ある魔法研究者の書斎
掲載日:2015/05/24
「私は、魔法の研究をしている」
私の師はそう言った。
出入りするための扉と、ほんの少しの太陽光を取り込む窓以外、本棚で囲まれ部屋で、私の師は一日の大半を過ごしている。
天井まで達するその本棚には、さまざまな本が並んでいた。その景色は壮観で、まるで図書室のようである。
そこに収蔵されている書物は、総じてなんらかの魔法について書かれていた。
実際に魔法を使う手順を収めた実践的なものから、自己催眠的な呪いや、日々の運勢を占うようなものまで。
師はそのような本を収集し、人々が魔法に何を求めているのか、魔法をどのように捕らえているか、何を具現化しようとしているのか、魔法とは何か、魔法の原理を、概念をそこに求めているのだ。彼はそういう研究をしていた。
彼に教授する私は、本棚に溢れる混沌とした『魔法の本』を借りて読み、空き時間をつぶす。
「今日はこの本を読もうかな」
彩り鮮やかな装丁の本たちが、細かく分類されている。古今東西から収集した、魅惑的な魔法の本が、本棚にたくさんある。
文学作品、アニメ、漫画、絵本、ゲームの攻略本……魔法が登場する様々な書物があった。
実を言えば、師はそういった作品で扱われている魔法について、研究している民俗学者なのだ。




