#6.裏
長年、ずっと抑えてきたあいつは、 今、理性を 押し退けて
「やったー!羽遊君さすが男の子ね!一発でのしちゃうなんて!」目の前ではサラリーマンが泡を吹きながら倒れている。
「は・・はは・・。」
もしこの人が犯人じゃなかったらオレ、罰金何万円だろ・・、
なんて考えなくてもいいようなことを考えている羽遊は、現実逃避で笑うしかなかった。
しかし、笑ってる場合ではなくなった。いきなり辺りに漂い始めたのは・・殺気。
「おいおい、いきなり殴りかかるとは失礼じゃないか、君。」
何もなかったかの様に、利婚鈩が立ち上がった。
「嘘・・あれだけの事をして、ピンピンしているなんて・・・。」
「おや、俺が殺したやつじゃないか。そうか・・9年間よくこの世界にとどまっていられたな。俺に復讐するため・・ってか?健気なもんだな。」
利婚鈩廡類が、明らかにさっきとは違う。
俺達と普通に喋っている。それだけで違うのに・・この殺気は。
「おまえは・・誰だ?」
「何ねぼけたこといってんだ?俺は利婚鈩廡類さ。まあ、さっきまでおまえらが脅かしてたのは、ただの一般人の利婚鈩だがな。」
いや、その説明の方が分かりにくいから。羽遊が頭をショートさせまくっていると、突然喋り出したのは絵眠。
「人は誰でも、隠された1面を持っている。あなたは利婚鈩廡類の・・ずっと隠されていた1面!」
「ご名答。俺は利婚鈩廡類の裏。殺人鬼、利婚鈩廡類だ!!」
言い終えるなり、裏利婚鈩は拳を振り上げた。
「今度の俺は殺人鬼だぜ?」
拳が・・拳が絵眠に向かって振り降ろされる!!
「まずはお前からだ・・。もう一度殺してやるぜ!!」
「危ない!」
羽遊が慌てて止めようとするが時すでに遅し。
絵眠はおもいっきり殴られ、地に伏せた。
なにかと絵眠は損な役回り…