魔女の339日目
長い夢を見ていた気がする。どんな夢かは忘れたが、私にとって大事な夢だったのだろう。でももう記憶にないどこかに消えていった。二度と思いだすことのできない夢ではその場で断ち切られた。
「やっと起きたのシュロシル......ってなんで泣いてるの!?」
「......え?」
私を起こしに来たオルウルが一番最初に気付いたのは私が泣いている事だった。確かに私は泣いていた。視界がぼやけていくのが分かった。そんなに悲しい夢でも見ていたのかと自分に問い詰めたくなるぐらい私は泣いていた。
それでも少ししたら私の涙は自然と止まった。自分でも驚いた。まさか夢で泣くなんて、いつぶりだろうか。
「大丈夫?」
「うん。もう平気だよ。ごめんねオルウル」
落ち着いた私を見てオルウルは安心して先に居間に行った。私はその間夢を思い出そうとするが、一切頭に浮かばなかった。
「ごめんねハピリウス(水の魔女)。講演会遅れるでしょ。時間的にもう出た方がいいよね」
「ん?オルウル。シュロシル正常?」
「あ、シュロシル。それ昨日の事だよ。シュロシル寝ちゃってて挨拶もせずに帰るのは嫌だからって言って戻ってきてくれたんだよ」
「そうだったんだ。わざわざありがとね」
「こちらこそ部屋を貸してくれてありがとう。ご飯美味しかったわよ」
居間での挨拶を終えるとハピリウスは雪が降っていないうちにと言って帰る準備を始めた。箒に乗るなら確かに雪が降る前に家を出た方がいい。
「ねぇ、オルウル。私何日寝てたの?」
「丸1日だよ」
「......全く記憶がない」
「そりゃ寝てたんだからあるわけないでしょ」
御もっとも。もうここまで来てしまうと思いだそうにも思い出せないので諦めることにした。無理に考えても出てこないものは出てこない。それが分かっただけ良いだろう。
「それじゃ、3日間お世話になりました」
「また暇があったら寄ってね」
「考えておく。またね」
ハピリウスは箒で高く、そして遠くに飛んでいった。箒だとあっという間に見えない場所まで行ってしまった。外は肌寒く、ずっと居られないぐらいの寒さだった。
それとは逆に居間に戻ると暖房がよく効いていて寧ろ暑いぐらいだった。気温の中間地点はどこにもありませんでした。強いて言うなれば玄関でしょうかね......
今日は私が晩御飯を作った。ハンバーグの食材を買っていたので作っちゃいましょうか。
晩御飯を食べ終え、風呂に入り、部屋に入り、布団に入った。けれど、少し寝るのを躊躇った。また1日寝てしまうのではないかという恐怖が過った。それが怖かった。さらに記憶が無いのに対して怖さが増した。
それでも寝ることに対しての恐怖は徐々に消え、気付けば夢の世界にいる状態になった。
見ていただきありがとうございます!
残り25日!
どうも、作者です。バイト前に仮眠を取ったんですが、その時に見た夢が思い出せなくて今回の様な内容になりました。ちょっと怖かった夢だったんですが、全く記憶に無いですね。もしかしたら作者も眠りの魔女だったり......?
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