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魔女の364日  作者: Catch262
267/364

魔女の267日目

 時刻:ソウ(15時) 風の魔女ヨルセム・スカアリヤ


 相手は空間の魔女......いつどこから現れるか分からない。自分で空間を創り出し、そして別の所から出れる。言わば同化と同じような魔法だろう。


 こちらも同化は使えるが、それに頼っても意味がない。ただ、一番恐れるのは空間の魔女の禁忌を使われること......こちらも使おうと思えば使えるが、それ以上に代償が大きい。


 『転移空間』


 瞬時に背後に回り込まれる。そして剣を空間から取り出し切りかかる。


 「甘い。『風読み』」


 咄嗟だったが、反応はできた。素早く避けて一旦引く。本当なら反撃していい場面だ。けれど、あの速さだ。禁忌の魔法を使われたら終わり。


 「まぁ、安心してよ。殺す気は無いから」

 「何言ってるのさ。殺す気満々じゃん」

 「殺されると殺されそうだから」

 「何言ってるか分からないんだけど」

 「そのままの意味だよ『新世界』」

 「まだ風読みの範囲内だよ」


 新世界。それが空間の魔女の禁忌。全く別の世界に連れて行くという最悪の魔法。戻ることは出来ず、この世界に帰ってくることは不可能だと言われている。風読みが続いていたおかげで回避はできた。魔法範囲内に入らずに済んだ。


 「え、避けるのそれ」

 「避けなかったら死ぬじゃん」

 「だから殺す気なんて無いから」

 「あ、そう。それじゃお返し『大嵐』」


 禁忌の一つ。大嵐。強風が限りなく続く魔法。この状態が風の魔女にとって、最高の状況だ。


 「これが禁忌なのね」

 「これでチェックメイト『風斬り』」

 「それはチェックだよ『転移魔法:死の丘 風の魔女ヨルセム・スカアリヤ』」


 一瞬だった。一瞬で転移魔法を決められた。風読みも切れて、完全に油断していた。


 「これで一人目か」


 誰かが話しかけてきた。ここが別の世界なのか......


 「俺はミオル。空間の魔女に転移されたんだけど、記憶あるか?」

 「え......?」

 「あいつにはほかの魔女の回収を頼んでるんだ。死ぬ前にな」

 「そう、だったんだ......」


 一安心した。一生知らない地で生きることになると思った。死の丘なんていうから、本当に焦った。


 「さて、あと何人がここに来るか......」

 「てか、なんで空間の魔女があなたに従ってるの?」

 「なんでって、俺が勝負に勝ったからだよ」

 「え......」

 「そんな驚くことじゃねえだろ。ここ俺の空間だぞ」


 驚くことじゃないって、かなり驚くことですよね。空間対空間だと先に空間を用意した方が勝つんですか。知らなかったです。というか、そんなの知る機会無いですよね。


 「てか!こんな場所に居たら誰も助けれないじゃん!アルエファ一人で時間の魔女倒せるわけ......」

 「それは安心しな。時間の魔女はかなり脅威だ。俺だって勝てる気がしない。けどな。あの火の魔女ですら警戒する魔女だ」


 


 同時刻 水の魔女ハピリウス・ヴィーアグニ

 現在地:フィン入り口


 「火の魔女でも生命の魔女が警戒する。その理由はね。単純に生命の魔女以上の魔女が居ないからなの」

 

 ......?全く理解できなかった。現状火の魔女が最強のはずが、トレースもティグリスも生命の魔女なら大丈夫という。その理由を聞いたが、理解できなかった。


 「トレースが言うと難しく思うだろうが、結構簡単なことなんだよ。生命の魔女は俺らとほぼ同じ時間をこの世界で過ごしてる。要は生命の時を操る魔女なんだよ」

 「そう。そして火の魔女が一番警戒する理由として、生命の魔女は相手の命を自由自在に操ることが可能なの」

 見ていただきありがとうございます!


 ついに知らされた生命の魔女の事実。そして次回は生命の魔女の戦いです!


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