プロローグ
はじめまして。
初投稿です。
最後まで完結できるようにがんばろうと思っています。
少しでも目を通していただけたら幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします!
「死にたい。っていうかもうリセットしたい」
奈穂がこの台詞をつぶやくのはもう何度目になるだろうか。
たとえば、
眠りにつく前。
目が覚めて起き上がった瞬間。
満員電車で息苦しく揺られている時。
仕事を終え誰もいない自宅に帰り、惰性で開けた発泡酒を飲んだあと。
その他、多数。
つぶやいたところで奈穂には死ぬ覚悟も勇気もない。
ただただ、ため息が深くなっていくばかりであった。
東京に住む奈穂の一人暮らし生活はかれこれ20年になる。
都内の私立大学への進学が決まり、期待と不安に胸を膨らませて奈穂が東京へやってきたのは18歳になる年の春だった。
それなりに学生生活を楽しみ、
まあまあ就活もがんばって、
ぼちぼち恋愛もして。
上京して20年。
傍から見れば平凡な人生を割と真面目に生きて、
奈穂はもうすぐ38歳になる。
「こんなはずじゃなかったなあ。
なんかもう、死んでもいいかなあ。
リセットして早く生まれ変わりたい。」
今度は湯船で、そうつぶやいた。