魔女の272日目
時刻:ソウレイ(18時) オルウル
現在地:死の丘
「さーて、頃合いかな」
トレースがその場に立ち上がった。今、丁度アルエファがシュロシルと合流したところだった。かなり安心できる状態になった。
「みたいだな」
トレースに続き、ティグリスも立ち上がった。
「どこ行くの?」
「決まってるでしょ。助けに行くんだよ」
「でも、密閉空間なんでしょ?」
「生命の魔女があの場に居るんだ。そんな馬鹿なことはしてないだろ。そうだろ?空間の魔女」
空間の魔女は頷き答えた。
「どうやって密閉空間を攻略したのか分からないけど、確かに破壊されてるね。いつでも可能だよ」
「さて、全員で助けに行きましょうかね。これでチェックメイトだね」
「全員一気に転移するとなると少し時間が必要だからちょっと待ってね」
時刻:マレラウ(19時) 眠りの魔女ユノライ・シュロシル
現在地:ラーリトル中心部
火の魔女は自我を失っていた。いや、自我を保てなくさせた。それが正しいだろう。
「怒りに任せて攻撃しても当たらないよ」
「うるさい!『火柱』」
完全にターゲットはアルエファだった。けれど、火の魔女の攻撃はアルエファが避けなくても魔法は別の方向へと行ってしまった。
「アルエファ......何をしてるの?」
「なんでそんな目で見るのさシュロシル。大丈夫。『自我崩壊』を使っただけ、暫くの間あの状態だよ」
アルエファは普通のように言っていたけど、そんな魔法があることなんて知らなかった。そしてアルエファがここまで強いことも知らなかった。そして何より、アルエファが戦闘慣れしていることが一番驚いた。
私と同じように普通の魔女の1人だと思っていた。魔法を研究するだけの魔女だと思っていた。確かにそれも間違いでは無いが、それ以上に戦闘に長けた魔女であることを今知った。
「ごめんね黙ってて。終わったら全て話すから......トレースが」
「今全部トレースに投げたでしょ」
「あれ?バレた?」
「バレるも何も......」
「まぁそれはさておき、どう?火の魔女。もう自我は戻ってきたかい?」
アルエファは楽しそうに火の魔女に問いかけた。その行動に一瞬寒気がした。この状況で楽しそうにするアルエファが一番怖かった。
「てめえだけは許さねえぞ......生命の魔女」
「怖いな~でも本命はあっちでしょ?」
アルエファは私の方を指さしてた。けれど、火の魔女は見ようともしなかった。
「あんな魔女いつでも殺せる。今はお前だ」
「そう。出来るのなら、してみなよ。ただ、指一本触れることはないと思った方がいいよ」
いつの間にか、私と火の魔女の戦いではなく、生命の魔女と火の魔女の戦いになっていた。そしてどっから見ても、生命の魔女は有利な状況に変わりはなかった。
パン、パン
2度手を叩く音が聞こえた。それはかなりの近さで聞こえた。
「はいはい。そこまで」
声のする方向を向く。そこにはトレースに続き、ティグリス、風の魔女。空間の魔女、そしてオルウルが居た。
「随分と遅れてごめんねシュロシル」
「来てくれただけ、ありがたいと思ってます」
「そう言ってくれると助かるよ」
全員が戦闘態勢に入った状態だった。この数居れば、火の魔女を倒すことは簡単だろう。
「さぁ生命の魔女を止めるぞ!」
「......え?」
トレースが言ったのは、火の魔女ではなく、生命の魔女アプロカカ・アルエファだった。
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