魔女の189日目
今日の訪問者は?
コンコン
その音で目が覚めた。まぁ開けたのは右目だけだったが......
「どうぞ」
「それじゃお邪魔するね」
ドアを開けて入ってきたのはトレースとティグリスだった。ご丁寧に花を持ってきてくれた。ティグリスは部屋に入ってすぐに花瓶に花を挿してくれた。
「調子の方はどう?破壊の魔女ユノライ・シュロシル」
「......左目と右腕はもう使い物にならないかな」
「そっか......と言うか、やっぱりこの名は好きじゃないみたいだね」
「分かってるなら使わないでくれる?」
「それじゃ、破壊の魔女の意思を受け継いだ自然の魔女ユノライ・シュロシルとでも言うかい?」
「......知ってたんだね」
破壊の魔女が死んだ瞬間その次の魔女が私だった。私は破壊の魔女を名乗りたくなかった。だから自然の魔女と偽った。けど、それさえもバレていたとは......
「礼を言うよ。ユノライ・シュロシル。アンラウを救ってくれたこと、闇の魔女を倒してくれたこと」
「全てを救うことはできなかったけどね」
「?ああ、エルエネのこと、そしてシュロシルの記憶の事?」
「どこまで知ってるのさ......」
「安心して、エルエネはさっき蘇生魔法を使って生き返らせたから、そしてシュロシルの記憶ね」
「ちょっとまって。......本当......?」
「嘘言ってどうするのさ」
それを聞いた瞬間涙が溢れてきた。救えなかったと思っていた物が救えた。そう思えてきたからだ。実際には助けれてないが、全てを救ったおかげ失った命すら帰った来た。
「記憶の原因と戻し方を教えるよ。『不老不死:死の白夜』って覚えてる・」
「あ......まさか」
「そのまさかだよ。破壊の魔女が村を破壊するときに使った魔法と同じ。全く別の人格が出て来る魔法。そしてそれが魔法を使うと本人の記憶の一部が消える。多分それが原因だろう」
「ってことは治し方は意外と簡単だったりするの?」
「まぁあとはやってみな」
『記憶復元』この魔法が消えた記憶すら戻してしまうすごい魔法だったはず。まぁその分体力は持ってかれるのは勿論のことだった。
「あーっと、まだ使わないでね。報告することはいくつかあるから」
トレースが話そうとするとティグリスが間に入ってきて切った林檎を渡してくれた。
「これでも食いながらトレースの長い話聞いてやれ」
「なにさティグリス。結構大事な話なんだよ」
「だってさシュロシル。ちゃんと聞いてやれ」
私はティグリスが切ってくれた林檎を左手を動かして食べる。右手は一切力が入らないのでどうすることもできない。元々右利きなのでかなり不自由に感じた。
「それで、シュロシルにとっていい情報。次の闇の魔女が決まったの」
「それが良い情報なんですか?そちらにとってはいいと思いますけど」
「まぁ話は最後まで聞くこと。その闇の魔女の名はアイレク・レイレアナ。職業旅人。記憶に無い?」
「え......なんでレイレアナさんが......」
「闇の魔女は基本的に人と会わない生活をしていたがレイレアナは道に迷った所を闇の魔女に救われたらしい。それがきっかけだろうね。それともう一つ朗報。彼女が言っていたよ。『最初にユノライ・シュロシルと言う魔女に会いたいって』」
嬉しさのあまり声が出なかった。レイレアナさんは全部の街で全ての魔女に出会うそして最終的には魔女になるほどの強運も持ち主だったのかも知れません。私に会ったのも偶然では無く必然だったのかもし知れませんね。
「さて、あとはさっき言った魔法を使ってもう寝て、その間に私とティグリスでその目と腕直しておくから」
「え、本当にありがと」
「正直礼を言うのはこっちなんだ。シュロシル。お前は世界を救ったも同然の事をした。それぐらは当たり前だろ?」
「それは言い過ぎじゃないの?」
「それがそうでもないんだ。あのまま行けば次の街もその次の街も沈んでいた可能性がある。そしてそのたび魔女が死んでいた。それを防いだのは紛れもなくシュロシルなんだよ」
もしあの時ミオルが叱ってくれなかったら今頃この世界は終わっていただろう。そう思うとミオルには感謝しかない。
「それじゃ、あとはお願いね」
「おう。起きた時には動けるようになってんぞ」
「さーて、どこまで徹夜で行けるかね。頑張ろうかティグリス」
『過去復元』
見ていただきありがとうございます。
今日は正直いい事しかありませんね。まぁ当然の見返りでしょうね。ちょっと逸れますが、30万字突破しました!約2か月ぐらいで10万字打ちましたよ......
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