はい」
「そういえば埋もれてる時パンツ見えたよ、水色なんだな」
「なっ!?違いますよ!今日のパンツは白…あ…」
「へぇ…」
「○○坊っちゃまのエッチ…」
あくあは口を尖らせながらそう呟いた
「ん?」
俺は洗濯物の中から濡れている洗濯物を見付けた
部屋に運ばれる洗濯物は基本乾いてるので、不審に思う
「なぁあくあ、この洗濯物濡れてるんだけど」
「え?そんな…ちゃんと乾かしてきたのに」
あくあはそう言うが、こいつはかなりのドジっ子である
あまり言う事が信用出来ない
「ちょっと失礼しますね」
あくあはそう言うと俺から洗濯物を取った
「あっ…これ…あたしの涎だ…」
「はぁ!?」
こいつ涎垂らしてんのか!?汚ぇ…
「申し訳ございません、〇〇坊ちゃま…この洗濯物はまた洗濯し直しますね」
「あ、あぁ…てかあくあの涎付いてるの触っちゃったのか…げぇ…」
「な!?そんな反応しなくても良いじゃないですか!こんなかわいい女の子の涎ですよ?貴重なんですよ?」
あくあは何を熱弁してるのだろうか、そんな事言われても汚いものは汚いと思う
「はぁ…お前見てると色々と馬鹿らしく思えてくるよ」
「何かあったんですか?」
「ん?俺がこの屋敷で邪魔者扱いされてるのは知ってるだろ?いい加減そんな暮らしも嫌になってきてさ」
「あたしもここに勤め始めてから何一つお役に立ててませんから…お気持ち分かりますよ」
「そっか…意外と似たもの同士なのかもな」
「ふふっ…そうですね」
それから洗濯物を畳み、暫くあくあと喋っていた
癒月メイド長に見つかって叱られるまで…
それから数日が経った
俺は相変わらずの扱い、あくあも色々割ったりしている
あくあはそろそろクビにならないか心配だけど…
パリーン
「またですか…」
「あっ…申し訳ありません…」
「あなたは何回割れば気が済むんですか?これは全て旦那様に報告させていただきます」
「…」
(あいつ…また割ったのか…流石に心配になってきたな)
俺はあくあが癒月メイド長に叱られてるのを陰から見ていた
「はぁ…」
あたし何やってんだろ…メイド長からは毎日叱られるし、壺や皿も割っちゃうし…向いてないのかな、メイド…
「おい!待て〇〇!」
「待たねぇよ、もうこんな屋敷に居てもしょうがないだろ俺なんて」
「それは自覚していたか、だがなこれ以上好き勝手されるとこちらとしても迷惑なのだぞ」
「知らねぇよ、俺はここに居ても厄介者だ、好きに動かせてもらうわ」
あれは〇〇坊っちゃまと旦那様…?
何で〇〇坊っちゃま荷物を持って…まさか…
「それに、俺とあくあどっちか追い出そうなんて思うなら俺は自分が消えるのを選択するわ」
「!?」
え…あたしと〇〇坊っちゃまを…?
何で〇〇坊っちゃまは自分を犠牲に…
「貴様…」
「じゃあなクソ兄貴、俺が消えるんだからあくあは追い出すなよ」
「あいつにどうしてそこまで構う?お前にとって何なのだ?よもや恋愛感情なんて持ってないだろうな?」
「あ?別にそんなんじゃねぇよ、ただ…俺とあいつは似てるなって思っただけだ」
〇〇坊っちゃまは、そう言い残して屋敷を出て行きました…
俺はあくあがメイド長に叱られてるのを見た後、自分の部屋に戻ろうとした、その時親父と兄貴の会話が聞こえたんだ
俺とあくあどちらかを追い出そうって話が…
元々、俺は今の生活に嫌気がさしていたからこれを機に屋敷を出る決意をした
あくあに恋愛感情は…無いとは言いきれないけど…
あいつには妙な親近感があるから
「父上、○○が屋敷を出て行きました」
「構わん、放っておけ」
「しかし」
「ワシが良いと言っている」
「分かり…ました…」
(何故○○をあんなに自由に…)
この時クルーズにそんな疑問がよぎった
「さぁて…これからどうするかな」
俺は屋敷を抜けたがその後の事を考えてなかった
直ぐにでも行動しないとあくあが追い出されるかもと思ったからだ
そう言えばあくあに何も話さず出て行ったけど、良かったのだろうか?
