魔女の271日目
時刻:ポイラク(12時) 眠りの魔女ユノライ・シュロシル
現在地:ラーリトル中心部
火の魔女の魔法を封じたところまでは良かった。けれど、詰めが甘かった。いや、予想なんてできなかった。火の魔女と幻影の魔女の混合魔法を使うなんて......
実際私がやっていれば、その可能性を導き出せたかもしれないが、そんなこと思ったことは一度もなかった。
というか、避けられない......!
「チェックメイトだな」
『業火:夢物語』勿論未知の魔法だった。けれど、避けることも、何もできなかった。理由として、間接魔法ではなく、直接魔法だった。目に見える見えないなんて、どうでもいい話だった。
「この魔法は混合魔法。使えば相手は現実を失う。それが幻影だと分かっていても、そちらの世界へ行く。そして燃やされ死ぬ。こちらの世界ではもがいてる姿を見ながら終わるとしようか」
......負けた。向こうの世界に行けば、出口を失い。死ぬ以外の選択肢など無い。そしてこの魔法は直接魔法。回避不可能。使われた瞬間終わりを示す。
「あと少しなんだけどね~惜しかったよ。シュロシル」
意識が向こうに行く寸前アルエファの姿が見えた。
「はいはい。戻っておいでシュロシル『意識回復』」
「本当に厄介な魔女だな」
「あ、私の事殺そうとした魔女だ」
アルエファが平然と空間の魔女の密閉空間を無視して入り込んでいた。そしてアルエファは一度火の魔女との面識があった。
「さて、主人公は遅れてくるものでしょ?」
「遅れすぎだよ......でも助かった。ありがと」
「一緒になって踊れ『業火:夢物語』」
「二度目は流石に効かない『白紙撤回』」
魔法を防ぐのではなく、最初から無かったことにする。さて、ここからは2対1。圧倒的有利な状況になった。これなら、可能性はある。
「なぁ生命の魔女。俺らの喧嘩に手だしていいと思ってるのか?」
火の魔女の口調はゆっくりと、そして冷静に、低く、問いかけてきた。
「勿論。普通の喧嘩なら、私だって手出しはしない。そうやって今まで生きてきたからね。でも、今回は例外」
「例外?どこがだ」
「他人を巻き込まないこと。それが私と約束した最低条件だけど、覚えてるわけもないか」
2人が話している会話が全く頭に入ってこない。いつ、アルエファが約束したのか、いつの話をしているのか。そして火の魔女との関連性は何なのか。全く理解できなかった。
「難しそうな顔してるねシュロシル。終わったら全部トレースが話してくれると思うから、とりあえず火の魔女倒そうか」
「約束を破ったのであれば、俺じゃなく、眠りの魔女を殺しても同じだろう」
「違うよ。あんたは元より喧嘩を主張としてないでしょ。世界を変える。それがこの喧嘩を大きくさせた理由。違うかい?」
火の魔女は黙り込んだ。本当にアルエファの言う通りだとすれば、辻褄が全て合う。ただの喧嘩なら、私と1対1でやればいいのに、他の魔女を巻き込んだ。そしてトレースやティグリスさえも巻き込んだ。
「だから、私は火の魔女を殺そうとしてるの。そしてそれは眠りの魔女と意見が一致する。どう?間違ってる?」
「ああ、ああ、ああ!全て、全てが生命の魔女の言う通りだ!流石だな。世界一迷惑な魔女。やっぱりあの時確実に殺しておくべきだったよ。でも、今からでも遅くない。今、今ここで、お前を、そして、眠りの魔女も一緒に地獄に送ってやる。そしてこの世界を造り変える。トレース、ティグリスを殺し、俺の物にする。それがこの戦争の最終目的だからな!」
その荒れた口調は、同様なのか、怒っているのか、見た感じ分かるのは、冷静さが一切ないって事。我を失い。そして我に乗っ取られているかの様だった。
「シュロシル。ここからは2対1だけど、気を抜かないでね。さっきより強いよ」
「重々承知の上だよ」
「それじゃ、世界救ってみようか」
「出来る物ならしてみろ!ここがお前らの墓場となるだろう!」
見ていただきありがとうございます!
ようやく生命の魔女到着!怒り狂う火の魔女を止めることが可能なのか?!
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