異世界初日?
「知らない天井だ」
龍牙はまだ、はっきりしない意識で寝ぼけているように言った。
「・・・・・どこだ?ここは?」
夢の中で母に言われた言葉がよみがえる。
「・・・異世界召喚?」
次第に意識が覚醒し、ここが異世界なのか?
他のクラスメイトや義姉達のことが気になり辺りを見回すが誰もおらず部屋には、自分だけがベッドに寝ているようだ。
もしここが異世界で、自分達を召喚した国だとしたら他の皆も同じように気を失い寝ているのだろうか?
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白亜の神殿にて、十数人のローブを着た者達が息も絶え絶えに喜びの顔をしており、その周りにいる重厚な鎧を着た数人の騎士のような者達は歓喜の声を張り上げていた。
「宮廷魔導士殿 成功したのですね!?」
金の髪を持つ美しい少女はローブを着た老人に確信を持って聞いた。
「はい!無事に異世界より勇者の召喚に成功いたしました」
そして、視線を召喚した勇者達に向ける。そこには龍牙を始め30人の男女が気を失い寝ているのだった。
「彼らを部屋へと運び、気が付くまで寝かせて下さい。全員が目覚めましたら、王の元へ案内いたします。よろしいでね⁉」
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龍牙が皆のことを気にしているとガチャと扉が開きメイド服を着た同じ年ぐらいの少女が入ってきた。メイド喫茶等のメイド服ではなく、リアル【メイド服】のメイドが。龍牙が目覚めていることに気が付いた少女は、
「お目覚めになられたのですね!」
「君は?それとここは?他のみんなは?」
「私は、あなた様達のお世話をさせていただくメイドの一人でメアリーと申します。
ここは、詳しくは申せませんが国王様の別邸のひとつです。
全員お目覚めになられ、後はあなた様だけお目覚めになられていらっしゃらなかったのです。他の皆様のところにご案内いたしますが?いかがいたしますか?」
いろいろ疑問等はあるが、今は考えても分からないのでとりあえず
「よろしくお願いします」
メアリーさんの後に付いて行く。ふと夢の中で母さんに言われた言葉を思い出す。『“剣と魔法のファンタジー世界”ということはステータス表示なんか出来るのだろうか?試しにやってみるか!』『ステータス』
名前 リュウガ=ココノエ(九重 龍牙)
種族 人間族
年齢 17歳
性別 男
Lv.1
武器 なし
HP:156 / 156
MP:220 / 220
筋力:200
知力:180
防御:150
敏捷:160
器用:150
魔防:150
運 :250
《ギフトスキル》
言語理解
アイテムストレージ(偽装 アイテムボックス:Lv.1)
解析:Lv.3(偽装 鑑定:Lv.1 )
五霊柱獣:Lv.1
過去透視:Lv.3(隠蔽)
《スキル》
剣術:Lv.2
刀術:Lv.2
格闘術:Lv.3
拳闘術:Lv.2
生活魔法
水魔法:Lv.2
料理:Lv.2
隠蔽:Lv.3(隠蔽)
偽装:Lv.3(隠蔽)
称号
異世界の勇者
女神の加護
『おおっ!見れた。しかし、隠蔽や偽装が何故か働いて隠しているみたいだな。』
「どうかされましたか?勇者様」
僕の前を歩いていたメアリーさんが、いつの間にか顔を覗きこんで聞いてきた。
「いいえ。何でもないです」
慌てて返事をして再び付いて行く。
『隠蔽や偽装を自分でした覚えがないのに何故されているか?
後、母さんからどのスキルを譲ってもらったか?ヤバいから隠蔽などが本能的に働いているのだろう!』
そんなことを考えているとメアリーさんとクラスメイト達がいる皆の前に着いた。
そこには、義姉や樹理、陽介達が揃っておりこちらに気付いて駆け寄ってきた。
「龍牙、無事だったか‼お前だけいないから心配したぞ!」
「龍、良かった!心配させないでよ‼」
「義兄ちゃん、良かった~‼」
どうやらかなり心配させてしまったようだ。
「悪い悪い。心配させてしまったようだな。ゴメンゴメン‼」
みんなに謝り手を振りながら近くに行く。
そこに先生達や他のクラスメイト等もやって来て、今の状況を聞いてみる。
「教室にいたのに気が付いたら知らない豪華な部屋で寝ていて、そしたらメイドさんが来て、『起きられたのなら食事の用意がされている』と『お目覚めになられた方々もおりますので』と言われここに居るわけだが!」
朝霧先生が答え、
「何故、私達がこんな所に居るのか聞いたがメイド達からは『答えられない』『皆様がお揃いになられたらしかるべきお方がご説明される』の返事だけでな」
いつの間にか来ていた林田先輩が答えた。
「じゃあまだこの状況がどういう事なのか誰も分からないということですか?」
「ああ。だが九重が起きて来たのでもしかしたら【しかるべきお方】が説明してくれるかもな⁉」
朝霧先生談。
そのような話をしていると、金の髪の美少女が部屋に入って来たのでみんな注目していると優雅にお辞儀をして
「勇者の皆様、私はこの国インシュアランス王国の第二王女アリアーゼ=インシュアランスと申します。突然この世界にお呼びしてしまい申し訳ありません」
開口一番、謝罪の言葉が出てきた。
「いろいろ言いたいことはおありだと思いますが、お父様つまり国王より説明をさせていただきたく所存です。しかし本日は遅いので、明日の王城にて謁見の間まで付いて来てほしいのです!」
僕達は軽くアイコンタクトを交わして頷きあった。
「わかりました。明日ちゃんと説明して下さい!」
僕達を代表して朝霧先生が答え、こうして僕達は王様に会い説明を聞くことになった。