魔女の172日目
強い風がこちらへと......?
風が強く吹くとか、そういう次元ではなく、木が大きく揺れ今にも倒れそうになるほどの強風だった。と言うか、何本か本当に倒れてるんですけど......台風でも通りました?
急いで居間に降りてみるとオルウルが台風警報のテレビを見ていました。やっぱり台風ですか。
「おはよ。もう台風って通った後?」
「おはよ~いや~まだこれからだって」
「え、もう既に何本か木が倒れてるんだけど......」
「暴風警報は既に出てるからね」
テレビには黄色、オレンジ、赤の順で風の強さを表していたが、私のいる所は既に赤を超えたどす黒い赤になってました。3段階表記じゃないんですか?
「これ、台風来たら家吹き飛ぶかもね」
「冗談でもそれはやめてねオルウル」
「私が操作してるわけじゃないしどうかなるかは分からないよ~」
「それもそうだね」
この調子でいくと、多分明日のバイトは休みになりますかね。暴風警報が出ている時点で外へは出ないでくださいって言われるし、多分アンラウに向かう最中に私の箒でも前に進めないかもしれないので。
そんなことを考えていると案の定バイト先から電話がかかってきました。
『ユノライさん大丈夫?』
『ええ、まだ無事生きてます』
『それはよかった。明日も暴風警報出るみたいだから来なくていいよ。アンラウの門も閉めるらしいから入れないよ~』
『閉めるんですか。了解です。ありがとうございます』
アンラウの門を閉めるとかやっぱりそれだけ強い風なんでしょうね。アンラウの門が吹き飛ばなきゃいいですけど......冗談ですよ?
今にも窓が風の圧で割れそうな感じがしていましたが、それを無視して家事を始めます。
「シュロシル~なんか静かにする魔法無いの~?」
先ほどから窓がガタガタと鳴っていて正直うるさいです。それが1つの窓じゃなく、全部の窓から聞こえるので余計うるさいんですよね。
「そんな便利な魔法知らないよ」
「動きを止める魔法とかでもいいんじゃない?あれ人間限定?」
「うーん。そんな使い方したこと無いけど、できるのかな」
「物は試しだしやってみたら?」
「無駄に体力削れるのも嫌だし、全部の窓って言ったらすごい体力消費するよ」
「結局明日バイト休みなんだし1日中横になってても大丈夫でしょ」
「それもそうか~......じゃない!死なないからって少しは心配しなさい」
「あははは~」
でも実際魔法で止めることは可能なのかもしれませんね。本当に物は試しなので1つの窓で試してみましょうかね。
『動きを止めよ。我が指示するまで動くな』
すると先ほどまでガタガタ言っていた窓はピタリと止まりました。あれ?成功するんですか?そしてそんなに体力削られませんね。これなら全部行けるんじゃないですか?
『全ての窓よ。動きを止めよ。我が指示するまで動くな』
するとすべての窓が一切動かなく、静かになった。
「流石シュロシルやればできるじゃん」
「完全に馬鹿にしてるよね」
「でもさ、さらにやばい状況かもよ......?」
「何が?」
「耳を澄ませてみなよ」
静かになったと思ったらギシギシと家から音が鳴っていました。あ、これやばい奴ですね。既に傷んでるので風の圧で本当に家が全壊する恐れがありますね......
「オルウル......あとは任せたよ......」
「何が?」
「私が明日1日動かないのとこの家が全壊するの。どっちがいい?」
「前者で」
この家自体の動きを止めるとなると流石の私でも無理があるので今ある体力はすべて使う勢いで魔法を使います。正直倒れてもいいのでこの家を何としてでも守り抜きたいんですよ。
『魔法を一旦解除して、再び動きを止めよ。我が指示するまで動くな』
先ほど使った魔法を一旦解除してそこから魔法を上乗せします。窓を止めて家も止めてとなると私の心臓も一緒に止まってしまうので......こればかりは冗談じゃないですよ?
そして数分持った後、すぐに眠気は襲ってきました。一応寝ても解除するまでは止まっているままなので大丈夫だとは思いますが、これで寝て解除されたら多分死んでいますね。闇の魔女に続き、私も行くなんて嫌ですよ。
まだ気力があるので日記ぐらいは書いておきましょうかね。
『台風警報と暴風警報で今にも家が壊れそうになった。仕方ないので魔法を使って止めたが、もう既に睡魔が迫っている』
「それじゃ、明日は多分動けないと思うからオルウルよろしくね」
「分かったよ~お休み」
「うん......おやすみ」
見ていただきありがとうございます。
最近やけに風が強いんですよね。自転車で前に進んでいるつもりでも全然進んでいなかったり......なんでこんなに風が強いんでしょうかね。
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