第六羽 文家に行こう2
この会も合わせて全6羽、第一章 「ようこそ新参さん、ここが幻想郷です」は完結です。
ですが次の章や話はまだまだ続きますのでご安心ください。
――走る走る、ただひたすら走る。奴らを撒くために走る。――
文「あの大丈夫ですか・・・脚が血だらけですが・・・・・・」
虎菟「あ゛ー気にすんな。・・・・・・そんなことより、射命丸ちゃん家ってまだ・・・??」
文「・・・あ、そこの右の山道に入ればもうすぐです」
虎菟「やったぜ」
ただでさえ四肢の枷のおかげで稼動範囲が狭い上に文と由季乃抱えてなお走りつつけていた虎菟。実際のところ攻撃を仕掛けてから追ってくる感じは無いので撒いたと思うが、そんな事より早く目的地について速攻寝たいし枷付いてるのに無理して走ったせいで脚がずる剥け状態で痛いんで休みたいというのが本音。
それから少しすると、それなりに立派な家が見えてきた。どうやら椛とかいう奴の気配があるのであそこが目的地で間違いないらしい。というか会ったら向こうも自分も何しでかすか分からないのでどう入るか迷っていた。
由季乃「小野町様、それに関しては私が交渉いたしますので・・・降ろして頂けますか?」
虎菟「俺声にしたつもりは無かったんだが・・・、まあよろしく頼むよ。てか射命丸ちゃんも重いから降ろすね」
文「それ酷くないですか!?」
なんで思考読めたんだという由季乃への疑問はさておき、とりあえず玄関ぶっ殺し合うという不安要素は解決・・・した筈なのでとりあえずよしとする。・・・って由季乃ちゃんどこ行ったんだ??
虎菟「・・・とりあえず早く交渉済ませて休もうぜ・・・」
文「いやー、椛の性格を考えたらそんな簡単に入れてもらえないと思うんですけ・・・」
椛「いいですよ」
虎菟「ほらー、いいってよ。いやー流石話が分か・・・」
虎菟・文「「・・・・・・」」(一度顔を見合わせてからまた椛に向き直る2人
椛「・・・な、なんですか・・・じろじろ見て、私の顔に何か付いてるんですか?」
しいて言うならスス汚れが少々・・・、というかこの娘なんか割烹着姿にしては結構体のラインが・・・着痩せするタイプなのか?というか、でけぇなぁおい!!特に尻と胸が。この白銀の犬耳と尻尾に割烹季、そしてこの尻と胸!どんなナイスコンボだっつーの!!てかこんな娘が俺と戦ってたの?・・・・・・やべぇ、色々想像してたらムラムラしてきたぞ。
あっれー?おっかしぃーなぁー、地獄に来てしまったと思ったら楽園だったでござる。
椛「あのぉ・・・、おーい大丈夫ですか?」
声が聞こえるが聞こえない。何を言っているのかわからねーと思うが、おれも何いってんのかわからなかった。それより椛ちゃん・・・お前さん一々仕草が可愛すぎんだよ畜生!!ボーっとしてる奴に手振って確認するとか・・・今のご時世滅多にねーぞ!?そうか天然の男たらしマシーンか、天然の男たらしマシーンなんだな。そうなんだな。そうに違いない(確信)
虎菟「・・・なあ、射命丸ちゃんよ・・・・・・」
文「・・・なんでしょう・・・」
虎菟「これは夢か幻か、それとも現実か・・・どっちだと思う?」
文「・・・確かめてみます?」
虎菟「ああ・・・」
すると2人は徐に互いに腕が交差するようにして頬を抓る準備をした。
虎菟・文「「・・・・・・」」(そして同時に抓り合う。
虎菟「・・・・・・これは夢じゃ・・・」
文「・・・ないですね」
虎菟・文「「なら答えは一つ・・・!!」」
椛「へっ?」
そう言って椛の肩を掴んだ2人――
――5分後 文家の中――
虎菟「いやー、俺と戦ったときに頭打って記憶でも失ったのかと思ったわ」
文「私も頭打って性格が変わったのかと思いました」
椛「今嬉しいような悲しいような衝動に駆られてるのですが、それを2人に発散してもいいですか?」
虎菟・文「「やめてください死んでしまいます」」
由季乃「相変らず仲がよろしゅうございますね」
虎菟「いや、由季乃ちゃんは来て早々に馴染み過ぎだろ」
まあ色々とありましてなんとか中に入ることが出来た。そしてすぐに椛ちゃんがずる剥け状態の脚の処置を済ませて包帯を巻かれた、こうして見るとただの家庭的な娘にしか見えないな。うん。
虎菟「それにしてもすまないね、突然上がらせてもらった挙句、脚に包帯まで巻いて貰っちゃって」
椛「いえ・・・私の方に大分落ち度がありましたし・・・、これであの時の事を水に流して頂きたいなー・・・なんて・・・・・・」
虎菟「いいよ?というか水に流すも何も、俺はもう気にしてないし。」
椛「ありがとうございます、でも完全に信用できた訳ででは無いので暫く様子を見させてもらいますね」
虎菟「ワー、コレハキビシーナァー」
椛「あ、冗談で言っただけなので本気にしないでくださいね?」
虎菟「あいよ。まあ何はともあれ・・・・・・これからよろしく頼むよ、椛ちゃん」
椛「はい!、こちらこそよろしくお願いしますね」
そんなこんなで文家に泊まる事となった虎菟、今日までで2日という短い時間しか流れていないが、旧友とも会うことができて内心満足している所もある。だが、ようやく椛とも和解をしこれからはここで・・・この世界での生活を強いられ生死に関わるようなことも起こるだろう、しかし文句は言えない。「自分のみは自分で守れ、そして大小に関わらず何かをしようとするならば命を捨てる覚悟でやれ」それがこういった世界のルールであり常識だから。この世界で生きていくのは大分神経を使いそうだ・・・。
そして今日、なぜ自分・・・いや彼が幻想郷に来て彼との記憶が入り混じったのか・・・色々と調べなくてはいけない事が出来てしまった。それらを詳しく調べるためにも、もう暫く幻想郷に居なくては――
正直5羽で第一章完結のはずだったんですが、話を書いていくにつれてどんどん膨れていって1話分長引きました。(厳密に言うと3部分長引きました)
あとこの第一章はプロローグに近いものなので次の章から本格的に話が進んでいく予定です。