魔女の160日目
全てを終わりに......
『やってくれたね』
私の目の前には一人の『人』が居た。いや、あれは人なのか。化け物なのか分からない。けれど今までと違って見える。
「あんたが『手』の正体?」
「いかにも、この夢の世界を作ったミオルだ」
「ご丁寧にどうも。あんたのせいで私は大切な時間を減らしてるの。わかる?」
「それももう終わるだろ。君の行動のせいで......トレースと関わりのある人間だったとは」
思い出せば私はマーシャレイに伝言を頼んだんだ。それがトレースの耳に入ればこの夢は一生見なくなる。
「最後だし聞いておくよ。なんでこんな事したの?」
「この世界はトレースに聞くといいよ。本人が良く知っている」
「え?」
この夢の主催者がトレースだと言うのか。そんなはずは無い。トレースが作ったのはオルニアと言う世界だけだ。
「まぁそう悩むな。そして君はもう起きる時だ」
「あれ?オルウルが呼んでる?」
「そうみたいだが、これで最後だ。私も抗せてもらおう」
その瞬間聞こえていたオルウルの声がシャットダウンされた。一切何も聞こえない暗い空間になった。
「何するの?」
「これで私に触れる以外で戻る方法は無い。このまま一緒に夢の中で終わろうではないか」
ミオルは大きく両手を広げて勝ち誇ったかのように笑った。正直私は気に食わなかった。オルウルが呼んでいるのを無視することになる。また悲しませることになる。
「......ぇ」
「なんか言った?命乞いか?」
「ねぇ、死ぬのはあんただけで十分なんだわ」
私は笑顔で答えた。それに少し驚いたのかミオルは一歩引いた。
「何逃げてんのさ。そっか。今まで『手』は私の『手』から逃げてたもんね。その行動は今に始まった事じゃないね」
そう。私は考えてやっと答えが出た。多分『手』は『手』を恐れていたのだと。だから『背』を向けるとそれに近づいてきた。『手』が見えないと近づくのは意味が未だに分からないが。
「私はね。戻らないといけないの。待ってるオルウルの為にもさ。あの子私の為に人間になったんだよ?それなのにあんたが何回もこの夢に呼ぶから迷惑してるの......だから......
これで終わりにしようか」
私は両腕を切り落とした。夢のなので痛みは一切ない。切り落とす方法も魔法だが、多分意識的な問題だろう。
「お前は正気か」
「狂って無い人なんてこの世に居るのかね。いるのならその人は多分狂ってるよ」
私は一歩ずつミオルに近づく。ミオルは一歩も引こうとしない。いや、きっと引けないのだろう。私に『手』が無いから......
そして私はミオルに触れる。
「これで終わりだね」
触れた瞬間消えていくミオルは最後まで私を睨んでいた。
「覚えてろ、××の魔女。いつか復讐する」
「だから私その呼び名嫌いなんだって」
そしてミオルはこの夢の世界が消える前に消えていった。そして私はその場に倒れた。次に目を覚ました時はオルウルが居てくれるかな......
見ていただきありがとうございます。
夢編は多分ここで終わりですね。なんかネタ切れから来た感じでしたが、なんか良い感じのストーリーに出来たので結構満足です。
感想やアドバイスがありましたらコメントまで
高評価、ブックマークお願いします!
明日もお楽しみに!