#4.復讐
今更ながら、 こりゃねぇだろ神様
一方その頃、羽遊(体)がいる
干火樽病院では。
「波奈子、いいところが見つかったぞ!」
「どうしたの、あなた。」
羽遊の両親、母の波奈子と父の残太郎が何やら話していた。
「植物人間の入院から、介護まで安くしてくれる病院があったんだよ!!」
「残太郎さん、本当ですか?確かにお金には困ってますけど・・・。詐偽、とかいうのじゃ・・・」
「大丈夫だ。俺の親戚の娘の友達の親戚が言ってたからな!!」 ・・・説得力が無い。
「・・・そうですか・・・。」
波奈子は迷っていたが、金のこともあり羽遊の体をその病院に移動させることにした。
植物人間専門病院、崎原センターへ。
「崎原センター?」
羽遊は絵眠からその単語をきいたが、ピンと来ない。
「なんだよそれ。俺の体とどう関係があるんだ?」
「崎原センターはね。植物人間専門の病院なの。一応私の家も病院だからね。聞いたことがあるのよ。『全国の植物人間の30%は、崎原センターに収容される』って話をね。」
「なるほど。そこに行けば体があるかもしれないわけだな。」
羽遊は納得した。いきなりなにを言い出してんだ?と思っていたが、以外と俺の事を気遣ってくれていたのだ。
羽遊と絵眠の二人はいま、女子中学生連続殺人事件の犯人の家の前に来ていた。
殺られた本人が横にいるのだから間違いない。家の表札には利婚鈩と書いてある。
転落畤、がいうのも微妙だが、実に変な苗字だ。
「ここにあの事件の犯人がいるのか・・。」
「そう。あ・・出てきたわよ。」絵眠が指差す先には、家から出てきた犯人が・・・?
「え・・、あいつ?」
「あの顔を忘れるわけないわ。」
「まじかよ・・・。」
羽遊が驚いたのも無理はない。ドアから出てきたその男は、明らかに殺人者のイメージからはかけ離れていたのだ。
気弱な一般人、にしかみえないその男は、ぐったりしながら2人の前を歩いていった。やけに疲れがたまっている様に見える。
「さてと。羽遊君、追うわよ。」
「ん?・・・あ、ああ。」
絵眠に急き立てられて、羽遊達は『利婚鈩さん』を尾けていった。・・やっぱり納得できない。羽遊は絵眠に確認する。
「なあ、本当にあんなサラリーマンがあんたを殺したやつなのか?俺にはただの・・・。」
「ただの一般人にしか見えない、ってことでしょ?そりゃそうよ。普段から殺人鬼みたいな顔してて、捕まらなくて済むと思う?」
「そりゃ、そうだけど・・・。」正論をぶつけられると弱い。
絵眠はさらに続ける。
「人はみんな、隠された1面を持ってるのよ。あの野郎は、それが殺人者ってだけ。」
「隠された、1面・・。」
「さ、そろそろ復讐しなきゃ!」そういえば、絵眠の復讐の手伝いにきたんだっけ。
「で・・、復讐の方法は?」
すると絵眠はニタッと笑いながら、
「お楽しみよ。お楽しみ。」
といって、何も話してくれなかった。
まぁ、外で豪雨が降り出したんで記念にアップします。