#9.いらつく
なんなんだ、こいつら。いらつくんだが。
あたしはもう、死んでる。
俺はまだ、死んでない。
歩んできた時間、
片方はもう止まって、片方はまだ動いてる。
出会いは偶然、だった。
同じ世界にいられる時間は、あと少し。
だけど、あと少しだからこそ…
2人は手を取り合い、ゆっくりと歩き出す。
この楽しい時間を、少しでも長くするために・・・
「なーに、いらつくことしてんだお前ら。」
「!?」
「お前らの勝手な行動で、こっちは迷惑してんのによ。全くよー。・・人間は自分のことしか考えてないからいかんぜ。」
さっき抜けてきた路地裏の方から、声がした。
上から叱りつけるような、威圧感のある声。
そのあまりにも強い声に、2人は少し気押されながら、後ろを振り返った。
「転落畤 羽遊と・・蟹山 絵眠だな?歴史干渉、の実行犯で・・捕縛する。」
「な・・なに!?」
空気が、変わった。
そこにいたのは、霊を導くもの。生きていては決して見ることの出来ない、
空想上の種族。
天使だった。
後ろの羽は飾り・・?
いや、違う。羽の脈動を感じる。やっぱり天使だ。
「歴史干渉・・?どういうことだ!」
「霊が人間世界に影響を与えることだ。利婚炉 廡類の逮捕によって・・ほんの少しだが、未来は変わる。そしてそれはいつか、大きなズレになる。」
全く困ったもんだ、とでもいいたそうな顔で、
そいつは座っていた――なぜそんな所にあったかは分からないが――山積みの段ボールの上から立ち上がった。
どうやら俺たちがやったことは、タブーだったらしい。
利用規約をみずになんかに登録して、
実は〜だったんですよ、って言われてるみたいだ。
「いよいよ天使の登場かよ・・ってか天使って、悪口ばっか吐くようなやつなのか?」
別に罪人よばわりされること、したわけでもないし。
とりあえずタメ口で話しかけてみる羽遊。
「天使にだって情はあるさ。機械的な天使が人を導くことができるか?できねぇだろ?」
普通に返された。・・そりゃそうだけど。
やっぱ童話とかとイメージが違いすぎる。
それでも天使かお前は。
そう言いたくなったが、やめといた方が良さそうだ。
さっきから絵眠が、何も言ってないからだ。
俺より遥かに、絵眠の方がこの世界に詳しい。その絵眠が何も言わず、ただじっと前を見据えてあいつをにらんでいるのだ。
恐らくこれ以上の言葉はなにかを引き起こす。
それを、羽遊は悟った。
もう少し更新頻度が増やせればいいなあと思っています。