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魔女の364日  作者: Catch262
268/364

魔女の268日目

 時刻:ローツ(6時) 時間の魔女シペリシ・ヴォルトウリス

 現在地:レアティア


 火の魔女が最も恐れた魔女の一人。生命の魔女アプロカカ・アルエファ。この世界でトレース、ティグリスの次にこの世界に来たと言われている魔女。そして今まで魔女として生き続けた。言わば、魔女の中で最古であるということ。


 勿論触れられたら終わり。逆に触れたら命の時間を縮めて終了。どちらも一瞬で勝負がつく、そんな殺し合いだろう。


 あちらは既に禁忌の魔法を使っている。周囲の物全てを擬人化させる魔法。家も、木も、土も、何もかもを擬人化する魔法。


 1つ1つが強くないことは知っているが、一掃できる魔法がないことをあちらも知っているだろう。


 こちらが可能なのはただ一つ。時間を左右するだけだ。


 『時間隔離』


 全体ではなく、一部の時間だけを止める魔法。止めたのは生命の魔女以外の全て。


 「あーあ。止められた。『戻っていいよ』」


 時間を止めた擬人化達がその場に元に戻った。すごく冷静で切り返しが早い。


 「随分と余裕そうだね」

 「え?そう見える?結構やばいな~って思ってるよ?」

 「そうは見えないけどね『固定時間』」


 秒針が止まった。禁忌の一つ。時間を止める魔法。時間停止とは違い、自分以外を止めるのではなく、自分含め、全ての時間が止まる。


 「さぁ。これで死ぬまで時間は進まないよ」

 「進めた方が身のためだと思うけどね。それ、長時間は持たないでしょ」

 

 やはり見破られていた。生命の魔女の言う通り、この魔法には制限時間がある。長時間使用していると疲労が溜まり、死ぬだろう。


 「全部。知ってるんだね」

 「そうでもないよ。なんで私がこの世界に来たのか。それが一番の謎だよ」

 「それは、同感だね」

 「今、楽にしてあげる。『二重の命:連鎖』」


 生命の魔女が1人から2人。2人から4人とどんどん増えていった。気付けば100人以上に増えていた。その間僅か一瞬だった。


 「これが私の禁忌。どこまでも増えるから注意してね」

 「時間を戻せば変わりはないことをお忘れ?『過去移動』」

 「それは過去の魔女の魔法だよ」


 魔法を使った、いや、使った後のほんの僅かの間に()()からうなじを思いっきり殴られた。


 「この魔法。一人一人別行動が可能なの。あと、これも禁忌なんだけど、見た魔法をコピーできる魔法。これは生命の魔女特有の魔法かな。そして今のは空間の魔女プトゥマティ・イルクアースの『空間移動』」


 数多くの魔女を見てきて、その1人1人の魔法を見てきている相手に、どう勝てばいいのか。この時点で勝機を失った。


 「因みに過去の魔女が使った『過去移動』は私も使えるからね」

 「......降参」

 「そう。『戻って』」


 無限に増えていた生命の魔女が最初の生命の魔女に戻っていく。そして1人になった。


 「火の魔女が恐れる理由が分かったわ」

 「そうだね。あの時に殺しておくべきだったかもね」

 「死んでも生き返るでしょ」

 「それは、そうだけどね」


 時間を制するのか。生命を制するのか。どちらも同じようで全く違った。実質魔法をすべて使える魔女なのに、火の魔女はそれ以上に眠りの魔女を優先した。


 「なんで、シュロシルなんだろうって思ってるでしょ」


 動けない私の隣に生命の魔女が来て座り込んだ。お互いやることが終わった身だった。


 「生命の魔女以上に強い魔女なんていないんじゃない?」

 「どんなに長生きしても、あの2人は私以上。そしてあの2人はああいう結果を毎回生み出す」


 


 時刻:レアル(8時) 生命の魔女アプロカカ・アルエファ

 現在地:レアティア


 「毎回生み出す?」 

 「ええ、最初は過去の魔女と未来の魔女。次に砂の魔女と鏡の魔女。黒の魔女に箱の魔女。そして良く知られている破壊の魔女と幻影の魔女」


 過去に何度もあった。これは今に始まった事じゃない。永遠と受け継がれているお話だ。それを全部見てきた......


 「時間が経つたび被害は悪化した。それが表沙汰になったのは破壊の魔女の時。あの時は街1つで済んだけど、今となっては世界規模遺。最初は些細な喧嘩だったんだけどね」

 「知ってるの?」

 「何年生きてると思ってるのさ」

 「そうだったね。最初の喧嘩って何?」

 「聞いたら笑うと思うよ」


 過去と未来。それは同じようでかけ離れた存在だった。だからこそ、この喧嘩は生まれたのだろう。



 「未来にも過去にも行ける者が争う理由。それは単純なんだ。どっちが幸せか。それだけだよ」

 「え?」

 「笑わないんだね。まぁ最初は私もそうだったけど、しっかり聞いたら笑えてきたよ。過去の魔女は戻れば未来を変えれる。けれど、それは本当の幸せか。逆に未来の魔女は未来を見て今を変え、未来を変える。けれど、それは過去の魔女と同じで本当の幸せなのか。そんなくだらないお話から始まった、ただの子供喧嘩なんだよ」


 時間の魔女は小さく笑った。

 見ていただきありがとうございます!


 生命の魔女vs時間の魔女。今回は時間の魔女目線でしたが、どうだったでしょうか。そして最後の生命の魔女視点で述べたこの戦争の始まり。

 そして、いよいよクライマックスへ!

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