魔女の259日目
時刻:クロスス(0時) 水の魔女ハピリウス・ヴィーアグニ
現在地:フィン入り口付近
お互いがお互いの事を見えていない状況。五感を研ぎ澄ませても見えないこの勝負は先に攻撃した方が圧倒的に不利な状況になる事は分かりきった話だった。
真夜中なのに明るい現状が、彼にとってその不利な状況を覆すことが可能なフィールドだった。
『光の雨』
先に攻撃を仕掛けてきたのは光の魔女だった。そして光の雨は降り注いだ。見えないが、長細いそして小さい雨のような光の槍。それが無数に降ってきてるのが分かった。避けることは容易だが、光の魔女の姿を見つけることができなかった。
もし私がこの状況で魔法を使ったら微妙に位置がバレる。だから、私のやることは至って簡単。夜を戻すだけ。それをするだけで、光の魔女は居場所を失うはず。
『光の雨』『光の雨』『光の雨』『光の雨』『光の雨』
光の魔女が狂ったかのように魔法を打ち放った。微かにだが魔法を食らったが、ほぼ無傷と言ってもいいぐらいの怪我だった。そしてある程度居場所が分かった。
「なーんだ。もう終わりか」
『水死』
「もう無駄だよ『足止め』」
光の魔女は姿を現した。そして私の攻撃は全く別の方向へ消えていった。
「はい。チェックメイト」
光の魔女が剣を出して私の首元に当てる。なぜ私の姿が見えているのか。検討が付かなかった。
「何か言いたいことはある?」
「......」
「そう。なら、じゃあね。楽しかったよ」
「......少し遅くない?」
私は少し笑ってしまった。この不利な状況で、それでも可能性しかなくなった瞬間。笑みがこぼれた。
光の魔女が首元の剣をそのまま突こうとした時、大きく剣は宙を舞った。
「わりいな。遅れたわ」
「本当に遅いよ」
目の前に居たのは先ほど会ったはずのティグリスだった。
「悪いな光の魔女。俺はお前に相当腹立ってんだ」
「へ~。何かしたかな」
「自覚が無いのなら別にいいよ。だが、楽に死ねると思うなよ」
ティグリスの声は低く、全く冗談を言っているような口調ですらなかった。
「悪いな水の魔女。こいつは貰うわ。お前は今すぐレアティアに向かってくれ」
「いや。私も参戦する。1対2の方が勝率はあるでしょ」
「......それもそうだな」
光の魔女の強さ。そして賢さは重々承知の上だった。けれど、その想像を超える強さを見せてきた。正直ティグリスでも苦戦するだろう。だからこそ、2人なら可能なのではないか。そう思ってしまった。
「水の魔女は援護を頼む。俺が前線に出る」
「了解」
「1対2とか卑怯だけど、水の魔女だけじゃ退屈してたんだよ。楽しませてね」
見ていただきありがとうございます!
もう少しで100日を切るのと40万字を突破します!長かった魔女の364日もいよいよ終盤になってきましたね。
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