「ん…?」
悩みながら歩いている内に、路上占いを見付けた
この際占ってもらおうかと思う
「すいませーん、ちょっと占って下さーい」
「はいはい、何を占いますか?」
「んじゃ…今後の俺の未来で」
「はいはい、お安い御用で」
そして俺の占いが始まった
気のせいか何かこの人髪の毛浮いてないか…?風なんて吹いてないんだが…
「出ました、あなたはこれから大きな決断を迫られます、1つは全てを失ってでも1人と添い遂げる、もう1つは全てを手にするも1人を失う、という結果です」
随分変な結果が出てしまった…俺の未来ロクでもなさそうだな…
「あー…どうもありがとうございました…」
「お待ちなされ」
「はい?」
突然占い師に止められた
「直ぐに戻られた方が良い、選択の時は直ぐです」
「は…はぁ…?」
「急がないとどちらも失い、最悪の結果になります」
何でこの人そんな事言うんだろうか?
俺には分からなかった
「おい、あくあ」
「はい、どうなさいましたか?クルーズ坊っちゃま」
「ちょっと必要な物があるんだ、買ってきてくれ」
「かしこまりました、何を買って来れば宜しいですか?」
「あぁ、欲しい物は…」
クルーズ坊っちゃまが私に買い出しを頼むなんて思わなかったです
ここはきちんと全うして、お役に立たなければ!
あくあはクルーズに頼られたと思い奮起していた、しかしそのあくあを尾行する2人の影が迫っていた
「父上、あくあを買い出しに行かせました、後は手筈通りに」
「良くやった、これで準備が整う、奴隷市場のな…」
「ん…んー…ここは…」
私はクルーズ坊っちゃまに買い出しを頼まれたはずなのに…誰かが後ろから何かを口にあててきてそのまま…
「え?何で手錠されてるの…?だ、誰かー!誰か居ませんかー!」
「起きたか」
「あっ…旦那様…?ここは何処なんですか?何故手錠を…」
「お前は○○のようにクズで使えなかったからな、せめて他の客に買われるんだな」
「そ…それはどういう…」
「まだ分からないのか?お前を奴隷市場に出すんだよ」
奴隷市場…?何で…?私は一生懸命にやってるのに…
「フン…言葉も失ったか…まぁ良い、騒がれるよりかはマシだからな、始まるまで大人しくしてるんだな」
旦那様が何か言ってる気がしましたが、そんなの耳に入りませんでした…
○○坊っちゃま…助けて…ください…
あの占い師、俺に戻れってどういう事だよ…
他人に従うのは嫌だけど、何か不思議な感じだったし、少しだけ戻ってみるか…あくあにも別れの挨拶しとかなきゃだったし
「あれ…?」
おかしい、あくあが居ないのは勿論だが、兄貴と親父の姿も無い
何があった…?
「あら、○○坊っちゃまお戻りになられましたか」
声をかけてきたのは癒月メイド長だった
「なあ、あくあは何処だ?兄貴と親父も見当たらないけど」
「あくあさんなら…買い出しに行かれましたよ、クルーズ坊っちゃまと旦那様は…この事は○○坊っちゃまには言わない約束でした」
あくあが買い出し?何やっても失敗だらけのあいつが?
