プロローグ
「どうなってやがる」
僕は呻きながら、襲ってくる者を睨み付ける。そこには緑色の小人のような醜悪な怪物が錆びた剣や棍棒を持って襲ってきている。この怪物はゴブリンで数匹に囲まれており剣を構えて戦ってはいるが、一匹二匹倒すが、数が減った気がしない。そしてだんだん追い詰められている。このままじゃ間違いなくゴブリンの攻撃に殺られてしまうだろう。だが僕はこんな所で殺られる訳にはいかない!あいつらの企みを昨日の夜に偶然聴いてしまったからには、生きて戻り守らないといけない‼しかし洞窟の壁際に追い詰められてしまった。
「諦めるものか!絶対戻ってやる‼」
決意を込めて雄叫びをあげながら剣を振りかぶり駆け出した時に幸か不幸かトラップのスイッチを押してしまいその場から僕は転移してしまった。
僕の名前は、九重 龍牙。私立高校に通う17才の二年生である。
今朝も朝4時30分頃に起きて、日課のジョギングを1時間程走り汗をシャワーで流す。そして今週の食事当番は僕なので、3人分の食事を作り義姉達と食べる。そして7時頃3人で学校に行く。
僕の家族は義父と3つ年上の義兄と1つ年上の義姉の結と1つ年下の義妹の樹理である。母は3年前に病気で亡くなった。 義父と母は、5年前に子連れ同士の再婚であった。母が亡くなってからは義父は仕事に没頭してたまにしか帰ってこない。兄は、大学進学を機に、家を出て1人で暮らしている。よって僕は義姉と樹理と3人暮らしのようなものである。
僕は、母が亡くなった時に父方の祖父母に引き取られる予定だったが義父が育てたいと言ってくれたそうだ。母は8才の時に記憶喪失で発見された。しかし親が見つからず孤児として育たったようだ。綺麗な金髪をしており、父とは高校の同級生で恋人だった。そして結婚して僕が生まれた。母は金髪だったが僕は父に似て黒髪だ。その父も僕が8才の時に交通事故で亡くなっている。
3人で学校に行く途中で、声をかけられる。
「よっ!龍、結ちゃん、樹理ちゃん」
声のする方に顔を向ければ、近所に住む4つ年上の兄のような 存在の 木下 裕也さんだった。
「おはよう、結さん、龍君、樹理ちゃん」
「オッス! 結姉、龍牙、樹理」
その後ろから結と龍牙と樹理に挨拶するものがいた。
祐也の双子の妹で、幼馴染である木下 愛美と玖瑠美であった。
二人は龍牙達と同じ高校の同級生である。
「おはよう、裕兄さん、愛美ちゃん、玖瑠美ちゃん」
「おはようございます。裕也さん。おはよう 愛美、玖瑠美」
「おはっよう!裕兄、愛美さん、玖瑠美さん」
裕也さんと別れて愛美と玖瑠美も加えて5人で学校に行く。
学校に着き義姉達と別れて教室に向かう。愛美は別クラスなので、廊下で別れた。
玖瑠美と教室に入った所で声をかけられる。
「龍牙、木下さん、オハー」
こいつの名は南田 陽介。中学校以来の悪友だ。
「陽介、おはよう!」「おはよう、南田君」
挨拶をして教室で雑談をしていると
「おはよう!九重君 南田君、玖瑠美さん」
声をかけてきたのは、空山 早苗さん。クラスの委員の一人で学校の美少女ランキングのTop10に入っている。ファングラフまであると噂がある。挨拶をして話していると
「おはよう 空山さん、木下さん」
声をかけてきたのは、 もう一人のクラス委員の東條 陽輝だった。成績は学年Topクラス運動もTopクラスのいわゆるイケメンだ。しかも親が学校の理事の一人。こちらも学校で人気が高くファンクラブまである。
東條はこちらを一瞥して自分の席に着く。
僕と陽介は無視かよ⁉
「おはよう南田、九重。 おはようございます 空山さん、木下さん」
挨拶してきたのは山口 卓巳。ボサボサの前髪で目元が隠れている。僕や陽介達と同じ中学校の出身でもある。
「おいキモタク」
山口に声をかけてきたのは、町田 順矢 原口 道雄 犬塚 勤のクラスの3バカトリオだ。
「邪魔なんだよ!退けよ」
山口を突き飛ばそうとする。
「町田達 やめろ!」
「誰だよ?」「うっ!九重‼」「なんだよ⁉」
「ちっ!おい!行くぞ」 “覚えてろよ”(小さい声で)
「ありがとう 九重」
山口は自分の席に行く。
「GOOD MORNING!リュウ、ヨウスケ、クルミ」
挨拶を雑談に加わってきたのは、クレオ・M=バートラー 金髪に碧眼のアメリカ人だが中学の時に父親の仕事の都合で転校して来て以来の付き合いだ。彼女も学校美少女ランキングTop10に入っている。
HRのチャイムが鳴る。 そして副担任の朝霧先生と教育実習生の結城先生が教室に入ってくる。
「おはようございます。席に着いて下さい。まず、皆さんに報告があります。担任の内田先生は風邪で本日、お休みされます。
では、結城先生、出席をお願いします。」
朝霧 茉梨華 25才 164cm 艶やか黒髪が腰まであり大学時代にはモデルをやっていたと噂があるという美人さんだ。数学担当
結城 沙羅 21才 155cm 髪は肩まである、美人より可愛いと言われるタイプだと思う。数学担当
午前中の授業が終わり昼休みの教室には玖瑠美の所に愛美が来てクレオも含めてお弁当を食べていると愛美や玖瑠美の部活の後輩の安田 美香ちゃんが訪ねて来たみたいだ。愛美と玖瑠美は、吹奏楽部である。クレオはテニス部です。
他のクラスからも教室にいる友人達とお弁当を食べようと来ている。
僕は弁当を陽介は購買で買ってきたパンを雑談をしながら食べている。
視界の隅では、朝霧先生と結城先生がクラス委員の東條と空山さんと話をしている。
義姉と樹理が僕の教室に訪ねてきた。
「何の用だろうか?」
義姉達と話していると、そしたら
「おーい!九重、南田いるか?」
部活の先輩の林田 まどかさんが僕達を呼んでいる。僕と陽介は、同じボクシング部に所属しており、林田先輩は、マネージャーをしている。今日風邪で休んでいる内田先生は顧問であるから今日の部活のことだろうか?
用件が済んだので義姉と樹理は戻ろうとし、僕は陽介を呼ぶと林田先輩の元へ行こうとすると、急に体が膠着し動かなくなった。声も出せない。と思ったら足下が青白く光だし幾何学的模様の【魔方陣】のようなものが現れて、徐々に浮き上がり体を包みこんでいく。
そして光は弾けて消え、教室にいた先生や生徒は消えており、周りは騒がしいが誰もいなくなった教室は静寂に包まれていた。
そして
先生······ 2名(教育実習生1名)
生徒······ 28名
以上30名が消息不明となる。
誤字等教えて下さい。