魔女の266日目
時刻:ポイラク(12時) 水の魔女ハピリウス・ヴィーアグニ
現在地:ラーリトル中心部
「ヴィーアグニ。悪いな。『記憶委託:ミュ......』」
「ちょっと待ったあああああ!」
ティグリスが後ろから思いっきり殴られた。誰かと思って見てみると、トレースだった。
「何勝手なことしようとしてるのさ!それ一番ダメなやつでしょ!」
「別にいいだろ!あの光の魔女を殺してえんだよ」
「そんな理由で一番大切な物を失う気か!」
「分かってるよ。分かってるけど、トレースの事を操ったことに対して流石に腹が立っただけだ」
「それで?ミオルに世界の権限委託?そのあとに大切な記憶まで権限委託って、ふざけるのもいい加減にしろ」
良くわからないが、急に喧嘩が始まった。これは光の魔女にとってはチャンスなのか。それとも見送る方がいいのか。判断が難しそうだった。私はここで隠れてましょうか。
「謝る気は無いの?」
「ああ、間違ったことをしたつもりは無い」
「大いに間違ってるわ!」
「あああああああああ!もう!うるさい!」
急に光の魔女がキレだした。流石に我慢の限界だったのか。その長い喧嘩は光の魔女の一言で止まった。
「この世界を造り上げた2人がこれだからこの世界は消えるんだよ。分からないの?もう既に強い時のあなたたちは居ないって事でもう殺してもいい?」
「そこまで言うか」
「あれが光の魔女ね......」
2人は急に冷静になった。そして光の魔女をじっと見つめた。
「ティグリス。とりあえず元凶を片付けてからにしない?」
「賛成だ。ちょっと今のは頭にきたわ。俺らが弱いって?おい、ヴィーアグニ。手、出すなよ」
トレースとティグリスは冗談抜きで本気だった。声のトーンがさっきの喧嘩とは全く別で、物凄く低かった。
「後悔しないでね。光の魔女『束王』」
「後悔する暇も無いだろうけどな」
瞬殺だった。光の魔女は瞬時に同化したが、その動きすらも止められ、その瞬間ティグリスが剣で心臓を刺す。その速さは目で追うことすらできなかった。光の速さで動くことができる光の魔女さえも、手も足も出なかった。
これがこの世界を造り上げた2人......息が合っているというレベルですらない。お互いがお互い事を知っていないと絶対にできないコンビネーションだ。
「なんだ。もう終わり?」
ティグリスは剣を抜き、光の魔女はその場に倒れる。勿論息はしてない。
「やりすぎじゃないの?ティグリス」
「いや、こいつが弱いだけだ」
「なら記憶委託なんてしなくてよかったじゃん」
「確かに。この弱さは想像以上だったわ」
何よりも驚いているのは人を殺すことに一切の抵抗がなかったこと。躊躇なく、ティグリスは光の魔女を殺した。
「光の魔女......?チェックメイト」
トレースはナイフを思いっきり後ろに振った。そしてそのナイフは空中でぴったりと止まった。
「光に同化したのは分かったし、この遺体も、半分は本物だろうね」
「そして今残りの半分を殺したと、その半分は永遠に出てこないだろな」
すべての魔女の事を知っているだけある。相手がどの魔法を使っていたか、そしてその対処法。最強にふさわしい2人だろう。
「おーい。ヴィーアグニ。出てきていいぞ。次行くぞ」
「あ、はい......」
見ていただきありがとうございます!
瞬間的に終わったトレース&ティグリスvs光の魔女ヤカテシス・ネイトゥナの勝負。改めて2人の強さを実感しましたね。
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