魔女の353日目
最後まで騒がしかったアルエファが帰り、ようやく静かになった。残りの数日間はゆったりと過ごせるだろう。そう思ってた。
「こんにちは~シュロシルさん居ますか?」
寝て起きて居間で食事をとっている時に家に来たのはレイレアナさんでした。彼女は厚着をして私の家の前に立ち止まっていました。
「どちら様でしょうか」
私はドアを少しだけ開けてこっそり覗きながら言いました。すると急に屈みこんでしまいました。
「雪道で場所が分からなくなって、一軒の家があったから雪が止むまで泊めてもらうと思って」
どこかで聞いたことあるようなセリフを嘆きながら家の中に入ってこようとしてました。「懐かしいですね」と言って温かい居間に案内した。そして温かいお茶を差し出した。あの時と同じように。
「お茶まで出していただいてありがとうございます」
「いいのいいの。気にしないで。ってよく覚えてるね」
「シュロシルさんこそお茶の流れまで覚えてるんですね」
私たちは顔を合わせた後笑った。その時はまだ人間じゃなかったオルウルもあの日の事かと理解していた。記憶は残ったままみたいですね。
「それで?今日はどうしたの?」
「年明ける前にシュロシルさんに会いたいな~って思って、魔女になったのもシュロシルさんのおかげだと思ってるから」
「私のおかげじゃないですよ。レイレアナさんは旅をして、そしてきっと全員の魔女と会っていたのでしょ?」
魔女になった今他の魔女の名を知ることになる。そして気付いただろう。遭難した時私の家が最初じゃなくてアルエファの家。そしてディルの家その後も魔女の家を転々としたのだろう。強運の持ち主としか言いようが無いだろう。
「それでも感謝してるんですよ。あの時助けてくれなかったら多分私凍傷で死んでたと思うので」
「確かに、それは否定できないかもね」
3月に入りすぐの事だったからかなり印象強く残っている記憶だった。急に家の中に入ってきて遭難しました。って言われて3,4日泊めたら次会う時には魔女になってるんですよ。そりゃ記憶に定着しますよ。
「それで? 私は別に今日泊まっても大丈夫だけど」
「本当にいいんですか?」
「ええ、部屋も空いてるし好きなように使っていいよ」
「何から何までありがとうございます......でしたっけ?」
「多分あってると思うよ。お互い記憶に残ってるんだね」
「そうみたいですね」
その後も何回か昔であった時の様に真似をしながら遊んでいた。人間の記憶と言うのはすごいもので、本当に衝撃的な場面はしっかりと残っているんですね。それが証明出来て私は満足です。アルエファと違ってレイレアナさんが来てくれてよかったですよ。
見ていただきありがとうございます!
残り11日!
久しぶりのレイレアナさんの登場ですね。レイレアナさんって作者の中では一番印象に残ってるキャラだったりするんですよね。因みに3月1日に最初の登場です。良ければどうぞ。本当に本編の様な会話をしてますよ。
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