魔女の363日目
昨日トレース達は晩御飯を食べた後すぐに布団に入って寝てしまった。ティグリスの事だから今日も飲むのだろうなと思っていたが、あの人が珍しくお酒を飲まないで寝始めた。それが今年一番の驚きだったかもしれません。
そして今日。明るい日差しがカーテンの隙間から入り込んで目が覚めた。カーテンの長さ足りてないんですかね?来年ちゃんと図って買いに行きましょうかね。アラームより先に目が覚めて鬱陶しいんですよね。オルウルからは早起きだね。と言われるのでいいんですが、まだ寝ていたいんですよ。
魔女だから早起きする。という習慣は私には無いですが、今日は本当に早く起きてしまいましたね。まだローツ(6時)ですよ。ローツ(6時)と言えばバイトに行く日以外は起きませんからね。いつもはレアル(8時)に起きているので。
「おはよ」
「おはよ~シュロシル」
「今日は随分と早いんだな眠りの魔女様」
「魔女だから当たり前っちゃ当たり前なんだけどね......おはよシュロシル」
何だかんだ言われた気がしますが、既に全員がしっかりと目を覚まし起きていた。私より先に起きているオルウルこそが真の魔女なんじゃないですか?違いますか?そんな疑い目のを向けていると朝食をすぐに持ってきてくれた。別に睨んでるわけじゃないですよ。
「シュロシルも起きたことだし、俺達は帰るとすっか」
「そうだね~長居しちゃシュロシルにも悪いだろし」
「人を思う心があなた達にもあったんだ。てっきり私に迷惑かけようと思ってきてたのかと思ったよ」
「そんなわけないでしょ。会えるのも今年最後だったから来てあげたの。今年一番助けになったからね」
確かにトレース達は私にお世話になって、私もトレース達にお世話になった。闇の魔女や火の魔女。一度は取り返しのつかない事になったが、今となっては何事もなかったかのように事を終えていた。確かに止めたのは私で、それを収集したのはトレース達だ。
トレース達は荷物をまとめるとメルクアースを呼んだ。メルクアースはトレースの前でも気怠そうに出てきた。まぁ気持ちは分かりますよ。
「それじゃ、また来年会おう」
「その時は厄介ごと持ってこないでね」
「さぁどうだろう」
私が嫌な顔をするとトレースは「冗談だよ」と笑って空間の中に入っていった。そして一瞬振り返って言った。
「また来年。良いお年を」
ティグリスは空間に入ってこちらを向かず手を掲げて振っていた。私は小さな声で「良いお年を」と言うと同時に空間は閉ざされた。
「帰ったね~」
「そうだね」
「この家ってこんなに静かだったっけ?」
「さぁ。これが本来の家だったんじゃない?私も忘れちゃった」
今年になって誰かが居るのが当たり前の様に思えた日々だった。それが非日常ではなく、日常に変わっていっていた。だからこの部屋の本来の静かさを忘れていた。去年までは普通だった日々が非日常に変わっていた事に気づいていなかった。
「さてと......明日は大晦日だし、今日は大掃除するよ!」
「おー!」
去年と今。比べるのであれば確実に今の方が心地よい。誰かが隣にいる感覚。それが一番だと思い知らされた年だった。
「私は二階やるからオルウルは一階をお願いね」
「それって明らかに一階の方が多いよね」
「あれ?気付いちゃった?」
ずっと続くことを祈りたい。もう火の魔女や闇の魔女の様な災害は二度とない。平和な世界で日常を歩んでいきたい......なんてね。
あれ?もう魔法が切れるかな............
そっか。そういえばあの魔法も明日で最後だったっけ......
見ていただきありがとうございます......!
あと。1日です......つまり明日が最終回です!
ついに明日最終回です。最後に呟いた魔法とは、なぜこの世界が364日なのか。すべてを明日!理解することになるでしょう。
本当にここまで見て頂きありがとうございます。明日本編が終わった後後書きを入れる予定なので見て頂けると幸いです。
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それでは最終回をお楽しみに!