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終わり、そして始まり

人が次々と消されていく。

何人も何人も...

その度に、俺たちは怯え叫ぶ。

俺たちは今、教室に監禁され、そして理不尽で何も意味を持たないゲームをやらされている。

突然現れた神の使いを名乗る男はこう言った。

「ゲームを始めます。いいですか、これはあなたちにとって終わりであって始まりでもあります。それでは、It show time!」



2時間前

「ギシッ…」

何か違和感のある音、そして密閉された教室で起こった風。

当然、教室はざわめき言葉がとびかった。それを講義中の担当教師が止めにかかる。


俺の名前は桐谷祐介。この神内高校に通う高校1年生だ。

今は、文系志望の俺にとって憂鬱である山内による数学の授業中だ。

そして、今起きた不思議な音、風。それで、クラスメイトは騒いでいる。山内は若干見下しながら彼らに静かにするようにとどめている。

そのとき。

「バキッ、グィーン。」

その音と共に教室は揺れた。

そして、俺たちは目を疑った。

教卓の前に小柄の聖職者のような服装をした男が立っていた。

何故だ。あの男は誰だ。どこからきた。俺たちの頭にはそんな素朴で重要な疑問が浮かんできた。

そして、男は口を開いた。

「こんにちは、みなさん。私は神の使いのクリスハイトです。突然ですがあなたたちにはゲームをしてもらいます。」

男は作り笑いのような笑みを浮かべ俺たちを見ていた。

「ゲームってなんだよ。まず、お前どこから入ってきた。」

クラスメイトの斉藤君がクリスハイトと名乗る男に聞いた。

「斉藤くん、落ち着いてください。ところで、今私以外にこの教室には何人いますか?」

何の関係がある。クリスハイトは何を考えているんだ。

「41人だ。私を含め。」

山内は静かに冷静を装って言った。

「そうですか。じゃあ、2人組を作ってください。あと、もうゲームは始まっていますから。」

普段の俺たちなら反発するところだが、この時はすなおに従っていた。

俺は席が隣である城島と組んだ。

数分が経ち全員組み終わった。41人と奇数なので教師である山内が余っていた。

「いいですね。山内先生ですね。じゃあ、悪いですけど偶数の方が都合がいいので死んでもらいます。」

その場の空気が凍りつき、数秒の沈黙。そして、山内は着ていた衣服を残し何処かに消し飛んだ。

こみ上げる冷や汗、聞こえる悲鳴、震えが体に語りかける。

男はこの状況で笑みを浮かべ言った。

「では、次のゲームに行きます。」

「ちょっと待った!」

海堂が慌てて叫んだ。

「山内は何処に行ったんだよ。てか、何でドアも窓もあかないんだよ!お前は何がしたいんだよ!」

「えっと、君たちはこの教室に監禁されていて外部との通信手段もないです。山内先生は死にました。肉体を消しました。これから、私に反抗などをした場合殺します」

理不尽にもほどがある。クリスハイトは自分の目的のために殺すことを躊躇していない。

「質問いいか、クリスハイト。」

俺を見てまた笑みを浮かべ言った。

「なんですか、桐谷君?」

「つまり、俺たちはあんたの指示を聞き、ゲームとやらにクリアすればいいわけだな?」

「そういうことです。では、次のゲーム。みなさん消しゴムを出してください。」

消しゴム?何のために使うんだ。この男は俺たちに何をさせる気だ。

「すみません。消しゴム忘れちゃったんですけど、どうしますか?」

城島が恐る恐る聞いた。

「そうですか。ちなみに他にいますか?」

俺も、私もと合計で5人立ち上がった。忘れ過ぎのような気がするが今は気にする余裕がない。

「その人たち教卓の前に来てください。」

手招きして呼んでいる。

5人は渋々歩いて行った。男子は、城島、山下と滝口。女子は、鈴木さんと天野さん。

「5、4、3、」

クリスハイトはカウントを始めた。

「....、2、1、0。さようなら。」

音もなく、5人は山内と同じように衣服を残し消えた。

さすがにクラスメイトが消えみんなも騒ぎ始めた。泣いている声、悲鳴、どこか遠くを見つめている奴、そんな行動で全員がやっと状況を理解し、恐怖を感じた。

そして、何より死に対する恐怖心は次第に大きくなって行くのをみんなわかり始めた。

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