表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/18

#17.羽遊

行き着いたのは変わらぬ日常。


オレは転落畤羽遊。15歳だ。

オレはよく転ぶ。しかも、みんなの前で。

しかしそれは――昔の話。

オレは最近、転ばなくなった。


地盤が不安定だと、人は転ぶ。

凹凸。邪魔な物。ときには、何もないところ。自分の足。

でも、それ。実際に不安定なのは、俺達の心の方だって、この前気付いたんだ。

心が不安定だと、体もふらふら。ゆらゆらしていると、転ぶ。

目的がない人は、人生で転んでばかり。

目的を実行する勇気がない人は、人生で道を踏み外してばかり。

でも―――俺はもう、転ばない。

なぜかって?


「約束したからだよ、あいつと。」

人生を楽しむってさ。

なあ、絵眠。


「早く学校行きなさいよー!」

台所から聞こえてくる母さんの声。いつもと変わらない朝。

だるかったやりとりが、楽しく思えてくる。

「起きるのは早くなったのにこれだからあんたは…早くしなさい!」

「こえーって…」

……そういえば俺、起き上がったときになぜか崎原センターじゃなくて自分の家に居たんだよな。

父さんや母さんに聞いたら、崎原センターに入院してたらしいんだけど。

「もうアンタ、退院2日目でしょ」って言われたし。どういうことだ!?

しかもそこから家に帰ってくる間、意識もちゃんとあったみたいだし。でも、覚えてないもんはないんだよな。


ま、いいか。

「行ってきまーす!!」

「やけに元気ね、羽遊。なんかあったの?」

「人生、楽しまなきゃいけないだろ?だからだよ!じゃ行ってきます」

「全く…事故には気を付けるのよー!」

「分かってる。大丈夫だって!」

家を出て、

羽遊は、学校へ向かった。


「よし。今日もいい天気。」

上を向いて歩いても、ほら、転ばない。


さて。楽しもうか、人生。


踏み出した足には、確かに力が宿っていて―――



「待ってるからね、羽遊君」


声が聞こえた、気がした。


――憑いてきてくれてんのか?

「……聞こえたよ。」

返事は帰ってこなかった。


「……………。」

絵眠、聞いてたら聞いてくれ。

人生は――平等だったよ。


あ、あともう一つ言いたいことがあるんだけどさ…

それは俺がそっちに行ってからにしてくれ。恥ずかしいし。


いや…言おうか。

「俺は、君が――――――。」




『主人公は植物人間』…END.


生き憑いたのは待たせてる人。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