魔女の183日目
シュロシルが取った行動は?
「最後の最後まで考えたか?」
部屋に入ってきたのはお茶を持ったミオルだった。私のすぐ横の机にお茶を置き、ミオルは椅子に座る。
「さぁ。どうだろう」
「そんなこと言って、目は既に本気だな」
「分かるんだったら聞かないでもらえる?」
正直全部を考えたわけじゃない。けれど最善策は浮かんだはずだ。そして決意もした。これで死んでも後悔は無い。と言うか、死ぬつもりは一切ない。
「ありがとね。ミオル」
「改まって言うな」
「そして一つだけお願いがある。私が闇の魔女を殺してここに来させるからあとは頼んだ」
「おう。先にシュロシルが来るなんてこと無いようにな」
「分かってるよ。そんなことしたら本末転倒でしょ」
「それもそうだな。それじゃ準備出来たら目を閉じてくれ。普通の転移とは少し異なるもんでな」
「分かったよ」
目を閉じて待つ。ミオルが何かを言っていたがこの世界では聞かない言葉だった。創作したのか、どこか違う世界の言葉なのか。知る由もない。
一瞬で体が寒いと感じた。転移は成功したのか。ゆっくり目を開けてみる。そこは暗く、光の無い部屋だった。いや、部屋と言うより牢だった。鉄格子が目の前にあり、手は手錠で拘束されていた。手錠の先には鎖で鉄格子とは逆の壁にしっかりと埋め込まれていた。
開始早々読みが外れたんですが、なんで死んだあと私はここに居るんですか。普通墓の中か死んだ場所で放置されているはずですが......
さて、どうしたもんでしょうね。この手錠が外れない限り出れませんし......多分ここ地下ですよね。微かな風が入ってくる感じなので......魔法で破壊した方がよさそうですね。
『 』
ん?声が出ない......まさかと思いますが、魔法かけてます?ってことはやばいミスをしましたね。
「やっぱり生き返ったんだ。流石××の魔女だね」
コツコツという足音と同時につい最近聞いた声が聞こえた。それは鉄格子の向こう側に居た。闇の魔女。彼女で間違いないだろう。多分魔法が発動されたら分かる感じにしたんでしょうね。
「それにしても、生き返った瞬間魔法を使おうとするなんて危ない人だね。悪いけど、ここから出ることは不可能だよ。口は封じて魔法は使えない。そしてその鎖だけど魔法で固定してあるから解除はできない。ここでもう一度死ぬしか道は無いんだよ」
......
「それじゃ私はやらなきゃいけないことがあるからこれで失礼するね。もう会えることは無いと思うよ」
闇の魔女はまたどこかへ消えていった。このまま死ぬってなったら餓死以外に無いですよね。まぁその前にここを出てあいつを殺しますけどね。
さて、非常事態用の事は考えてきましたが......まさかこれを使うとは......でもすべてを救うため。戻る方法は一切知らない。何日記憶が飛ぶかも分からない。成功するかも微妙なことをするのはいいのか。下手したら人格は消えるかもしれない。記憶も消えるかもしれない。それでも全てを救うためなら1%でも成功する可能性がある事をするのか。
しない選択肢が見つからない。ここで引いても何も変わらない。
じゃあ、やるしかないんだよね。
ゆっくりと壁に魔法陣を書いていきます。これを使うのは久しぶり過ぎてあっているか不安ですが、大丈夫でしょう。
『 』
その瞬間手錠は外れて鉄格子が木端微塵になった。これで出口は確保しましたね。出るとそこにはこの部屋と同じような部屋がずらっと並んでいました。ここは地下の牢獄なんでしょうかね?そんな場所聞いたこと無いですが。
「すごい音がすると思ってきてみたけど、まさかあの部屋から出るとは」
「生憎とあんな場所で死ぬのは好きじゃないんで」
「......え?」
闇の魔女は何に驚いたのか。多分喋れることに対して驚いたんでしょうね。それならさっき周囲の魔法をすべて壊してきましたけどね。
「ここまでとは......予想以上だったのを謝るよ」
「勝手に謝ってて?その言葉以前にお前は死ぬべき存在だ」
「かなり口が悪くなっているように見えるけど、本当に××の魔女?」
「ああ、本当の私だ。お前を殺すためのな」
とりあえずさっき壊した鉄格子の残骸を浮かせる。そして闇の魔女目掛けて突き刺すように飛ばした。
「っチ。『見えない盾』」
闇の魔女が唱え瞬間鉄格子が闇の魔女を避けていく。そしてふと疑問に思った。オルウルの時とアンラウで会ったときは魔法陣だったが今は詠唱で終わった。もしかして同じ使い手......?
「あれ?これじゃばれるか」
「そうだね。お前も同じなんだな」
「ってことは××の魔女も2つ使えるんだ。仲間だね」
「一緒にされるのはごめんだな」
「それもそうだね。それじゃ、反撃と行こうかな『死を招く門』」
闇の魔女の詠唱が終えると徐々に体が闇の魔女の方へと引き寄せられていった。
「まだまだだよ?『鋭い槍』」
するとそこにはあるはずの無い槍が目の前に浮かんできた。このまま闇の魔女の方へ行くと突き刺さる。ここで焦ったらだめだ。冷静に行かないと。
『魔法破壊』
引き寄せていた力も消え、そして突然現れた槍すらも消えた。正直魔法相手にはこれで十分な気がしますね。さて、どうしましょうかね。
「やっぱり舐めてかからないほうが良いかもしれないな~」
「そうかもね。私も少々本気を出さないと」
「じゃあ、改めて。真剣勝負なら挨拶から」
「そんなのはどうでもいいよ。どうせお前が死ぬんだ。お前の名前なんて知った所で一生使わない」
「そうですか。まぁ私の勝手にしますよ。闇の魔女ノルニドナ・アテティア」
名乗られたなら魔女として名乗らなくてはいけない。まぁいいでしょう。これから死ぬ人に教えても今後に今後に影響は無いですね。
「はぁ......破壊の魔女ゆのらい・しゅろしる。アテティア。今日が命日だ」
見ていただきありがとうございます。
やっと、シュロシルが何の魔女かわかりましたね。まぁ結構分かる感じで書いていた気がしますが、いざ自分で言うと迫力ありますね。そして戦闘シーンが始まりますよ!182日やって初の魔女同士の戦闘!書く方も結構楽しいです。まぁ一人称で戦うのが初めてなので不自然な点が多くあるかと思いますが、暖かい目で見守ってください
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明日もお楽しみに!