魔女の190日目
闇の魔女編完結!
目が覚めるとベッドの下でトレースとティグリスが疲れた顔をして寝ていた。そしてそれを見たことに対して驚いた。左目が開いたことに。しかもしっかり見える。これほどまでに当たり前のことに対して嬉しく思えるなんて思っても居なかった。
左目が治っていると言う事は......右腕をゆっくりと上げてみる。すると少し遅れてだが、しっかりと上がった。まだちょっと機能が元に戻ってない感じはあるが、リハビリをすれば治るだろう。
「ありがとトレース!ティグリス!」
私は寝ているトレースに容赦なく上から飛び乗った。
「っ痛!!!!!!!もう一回動けない体にしてやろうか?!」
「あ、ごめん。つい嬉しすぎて調子乗った」
「はぁ。まだそれ完全じゃないからリハビリしながら直してね」
「うん。ありがと」
トレースの悲鳴で目を覚ましたティグリスは機嫌悪そうにこちらを見てきた。
「んで?記憶の方は戻ってるのか?」
「あ、オルウル......!」
そうだった。記憶を戻すために魔法を使って寝込んだんだ。
「オルウル!オルウルはどこに居るの!私の家族なんだよ!大切な。一人の家族!」
「オルウルならあと少しで見舞いに来るだろうな。もう少しの辛抱だ。待ってろ」
すべてを思い出した。誰の為に戦っていたのか、誰を守るために頑張ったのか。
コンコン
「シュロシル~お邪魔するよ~」
丁度いいタイミングにオルウルがお見舞いに来た。私は待ちきれずドアが開いた瞬間オルウルに抱き着き押し倒した。
「オルウル。ごめんね。ごめんね。ごめんね。ごめん......」
「え?どうしたの?てかなんで動けるの?何がどうなってるの?一回落ち着いて説明して」
「そんなのあとでいいじゃん......良かった......オルウルが生きてて......」
オルウルを押し倒したまま廊下で大泣きした。こんなに泣いたのはいつぶりだろうか。少なくとも一人暮らししてからは一度もなかっただろう。映画を見てもなくことは無かった。だからかなり久しぶりに思えた。
一回泣いたら落ち着こうと思っていたが、中々平然を保つことはできなかった。
「それじゃ私たちは失礼するよ。ここに居ても邪魔そうだからね」
「あ、トレースとティグリス来てたんだ。それで今の状況が納得した」
「まぁそういうことだ。それじゃあとは頼んだぞオルウル」
「うん。本当にありがと」
トレースは少し微笑み部屋を出ていった。それに続くようにティグリスもその場を去っていった。廊下を出る人が私に気を使ったのか、それとも通りたくなかっただけなのか。私は廊下でオルウルを押し倒して未だに泣いていた。
「泣いててもいいから一回中入ろうか。ここじゃ魔女の名が廃るでしょ」
泣きながら私は一回自分の部屋に入った。オルウルは部屋に入ると水を持ってきてくれた。
「一回落ち着きな。それじゃ会話もまともにできないでしょ」
「ドラゴンの、くせに......」
「うん」
「本当に心配したんだよ。死んだかと思ったし」
「うん」
「てか一回本当に死んでたし。それでも生きてくれたし」
「うん」
「オルウルを死なせたくなかったし」
「うん」
「だから戦ったよ」
「うん」
「何があっても最後までやったんだよ」
「うん」
「そしたら全てを救えてるって......出来過ぎた話だよね」
私の一言一言にオルウルはしっかりと相槌を打ってくれた。私が不安にならないように、ちゃんと聞いていることをアピールするために。
「シュロシルは私の為に世界を救ってくれた。当たり前の結果だと思わない?全てを救おうとして救ったんだよ。それが当たり前でしょ」
「でも、一回オルウルの事忘れちゃったし......」
「今は覚えてるんでしょ」
「一回諦めかけたし......」
「それでも最後までやり通した」
「......全部上手くいったのかな......」
「うん。シュロシルの思い通りになったんだと思うよ」
「なら良かった......」
これで全てが終わった。長かった闇の魔女との戦いは幕を閉じた。それは全てを諦めた魔女が勇敢に立ち上がった結果だった。
これは後に破壊の魔女の村破壊に続く、闇の魔女街破壊で最も貢献した魔女として称えられる事となる。全てを救った魔女ユノライ・シュロシルとして......
見ていただきありがとうございます。
闇の魔女編完結となります!10日前に闇の魔女が犯人と分かった。その時から10日。ようやく終わりを迎えましたね。本編の最後は一人称では無く、ナレーションっぽくなってますが、気にしないで見てください。
以上で闇の魔女完結です!次回からはいつも通りの日常に戻りますよ。
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明日もお楽しみに!