魔女の318日目
ここに来れるとは思っていなかった。実際は消滅した場所。ここでエルエネが死んだ。それだけは記憶に残っていた。そんな場所が今や全くの別世界になっていた。
死の丘というよりは一つの小さな村の様になっていた。勿論そこに人も住んでいた。まぁ人じゃないことは既に知ってるんですけどね。
「意外と早かったのね。ユノライ・シュロシル」
「気付くのがもう少し早かったら良かったんだけどね」
「それだけこちらは慎重に動いてますからね」
村から出てきたのは一人の吸血鬼だった。それも戦争前に一度だけ私の夢に出てきたあの吸血鬼だった。
「久しぶりとでも言うべきかな?」
「......目的は、自分たちの居場所を作る為......であってるでしょ?」
吸血鬼は私の事を睨んできた。作戦がバレてることが腑に落ちなかったのでしょうかね。まぁ私はそれ以上に腑に落ちてないので安心して下さい。
「そのためにシペリシとマーシャレイを利用した。未来を見通せる魔女と、一部の最高権力を持った人物......違う?」
「すごいね。全部当たってるよ」
「そう。良かった。これで心置きなく、この世界を壊して、あの二人を元に戻せるよ」
「戯言を......この世界にはシュロシル一人。そんなか弱い身で何ができるって言うの?」
後ろからぞろぞろと吸血鬼たちが現れた。その数およそ100人程度だった。既にそれだけの量が住み着いている証拠でもあった。
「そうね。私じゃ半分ぐらいしか道連れにできないかもね」
「なら観念して、一人も道連れにせず、ここで死んでもらうよ」
「確かに私一人なら無理だね。そう思わない?」
私は後ろを振り返りそこに居る人に聞いた。その人は笑いながら答えた。
「そうだな。この量はシュロシル一人じゃ無理だろうな」
「だからよろしくね。この世界を最初に造り上げたミオルさん」
「へぇ。最初に造り上げたね。でもその後に作ったのは私だ。権限は全て私に......」
「うるせえな。『黙れよ。そして全員動くな』」
吸血鬼は声を出そうとしても声が出なくなり、ほかの吸血鬼は全員ピタリと動きを止めた。そして私は吸血鬼に近づいた。
「私はね。友達を殺されたり、利用されるのが一番嫌いなの。だから今回はここに来る前から、いや
、家を出る前から全てを完璧にさせてきてる。とことんあなた達を懲らしめるためにね」
「最初は何の事かと思ったけど、本当にするとはな」
ミオルにはアルエファから事情を聴いたその夜には話をつけておいていた。
「そして現実世界でも同様。アルエファが収集を付けてくれるようにしてある。だから、ゆっくりとこの世界の死を楽しんでね。私はやられたらやり返すよ?魔女を簡単に怒らせないことだね。ミオル。悪いけど、お願いできる?」
「あいよ。『崩壊』」
急な地割れの音と共に地形がゆっくりと沈んでいった。吸血鬼たちは動くことを許されず、ただ死を待つのみ。
「それじゃ、シュロシルもここにいねえで戻れ。一緒に死ぬぞ」
「今回はありがとね」
「気にすんな。俺も戻るわ。じゃあな」
ミオルは一足先に戻った。私は吸血鬼の目の前でニコリと笑って目を閉じた。
見ていただきありがとうございます!
シュロシル怒ると怖いですね。最後は特にサイコパスっぽくて......そんな子に育てた覚えは無いんですけどね。多分怒ってるからでしょう......
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