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話
広く、青い空。ふわふわと浮かぶ白い雲の波。
青く生い茂る芝生。横たわる彼は―――――――――
「.....い、おい!」
「ひゃ、はい!」
ぼーっとしていた目の前に、彼の顔が近づく。
頬に冷たい感触が走る。
「缶ジュース、あげる」
頬の冷たい感触、それは缶ジュースであった。
ぽとり、缶ジュースが私の手へと落ちる。
ぷしゅ、とプルタブを開け、ごくっと一口ジュースを口に運ぶ。
ほわり、と広がる甘い口どけ。
「濔朔、サンドイッチ頂戴」
私はサンドイッチを彼の手へと運ぶ。
「はい、航。」
サンドイッチを渡す。
もうすぐ夕暮れ。
私は、何か、穴の中に落ちていった。
上から、何かが降ってくる音。
航も、落ちていたのだった。