魔女の263日目
時刻:ガイ(16時) オルウル
エルエネが居なくなった。その時、シャットダウン状態のトレースが立ち上がった。
「あれ?もうティグリス行ったの?」
「い、行きましたよ」
「しかも権限委託したんだ。ミオルはどこ?」
トレースが探そうとした時、すぐにミオルが出てきた。その後ろにはクオルも一緒に居た。何か話し合ってたのだろう。
「なんか呼んだか。ってトレースもとに戻ったのか」
「すごいでしょ」
「すごいのかは知らんが、権限戻そうか?」
「いや、まだ持ってて」
「何故?」
「まだその時じゃない」
トレースは体操を始めた。急すぎて3人は唖然とした。
「まさか。権限も持たずに戦場に出ようとしてるのか?」
クオルが驚いたように言った。それは私も、そしてミオルも同じ意見だっただろう。
「この世界を造った人間だよ?甘く見ないね」
「ああ、一切甘く見てない。けど、それ以上に強い相手だろ」
「そう。じゃあクオル。ちょっと手慣らしに相手してよ。そっちは何してもいいよ。私はナイフのみね」
「まぁそのぐらいは付き合ってやる」
トレースはナイフを片手に持ち構えた。その構えは人を殺す構えそのものだった。
「いくよ」
「どこからでも」
クオルが戦うところを見るのは始めてた。まぁトレースも初めてと言ったら初めてだが。
先手にトレースが出て即座に切りかかった。全く容赦なく、首を切ろうとした。けれどクオルは柔軟に体を曲げてそれを避けた。そしてそのまま回し蹴りをした。こちらも容赦はない感じだった。
だが、クオルは回し蹴りを途中で止めた。その理由は至って簡単だった。振ったばかりのナイフが回し蹴りで当たる場所に刺さるように構えていた。その間ほんの僅かだった。一瞬で見て、一瞬で理解し、一瞬で行動した。
これがトレースなんだと改めて思った。
「まだまだだね。その下げた足が足手まといになってるよ。足だけに『束王』」
「全く面白くねえよ!って......おいおい」
クオルは一切動かなくなった。トレースが使う『束王』それは相手の行動を止める技。シュロシルも同じようなことが可能だったはずだが、あれの何倍も威力が強いらしい。
動けない状態のクオルにナイフを向ける。
「さぁ。降参する?」
「まだだよトレースさん」
クオルは何かアイコンタクトを送った。それにミオルが反応してミオルは槍を持ってトレースに突撃してきた。
「確かに、2人合わせたら私みたく強いだろうけど、その攻撃地は誤算じゃない?」
トレースが寸前で避けた時、ミオルの槍はクオルに当たる寸前だった。勿論ミオルはそれを見越して攻撃をしたはず。それなのに、クオルに当たりかけた。
「なにした?」
「別に何も。ただ位置を動かしただけ」
そんな当たり前のようにいってきた。それができるのが普通。そう言っているように思えた。
「まぁこんな所だけど、まだ何かある?」
「いいや、降参だ」
「分かればよろしい。それじゃ、行くかな」
「どこ行くんだ?」
「まずはティグリス取り戻さなと話しにならないからね」
トレースとティグリスのコンビはどれだけ強いのか、正直良くわかっていない。トレース単体でも、ティグリス単体でも強い。それを組み合わせたらどうなるのか。創造を超えるだろう。
光の魔女なんて圧倒できるのではないだろうか。
「ねぇ、トレース......」
「ん?」
「シュロシルを助けて......」
「もちろん。この世界の要だからね」
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6時間寝たのに滅茶苦茶眠たかった作者です。なんででしょうね。2時間しか寝てない時の方が眠くなかったりするんですけど、この現象は何でしょうか......
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