ありえない、俺でも頼まないのに…
「兄貴と親父は何してんの?教えてくれよ」
「しかし…後悔されますよ?」
「良いから答えて」
「今日はあるオークションがありまして、そちらの準備に行かれております」
「なんだ、オークションなら別に」
「奴隷市場の」
「は?」
癒月メイド長から出てきた言葉は、予想外なものだった
「奴隷市場です、人身売買の」
「な…なんで兄貴と親父が…?それに今日はカバー家との会談があったはず…」
そうだ、会談があるのにそんな事してる場合じゃないだろ…
「アレはフェイクです、○○坊っちゃまを騙す為の。本当は19時半から奴隷市場の開催です」
「ふざけるな…言え、あくあは何処に居る?」
「…」
「言え、癒月メイド長」
「申し訳ありません、それは申し上げられません。しかし、会場の場所なら申し上げられます」
「それで良い、言え」
俺は苛立つように催促をした、一刻も早くその場に向かいたいからだ
「かしこまりました、場所は…」
俺は場所を聞いて走った、元々運動も出来ないせいかすぐ息切れを起こしてるが、それでも走った
あくあは…奴隷市場になんて出ないよな…?
今はあくあの無事をただ祈りながら走る…
18時半
「はぁ…はぁ…やっと着いた…」
走り続けて数時間、奴隷市場の会場に着いた
正直ずっと走り続けて吐きそうなレベルになっている、しかしまだ休む訳にはいかない
こんなふざけた催しは潰さなければならない、そして兄貴と親父も…
「あくあ、起きろ」
「う…?」
「そろそろ奴隷市場が開催される、お前の買い手が現れると良いな?居なかった場合…楽しませて貰った後そのまま…って事も有り得るからな」
「!?」
そんな…私はもう自由にはなれないの…?
嫌…誰か…助けて…○○坊っちゃま…!
「おい!どう言う事だ入れないって!」
「ですから、招待状が無いと会場には入れないんですって」
「俺はホロライブの人間だ、良いからそこをどけ!」
「聞き分けの無い方だ…これ以上は時間の無駄ですね…実力で排除します」
ガードマンが4人、俺を囲う
力も無いんだ、この状況は俺が確実に不利だ…
「おい、そいつは余の同行者だ」
ガードマンが一斉に声のした方に振り向く、俺も振り向いた、そこには…
「あやめ!?」
俺の数少ない知り合いの百鬼あやめが居た
ひゃっき、と読まれるケースが多いがこいつは、なきり、と読むらしい…最初間違えた時は泣きながら殴られた
「あやめ、何でここに…」
「警備員よ、そいつに手を出す事は余が許さん、持ち場に戻るが良い」
「これはあやめ様、失礼しました…」
ガードマンは立ち去って行った…
「ふぅ、とりあえずは安心じゃな、久しいのぉ○○、最近どうじゃ?」
「お前…何でこんな所に居るんだよ」
「ふむ…その問に答えるならば…お前様のとこからこんな物が来てな?それで来たという訳だ」
あやめはそう言うと奴隷市場の招待状らしき物を取り出した
確かにホロライブの文字が入っている、本当に裏でこんな事やってるとは思わなかった
「して○○よ、お前様は何故ここに居るのだ?」
「俺は…ここに俺のとこのメイドが居るかも知れないと思ってな」
「○○のとこのメイド…じゃと?」
「あぁ、実はな」
俺が事情を説明していると、あやめの表情がどんどん曇っていった
「○○…もし本当にここにそのあくあとやらが居るならば…危ないぞ?ここは特殊な趣味を持つ輩も多いと聞くぞ」
「最悪の場合…俺があくあを買うしか無いか…カード止められてないと良いけど」
「○○、余も手伝うか?」
「いや、流石に巻き込めないわ…俺一人の力で何とかするよ」
「そうか、ではせめて会場には入れるようにしておこう、先程余の同席者と言ったしな」
あやめにはもう頭が上がらないかもしれない…
「ありがとう、そこからは俺だけで頑張るから」
「うむ、頑張れよ○○」
「皆様、今宵はようこそ奴隷市場にお越し下さいました。今回も選りすぐりの奴隷がございます故、存分にお楽しみ下さいませ…!」
司会の挨拶でオークションが始まった
奴隷の中には筋骨隆々な男も居れば、絶世の美女のような女性も居た
あくあは見当たらなかった
「さぁ、次の奴隷はとある屋敷のメイド、湊あくあです!」
オークションが進むにつれ、あくあの出番が来たようだ
俺が…あくあを買ってこんな場所さっさとぶっ壊す!
