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魔女の364日  作者: Catch262
150/364

魔女の150日目

謎の空間に謎の『手』

 再びこの感情になったのはいつだろう。それでも結構最近だろう。


 暗い場所で誰かが手を引いている光景を前にも見た覚えがある。それを見た日はリアルではずっと寝ていたのも思い出した。


 多分目が覚めてしまえば今思っていることもすべて忘れるのではないか。


 

 ただ。今回は今までとは別だった。


 

 夢と言う事がわかっている状態。つまり明晰夢の状態だろう......ここが夢であるのならの話だが......


 私が見えているのは目の前に差し伸べる誰かの『手』。それ以外は真っ暗で何も見えない。けれどわかる。多分『手』以外に何もないのだと。


 「だれなの?」


 返事を求めたが帰ってくることなど全く思っていない。だって『手』以外に何も無いのだから......


 あの『手』に触れられたら何かが変わるのだろうか。この夢の根本が覆されるのか。多分私は目を覚ましたら次の日になっているのは明白だ。なら少しは抗いたい。


 けれど抗う手段などどこにも存在しない。そういう世界なのだから。


 「ねぇ。なんで誰もいないの......」


 この夢の意図は何か。夢とは実際に見た物や思ったことを寝ている時に脳が整理して起こる現象。要はこの場所は一度見たことがあるのだろう。


 微かにその記憶がある。ただ思い出せない。


 ......


 

 この場所は時間と言う概念が存在しないのか。それとも実感できないのか。夢なら当然の事なのか。ただ私は『手』を目の前にして立っているだけ。それがもう何時間経ったか覚えていない。


 『ねぇ......』


 手の真逆の暗闇から一瞬誰かの声が聞こえた。それは私を呼ぶ声。その声を聞いたことがある。顔を見れば一瞬で思い出す。そんなような人の声だ。


 会えば何かがわかる。ここがどこなのか。

 

 私は声のする方へ走った。暗闇の中真っ直ぐ進んでいるのかすら怪しい場所で。唯一不安になったのは後ろを振り返ると『手』がある事だ。私は動いていないのか。それとも『手』が追ってきているのか。目印にするものが無く全く見当もつかない。


 そして私は走っていた足をゆっくりと落ち着かせていく。多分この先には何もない。そう思った。


 理由は簡単でただ一つ。『手』の距離が異常だった。あと一歩進めば私に触れるのでは無いかと思うほどに近かった。


 今振り返って『手』を掴むことが出来たらどうなるのか。その『手』が私に触れたらどうなるのか。正直知りたい事だらけだった。


 私は勢いをつけて咄嗟に振り向く。そして『手』を掴もうとした。すると『手』は元の位置に戻っていた。そしてその時私は思った。この『手』は絶対に触れないと。そして触れられないと。


 なら声の方に向かって走っても良かったのだが、それはしない。だって、『手』以外に何もない空間に音が生まれるのは不自然である。きっと空耳だったんだ。


 私はこの場にいることを諦めた。諦めたからと言って何をすることもできなかった。『手』を触る事もできなければ、夢から覚めることもできなかった。


 私は目を閉じた。『手』を見るぐらいなら。目を閉じて何もない空間を見ていた方がいい。



 『そうやって今もなお、現実から目を逸らすのか。お前は、お前はお前は、お前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前はお前は............
























 またすべて壊すつもりか』


 

 声が聞こえた瞬間私は目を開けた。そして『お前は』と言う声が耳鳴りの様に聞こえた。そして同時にその声の発信源は『手』だと言う事に気づいた。


 「うーるーさい!いい加減にして!」

 『お前は......』

 「私が何さ。何をしたのさ。話せるなら話してよ」

 『お前が......』

 「......」

 『お前は、自分の罪、を数えたこと、があるか......』

 「罪......?」

 『お前が、犯した罪。それを償え』

 「何もした覚えがない。以上」

 『......そうか。それなら、もういい。人違い、だった』

  

 人違いで私を巻き込まないでほしいのですが。これは夢に出てくる地縛霊とかでしょうかね?これ以降出てこなきゃいいですけど。


 そしてゆっくりと『手』は暗闇の方へ消えていきました。それと同時に私の視界には『手』さえも消えていった......


 


 『......破壊の魔女......』


 

 その言葉が『手』さえも消えた闇の空間で最後の一言だった。

 見ていただきありがとうございます。 


 150日目と言う事で謎を謎にそして軽い伏線。めちゃくちゃ内容が濃くなってます。もう少しホラー感を出したかったけど。意外と難しい。


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