魔女の338日目
「おお、ひさしぶりだな」
「......何の用?」
「用?来たのはそっちじゃないか?シュロシル」
「来る気は無かったんだけど......なんかの手違いかな」
「手違いで来ていい場所ではないけどな」
「そう、みたいね」
目の前には絶景が広がっていた。というよりも世界を上から見ているように世界が作られていた。簡単に言えば雲の上に透明な壁があり、その上に私は立っていた。
「これが今作ってる世界?」
「ああ、俺が本当に作りたかった世界......まだ世界の規模を決めただけでやる事はまだまだだけどな」
地上を見ればまだ草木は生えてなく、人すらいない。ただただそこに球体があるだけだった。
「オルニアの死後の世界。『クルム』望む者だけがこの世界に来れる。シュロシル。待ってるよ」
「私が死ぬまでにこの世界が出来上がるのかしら」
「さぁ。もし先に死んだら手伝ってもらうよ」
「それはいやなか」
規模は決まったが、それ以上に土地や歴史、人や動物、建物、街、文化、気候、その他全てを作るらしい。私には全く持って理解できるような話では無かったが、興味をそそられない訳ではなかった。少しずつ出来上がる世界を見て、このまま見続けたいと思うような作りだった。
「トレース達がアンラウを作った時も、この光景は変わらなかっただろうな」
「そっか、あの二人も世界を作った人物か」
「あの二人は本当に自分の目指した世界を造り上げることが出来たのかね」
「自分の目指した世界......ね。平和な世界だからいいんじゃないの?それをあの二人は祈ったって聞いたけど」
「そっか......まぁそう思ってるならいいんじゃねえか」
ミオルは意味ありげに言葉を言い残した。ミオルが何を言いたかったのか、私はさっぱり見当がつかなかった。考えて出た答えは本当にトレース達が造り上げた世界は望んだものだったという事だった。
「というか、これ今日中には戻れないよね」
「そうだな。少し滞在時間が長すぎる」
「目を覚ましたら明日の朝?」
「良くて明日の朝。悪くて明日の昼過ぎだな」
「今日ハピリウス(水の魔女)の講演会だったんだけど、どうしてくれるの」
「いやいや、作業を中断してまでシュロシルの相手をしてやってんだから、文句言うな」
私も来たくて来たわけでは無く、純粋に寝たら来てしまっただけの事である。
「それじゃ、私は戻るわ」
「次来るときにはある程度終わらせて驚かせてやるよ」
「次来るときは私が死んだ後だから、完成させて頂戴ね」
「ああ、そして俺の望む世界を見せてやるよ」
ミオルは自信ありげに笑いながら私の事を見送ってくれた。正直私はこの世界に二度と来たくないと思った。異様な不快感はどこから来たものなのか......それを考えたくもなかった。私はすぐに目を閉じて、この世界を去った。
見ていただきありがとうございます!
残り26日!
今回は時間も無かった為次回作の伏線を張らせてもらいました。もう言っちゃいます。伏線を張りました。この伏線はあらゆる場面で使用されるだろうことなので、覚えておくことを推奨しますよ。
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