「では500万からスタートです」
あくあの金額がどんどん上がっていく、どこかで大きく上げて周りの意欲を削がなければ…
「現在1億です、他には居ませんか?」
ここだ、ここで更に上乗せする…
「3「6億だ」億だ!え?」
俺の声に被せてきたのは、明らかにヤベぇ事をしてそうな奴だった
6億なんて俺の全額出しても足らない額、ここで…終わりなのか…?
「仕方ないのぉ○○よ…一つ貸しだぞ?」
俺が振り返るとそこにはあやめが居た
「あやめ…いや、お前に頼る訳には」
「あのメイド、お前様にとって大切なのだろう?気にするでない…10億じゃ!余は10億出す!」
あやめは俺の言葉など聞かず、10億という大金を提示した
「10億!他にございませんか?」
これ以上現れないでくれ…
「……居ないようですので、10億で落札とさせていただきます!」
あくあを落札出来た、と言ってもあやめが強引にやったんだが…
「お客様、こちらで手続きを」
入口で俺を包囲した1人があやめのところに来た
「うむ、あぁ○○よ、これから何があっても気にしないでくれ?」
「は?それってどういう」
ウーウーウーウー
「な…何だこの音?」
「全員そこを動くなッス!警察ッス!」
「警察…?にしては人数少ないが…」
パトカーは2台、警官は4人と余りにも少ない
「ふふふ…私が居れば警官なんて必要無いッス!行け!スタンド!」
は…?スタンド…?
そう思った矢先警官の後ろから変な影が現れ、瞬く間に会場に居た人間達を捕縛していった。
顔は…見ない方が良いだろう…
俺は捕縛されていなかった、他全員は捕縛されてるのに
「ふむ、流石仕事が早いな」
「あやめ…お前も無事だったのか」
「無事も何も、警察を呼んだのは余だからな」
「アレ…お前が呼んだのか…なかなかヤベぇ警官だな…」
あのスタンド?を出した警官は本人は何もせずスタンドで全て片付けてしまっていた、他の警官は奴隷の人間達を解放していた
「この度は通報ありがとうッス!おかげで一斉検挙出来たッス!ご協力感謝するッス!」
「うむ、助けになれたなら何よりだ」
「それじゃこいつらを全員連行するッス!皆行くッスよー」
警官はオークション参加者を全員影の中に押し込んでいった
あの影は一体どうなってるのか…
「離せ!ワシは…ワシは…!」
「父上…抵抗はみっともないです、受け入れましょう」
「クルーズ…貴様ぁぁ!」
「さぁ、早く連れてってくれ」
親父…兄貴…しっかり償ってくれな…
「○○坊っちゃま…」
「…?あ、あくあ…」
「○○坊っちゃまー!」
「うぐっ…」
あくあが突然抱きついてきた、その身体は小刻みに震えていた
「坊っちゃま…坊っちゃま…!あたし…怖かったです…!」
「あくあ…大丈夫だ、もう大丈夫だから…」
あくあは俺の胸でずっと泣いた、余程辛かったんだろう
「あ、あー…そろそろ良いか?」
あやめが事情聴取から戻ってきたのか、こちらに目を向けずにそう言ってきた
「あっ…申し訳ありません…」
「すまん、あやめ…」
「いや、良いんだが…」
何とも気まずい空気になってしまったが、とりあえずはここを離れた方が良いのかもしれない
ホロライブ邸
「さて、とりあえずは戻って来たが…」
「…」
「○○はこれからが大変だな」
あくあはずっと無言で、あやめは同情の眼差しを向けられた
「まぁ大変だけどさ、頑張らないとだから」
「そうだな、余から借金もあるしな」
「あれか…大分時間かかるが…大丈夫か…?」
「うーむ…あまり待てないからなぁ…ここで一つ提案させて貰おうか」
「提案?」
