魔女の267日目
時刻:ソウ(15時) 風の魔女ヨルセム・スカアリヤ
相手は空間の魔女......いつどこから現れるか分からない。自分で空間を創り出し、そして別の所から出れる。言わば同化と同じような魔法だろう。
こちらも同化は使えるが、それに頼っても意味がない。ただ、一番恐れるのは空間の魔女の禁忌を使われること......こちらも使おうと思えば使えるが、それ以上に代償が大きい。
『転移空間』
瞬時に背後に回り込まれる。そして剣を空間から取り出し切りかかる。
「甘い。『風読み』」
咄嗟だったが、反応はできた。素早く避けて一旦引く。本当なら反撃していい場面だ。けれど、あの速さだ。禁忌の魔法を使われたら終わり。
「まぁ、安心してよ。殺す気は無いから」
「何言ってるのさ。殺す気満々じゃん」
「殺されると殺されそうだから」
「何言ってるか分からないんだけど」
「そのままの意味だよ『新世界』」
「まだ風読みの範囲内だよ」
新世界。それが空間の魔女の禁忌。全く別の世界に連れて行くという最悪の魔法。戻ることは出来ず、この世界に帰ってくることは不可能だと言われている。風読みが続いていたおかげで回避はできた。魔法範囲内に入らずに済んだ。
「え、避けるのそれ」
「避けなかったら死ぬじゃん」
「だから殺す気なんて無いから」
「あ、そう。それじゃお返し『大嵐』」
禁忌の一つ。大嵐。強風が限りなく続く魔法。この状態が風の魔女にとって、最高の状況だ。
「これが禁忌なのね」
「これでチェックメイト『風斬り』」
「それはチェックだよ『転移魔法:死の丘 風の魔女ヨルセム・スカアリヤ』」
一瞬だった。一瞬で転移魔法を決められた。風読みも切れて、完全に油断していた。
「これで一人目か」
誰かが話しかけてきた。ここが別の世界なのか......
「俺はミオル。空間の魔女に転移されたんだけど、記憶あるか?」
「え......?」
「あいつにはほかの魔女の回収を頼んでるんだ。死ぬ前にな」
「そう、だったんだ......」
一安心した。一生知らない地で生きることになると思った。死の丘なんていうから、本当に焦った。
「さて、あと何人がここに来るか......」
「てか、なんで空間の魔女があなたに従ってるの?」
「なんでって、俺が勝負に勝ったからだよ」
「え......」
「そんな驚くことじゃねえだろ。ここ俺の空間だぞ」
驚くことじゃないって、かなり驚くことですよね。空間対空間だと先に空間を用意した方が勝つんですか。知らなかったです。というか、そんなの知る機会無いですよね。
「てか!こんな場所に居たら誰も助けれないじゃん!アルエファ一人で時間の魔女倒せるわけ......」
「それは安心しな。時間の魔女はかなり脅威だ。俺だって勝てる気がしない。けどな。あの火の魔女ですら警戒する魔女だ」
同時刻 水の魔女ハピリウス・ヴィーアグニ
現在地:フィン入り口
「火の魔女でも生命の魔女が警戒する。その理由はね。単純に生命の魔女以上の魔女が居ないからなの」
......?全く理解できなかった。現状火の魔女が最強のはずが、トレースもティグリスも生命の魔女なら大丈夫という。その理由を聞いたが、理解できなかった。
「トレースが言うと難しく思うだろうが、結構簡単なことなんだよ。生命の魔女は俺らとほぼ同じ時間をこの世界で過ごしてる。要は生命の時を操る魔女なんだよ」
「そう。そして火の魔女が一番警戒する理由として、生命の魔女は相手の命を自由自在に操ることが可能なの」
見ていただきありがとうございます!
ついに知らされた生命の魔女の事実。そして次回は生命の魔女の戦いです!
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