「○○、余のとこで働かないか?」
「…は?」
「あくあもどうだ?余のとこで働かないか?」
「え…その…」
俺もあくあも戸惑った、あくあはメイドだから次のとこ探せば良いけど俺は…一応それなりのとこの家の人間なんだが…
「あくあと一緒に働きに来れば暫くは一緒に居られるし、借金も返せるぞ?」
あやめが戸惑う俺に耳打ちをしてきた、確かに一緒に居られるが…って待て?俺はあくあの事大好きって訳じゃ…
「おいあやめ、俺は別に」
「あくあは乗り気らしいぞ?」
「は?」
「○○坊っちゃまと…一緒に…」
あくあは一人でボソボソと言いながら頬を赤くしていた
「あくあ…お前俺と一緒に居たいのか…?」
「え!?あの…その…」モジモジ
「○○、後はお前様だけらしいぞ?」
「………はぁ、分かったよ、その代わり、ここのメイド達も頼む」
「分かった、面倒を見よう」
「んじゃ…色々と手続きするか…」
「わー!○○坊っちゃま似合ってますよ!」
「あくあ…もう俺は坊っちゃまじゃないから呼び捨てにしてくれよ」
「いいえ、坊っちゃまは坊っちゃまですから」
「はぁ…もう良いよ」
「準備は出来たか?」
俺の執事服姿にあくあは興奮してたが、俺は冷静だった
そんな中、あやめが入って来た
「あぁ、まぁ大丈夫だ、いや…大丈夫ですあやめお嬢様」
そう、俺は今日から執事になる
あやめをもうタメ口で話せなくなる訳だ
「あやめお嬢様、あたしや他のメイド達も一緒になんて…どうお礼を言えば良いか…」
「良い良い、○○とお幸せにな」
「え!?あの…」
「あやめお嬢様…あくあを虐めないでいただけますか…?」
あくあを弄るのを俺は止める
「いやすまない、弄るのは彼氏の特権だったな」
「彼氏!?あぅ…」
「おい…」
「はっはっは…そう怒らないでくれ…さて、もう少ししたら仕事に入ってもらうからな、残りもゆっくりしてくれ」
あやめはそう言うと部屋から出て行った
「あの…○○坊っちゃま」
「だから坊っちゃまは止めろって…え…」
あくあの顔が紅潮し、潤んだ瞳でこちらを見つめていた
「あの…あたし達ってそういう風に見られるんでしょうか?」
「そういう風にって…何だよ…?」
「その…お付き合いしている2人に…です…」
あー…来てしまったかこの質問、俺もあくあの事は嫌いじゃないけど…あくあは俺の事好きっぽい気がするんだよな
どう答えれば良いのやら…
「あの…○○坊っちゃま…?」
「ん?あぁ…そうだな…そう見える人も居るんじゃ…ないか…?」
「そ…そうですか…!そうですか…」
あくあはとても嬉しそうにしていた、俺も何故か笑みをこぼしてた
「じゃあ、そろそろ仕事するか?」
「あ…あの!」
「ん?どうした?」
「あの…あたし…ずっと前から○○坊っちゃまの事をお慕い申してました!」
「…」
「これからも…この気持ちを持ち続けても…良いですか…?」
「……良いんじゃないか?俺は別に、お前の事は嫌いじゃないし」
「…はい!」
あくあは満面の笑みだった、何時かはあくあの想いにもケジメをつけなきゃいけない。
今はまずあやめお嬢様からの借金を返さない事には何も始まらない
その後かな…あくあとの事は…
「んじゃ行くぞ、あくあ」
「はい!○○坊っちゃま!」
「だから坊っちゃまは止めてくれな…?」
読んでいただきありがとうございます。
既にメイドネタを使ってしまってましたが、この湊あくあちゃんはメイドが本業ですからね(ゲーム好きのですが)
小説の話とは全く関係ありませんが、もし興味のある方はどうぞなのです
ではでは、また次のお話まで失礼しますm(_ _)m